2007-05-15
キャッチボール
以前からずっと息子にせがまれていることがありました。
それは、キャッチボールです。
息子は野球にほとんど興味のない国・ドイツで暮らしているわけでして(笑)、漫画で知識を得ている程度です。でもとても好きになったので、ドイツ人の友達に声をかけて少しずつ遊ぶ人数を増やしていき、今では野球のメンバーが15人くらいになりました。
それで、近々チームをしっかりと作って、ドイツにある野球リーグに参加申し込みをしようと考えているようです。
「うん、楽しそうじゃないの? お母さんは賛成だわ。」と、まぁそこまでは良かったのですが、
「でも俺、練習が足りないんだよね。お母さん、キャッチボールしようよ!」
・・・黙
う、う~~ん・・・・私ですか・・・汗
散歩をする時間もあまりないというのに、息子とキャッチボール・・・・。しかも、ものすごく忙しい時に限って、このフレーズが発せられるんですね、何故か・・・。
なので、今までずっと断ってきました。
そして、風邪をちょっと引いてしまってからも、何度か言われたので、
「君ね、こんな調子で鼻声でいるお母さんに対して、キャッチボールしようよって、どうしてそんなむごいことを言うのかな??」
そう・・・私にとって、この息子の願いは結構厳しいのですね。特に風邪気味の時に、雨も時々降っていたほどの悪天候の中、どうしてほとんどしたことのないキャッチボールをしなければならないのでしょうか?
それに息子には、人への思いやりの精神も学んで欲しいので、母親にも優しさを示してもらいたいものですが、まぁ母親だからこそ、わがままを言ったり甘えたりしているのでしょうね。
「お母さんは、いつもいつもできないって言うよね。俺とキャッチボールするのが嫌なんでしょ? だったらそう言えばいいのに!」
う、う~~ん・・・・汗
いやぁ、嫌というのではなく、ちょっと自信がないのですね。自分の体のこともあるし、硬球を使ってグローブでキャッチというのもしたことがないし・・・。それにいつも、私が忙しい時に言ってくるし・・。無理ばかりです。
でも・・・
「嫌じゃないわよ、むしろ君とキャッチボールしたいわ! でもね、君は空気を読んでいないよね。お母さんが時間のない時に限っていつも言うでしょ。だからね、お母さんができる時に、君を誘うから。だったらいいでしょう?」
と言って、とりあえずこの話はおしまいにしました。これは嘘ではありません。私は母親として、息子とどうやったらコミュニケーションがうまくとれるのかずっと考えていましたので、キャッチボールはとても良い機会になると思っていました。なので、最も良い時期が来るのを待ちました。
・・・
そして、昨日、やっと10日ぶりくらいに晴天となり、私の風邪も何とかなった午後(しかも息子は1週間学校がお休みで家でくすぶっていますし)、私はラヴェラ(ドイツのナチュラルコスメの会社)の日焼け止めを顔に塗り、髪をゴムで結んで準備万端整え、気合を入れて息子の部屋をノックしました。
「何だよ。」コンピュータの画面で漫画だか日本のドラマだか見てへらへら笑っている息子に、
「ねぇ、中庭でキャッチボールしようよ!」とついに誘いました!
私にしては画期的・笑。もう、こうなったらやるしかない、と前向きパワーを息子に目で送ってみました。鼻息荒し!!!(ちょっと大げさ)
「へ~~! 本当に? でも俺、これ見てからじゃないとなぁ。30分くらい待ってくれる?」気乗りのない返事。
ちょっと腰砕け・・・。
・・・今までの私だったら、「君がいつもやりたいって言っているんだから、お母さんをそんなに待たすなんてもってのほか!だったらやらないからね。」などと、面倒になってやらない方向に持っていったかもしれないのですが、今回はちょっと違います。
目的は、「息子とキャッチボールをする」ということですから、時間はどうでもいいのです。
私は仕事部屋でじっと待ちました。
30分経って、息子は私の所にやって来ました。
「お母さん、大丈夫かなぁ、できるのかな? まぁ、じゃぁ行こうか?」半信半疑の息子。でも、母親である私に、自分がどれだけ野球ができるか見て欲しいという気持ちもあるようです。横目でちらっと息子の表情を見たら、何だかとっても嬉しそう。
よしよし、この調子!
こうなったら、何が何でも頑張らないと!
多少の不安を残しつつ、二人で中庭に出ました。
ブルーノ・タウトの集合住宅で囲むように作られた中庭には、ごみ置き場や個人用の小さな庭、公共の広場、そして卓球やバスケができるコートがあります。
私たちは、滑り台や砂場のある公共の広場に行きました。幸い誰も遊んでいなかったので、ほっと一安心。(硬球ですから、私がキャッチしそこねて誰かにぶつかったら大変ですから。)
「はい、オッケーよ! じゃぁどうぞ!」と息子に声をかけたものの、グローブをはめるのも一苦労。ど、どうやってはめるの、これ?
息子は笑いながら、「ねぇお母さん、大丈夫? できるのかな~。」かなり面白がっていますね。むきゃ~!
「大丈夫よ! こうみえてもお母さんは、小学校の頃までは女子の中では一番足も速かったしね、運動神経はあるんだから。」と、ちょっと強がり。
・・・で、息子の球を受けてみましたが・・・グローブでどうやってキャッチするのかさっぱりわからず!
「きゃ~!!!!」と言いながら、球はグローブにぶつかってあっちこっちに飛んでいってしまうのでした・汗。
「お母さん、グローブはこうかまえて、そしてここでできるだけ球を受けて。」いろいろ息子が丁寧に教えてくれました。
すると
おおぉぉぉ!!! できたできた!!
10分後には、結構難易度の高い球もキャッチできるようになりました! 面白い!
しかも体を動かせるので、なかなか良い運動にもなります。汗をかいてきたので、1枚脱ぎました。
キャッチボールは、なまっている私の身体にとっても心地よく、楽しくなってきました!
そうなると、キャッチするだけでなく、息子に投げるボールにも力が入ります。コントロールもどんどん良くなってきました。「えっへん! 君とボーリングやったって、お母さんの方がスコアがいいもんね。球技は任せてよ!」などとちょっといい気になってバシバシ剛速球を投げました(いえ、私なりの・・・)
「イテテ!」
実はグローブはひとつしかありません。息子は素手で球を受けていたのですが、母親の球なんてたいしたことはない、と思っていたのでしょう。軍手すら持って来なかったため、徐々に強くなってきた私の球を受けきれなくなってきたのです。硬球って、軟球よりもずっと重いですし、球が速いと危険だったりしますね。
再びゆるい球にしたものの、結局30分くらいで打ち切りました。
でも息子は満足した顔をしています。
「これからもやろうよね。 お母さん、何だか楽しくなってきたよ。」と言うと、
「うん、やろう! でも球を受けるのはちょっと痛いけれどもね。」と息子。
「だったらもうひとつお母さん用の安いグローブを買おうか。」
「本当に? じゃぁいつもキャッチボールしてくれるの?」
「時間が合えば喜んで。いい運動にもなるしね。お母さんも好きになっちゃった、キャッチボール。」
・・・思春期対策としては、何だか良い方向に行ったような???
ちょっと嬉しい「子供とのふれあい」のひとときでした。
・・・
さて、帰宅してからインターネットでグローブをさがしたのですが・・・いやぁ、結構高いんですね、グローブ・・汗。
「俺のこのグローブは良い作りなんだけれど、ブルーノや友達5人くらいで、去年俺の誕生日にプレゼントしてくれたでしょ。これって45ユーロもするから、ひとりじゃ買えないんだよね。」
え~!!! 45ユーロですか・・・た、高い!! 7000円くらい?
「でも、お母さんとキャッチボールするだけのグローブなんだからさ、安いのをさがそう。あ、これなんかいいんじゃない?」
ありました! 21ユーロのグローブ。思春期対策の必要経費です・笑。
・・・
ということで、これからできる限り息子とキャッチボールをしようと思います!
ヨーロッパはこれからどんどん日が長くなりますし、例えば息子の夕飯後の8時くらいにしてもいいですし。
その時間だったら、無理なく続けられると思います。
楽しみがひとつ増えました!
少食をして、キャッチボールで体を動かして・・・息子も私も笑顔になって、そしてもっともっと健康になります!♪
ウ~ン。おもろいな~。。
淑子さんはすごいね、
苦手意識の強いものを、
楽しいものに変えてしまった!
母の愛はビッグですね。
ほんまに、おもろい素敵なお母さんですよ。
Pさま!
いつもあたたかいコメントをありがとうございます~!
すごく嬉しいです。
私は母親として、ちっともすごくないんですよ~。
でも、息子に対して愛情はいっぱいあります。それだけは自信があります!笑
息子の物欲は満たしてあげられないし、それはあえてしたくないのですけれども、それ以外の私が良いと感じるリクエストは、できるだけ叶えたいって思っているのですね。
今回のようなキャッチボールというのは、ちょっとしたお題目だと受け止めて、かなり考えて決心しました。(←かなり大げさですよね、私・・汗)
でも、勇気を出してキャッチボールをしてみると、これが面白い!
つまり、自分の知らない世界に飛び込んでみると、案外楽しいことがあるものだなぁ、ということなんですよね。これは他のことでもありえるなぁと。
そういうことを、息子に自然に指し示してあげられる母でありたいって思っています。
こう、恩着せがましくなくて、自然に・・・。
Pさんに褒めていただいて、ますますやる気になってきましたよ~!!笑
安いグローブが届くのが待ち遠しいです。
ではでは! また~~♪