2007-05-16
アポロとヒヤシンス
昨日は、ボーデ美術館をガイド付きで鑑賞プラス、美術館内で行われるモーツァルトのオペラ「アポロとヒヤシンス」を、何と生演奏+オペラ歌手+ダンスという構成で見て参りました。
もうもう、信じられないくらいに素晴らしかったです!
世界は広く、芸術は奥深い・・・。終わってから、しばらくぼーっとなってしまいました。
この作品は、モーツアルトが11歳の時(!)に初めて作ったオペラの曲で、今回は「愛と死、そして再生のダンスオペラ」として表現されています。
リニューアルされたボーデ美術館での公演・・・この作品がこうした形で行われるのは、これが最初で最後だとのこ
とです。5月14日から20日までなのですが、すでにずっと前にチケットは完売。期待が高まっていました。
ブラジルの圧倒的な人気ダンサー+コリオグラファー、イスマエル・イーボが振り付けをし、踊りも披露。5人の出演ダンサーのうち、女性がひとりだけ入っているのですが、日本人なのです!!川口ゆいさんという方で、ベルリン在住だそうです。
演奏はベルリン・シンフォニー・オーケストラで、指揮は、世界中を魅了するロンカリ・サーカスが「魔笛」を題材にした時に指揮をした、クリストフ・ハーゲルという方。とても人気のある指揮者+芸術監督だそうです。
・・・
先ずは美術館内を30人程度のグループで回ったのですが、私たちはちょいワルな大人になって、途中でそのガイドツアーを放棄し(ちっとも面白くなかったんです。ガイドさんがあまり興味をそそらないような内容ばかり説明して・・・。)、美術館内のカフェに入って一息つきました。
その後、美術館の入り口すぐの大天井の間に集合。オペラを鑑賞するオーディエンスがおよそ250人くらいはいたでしょうか・・・。8時半になって、そこに5人の歌手とイーボを除く4人のダンサーが静かに登場し、階段を上がっていきました。
プロローグは、その大天井の間で始まりました! す、素敵~~♪♪♪
荘厳な雰囲気に包まれ、無伴奏でモーツァルトの典礼歌曲の合唱が広間いっぱいに響き渡りました。
音のシャワーを浴びて、洗礼を受けているような雰囲気!!
その中で踊るダンサーたち。
すると、イーボが階段をゆっくりと踊りながら上がっていくのです。
これがまた凄い! 背中だけで表現しているのですが、背中にど~~んと金色の円が描かれていて、黒く長い布を下半身に巻いていて、徐々にそれをさらに体に巻きつけるような格好で踊り、どんどんと上にのぼっていくのです。
・・もう、それだけで、その佇まいだけで、観客は彼に惹き付けられてしまいました!
・・・・
大興奮も束の間、観客は大天井の間の隣にある「バジリカの間」に進み、用意された椅子に座りました。自由席だったので、ちょっと競争という感じでしたけれども、何とか2列目の席をゲット。広間の中央に長細い舞台が設置され、その両側にそれぞれ150席くらいがセッティングされていました。
バジリカの間には、厳粛で美しいキリストの壁画や祭壇画が掛けられています。高い天井の中で、本当に音と空間があまりにもマッチしていて、素晴らしいハーモニーが生まれていました。
イエス・キリストの死や復活が、踊りと演出を通してヒヤシンスとシンクロし、スピリチュアルに表現されるのです。
バジリカの間の中央で、歌手達が黒、そしてダンサーが白の衣装を身にまとい、ヒヤシンスの死と再生を歌い、踊っていました。イーボの踊りは、黒く躍動感のある肌で緊張感たっぷりに進んでいって、舞台からは汗が飛び散っていました。ものすごい存在感です! 圧倒されました。
時にはニジンスキーの「牧神の午後の序曲」風の振り付けで鋭くポーズを決め、目が離せなくなるほどテンションが上がっていきました。
彼は、太陽神アポロになりきっていました。
・・・
ボーデ美術館の「バジリカの間」は、このオペラ作品の舞台としてはおそらく最高の場所でしょう。
イーボはかなり時間をかけて空間を探しし求めていたのだそうです。
バジリカの空間は、古典とキリスト教信仰の間にある建築的なシンテーゼを醸し出していて、モーツァルトの作品とイーボの振り付けが見事に溶け合い、この上ないハーモニーとバランスを私たちに見せてくれました。それがイーボの狙いだったのでしょう。
・・・
太陽神アポロが、美しい少年のヒヤシンスを好きなり、嫉妬深い風の神ケペウスがそれを見て少年を殺してしまいます。アポロは少年を同じ名前の花、ヒヤシンスに変身させるのでした。そこから、ヒヤシンスの再生が始まるのです。
ヒヤシンスの姉メリアス(川口ゆいさん)を登場させることで、ホモセクシャルでエロティックな部分を和らげて表現しているようでした。そこにまた、演出や振り付けの新しさを感じました。
公演後、ゆいさんと少しお話させていただきました。
ゆいさん、すごく美しくて踊りも素晴らしく、最高に輝いていました!
素晴らしいダンサーです。
伺ったら、フリーランスのダンサー+コリオグラファーでいらっしゃるとのこと。
今回の公演では、ダンサーとしては紅一点だったわけですが、なんとオーディションで選ばれたそうなのです!
す、すごい!!
いやぁ、とっても感激いたしました。その前向きな力強さが、私の心の琴線に触れました。
・・・
舞台の後、幸運にも私たちは、ゆいさんを通じてイーボと直接いろいろ話す機会を得ました。
イーボさん、すごく優しそうで、チャーミングな方です! やわらかい眼差しの中に、きらっと強く光る何かを感じさせます。
「じゃぁ、またね!」イーボの方から握手を求めてくださって(!感激!)、そしてお別れしました。
小さな黒いラブリーな車に乗って、イーボは手を振りながら颯爽と消えました。(ゆいさんは自転車。可愛い~~!!)
・・・
ということで、本当に大興奮の夕べでした。
その後友達とみんなでレストランに行ったのですが、私はカモミールティしか口にしませんでした。
おかげさまで少食も順調ですし、体調も良いです!
でも、本日水曜日は脱線ディ。ディナーに行くことになっています。
大丈夫、いつも少食を意識していれば問題ありません。
そう自分の中でイメージしながら、頭はまだ昨日の舞台の余韻にひたっていて、思考停止状態です・・・。
本当に本当に、素晴らしかったです~~♪!!!
こういうことがあると、食事には全く惑わされません・笑。
今日も楽しい一日になるといいです♪
初めまして!
地下鉄で今度ハーゲル氏がオペラをやるそうですね!
ちょっと見てみたい気もしますが、、、、。
もう、チケットとかないんでしょうかね?現地では盛り上がっているのでしょうか?
クラシックの垣根がなくなって、新たな楽しみ方なのかもしれませんね。
以前、ボーデ美術館で見られたそうで、うらやましいです。
何か情報あったら、教えて下さいね、、、、。
引田さま
コメントをありがとうございます!
そうです、ハーゲル氏指揮で、地下鉄でモーツァルトの魔笛をやるそうです。
4月22日から5月25日までで、詳細はサイトに掲載されていますので、写真だけでもぜひご覧くださいね!
本当に素敵です!
私は、絶対に見ようと思っています。
もしも見ることができましたら、またこの日記で感想を書きますね。
サイトは:
http://www.zf-u.de
ブンデスタークという地下鉄の駅で行われます。