僕に生きる力をくれた犬 青年刑務所ドッグ・プログラムの3ヵ月
定価:1,600円 + 税
ISBN978-4-7808-0170-5 C0036
四六判 / 192ページ /並製
[2011年10月刊行]
印刷・製本●シナノ印刷株式会社
ブックデザイン 山田信也
内容紹介
アメリカ・オレゴン州にあるマクラーレン青年更生施設を舞台に、
罪を犯した若者と、捨てられた犬の交流を描いた
NHK BSドキュメンタリー番組の単行本化。
マクラーレン青年更生施設では、捨て犬の飼育を通じて受刑者の更生を促す
「プロジェクト・プーチ」と呼ばれるドッグ・プログラムの取り組みが行われている。
全米の刑務所の再犯率の平均が5割といわれるなか、
このドッグ・プログラムを受けた若者たちは、再犯率ゼロを記録し続けている。
ATP賞2010ドキュメンタリー部門優秀賞を受賞!
目次
プロローグ●刑務所で育てられる犬
一●スティーブンとハンター─「伏せ」までの7日間
二●アレックスとオレオ─犬から始まるコミュニケーション
三●ジェフとジギー─愛情を感じる気持ちよさ
四●ドッグ・プログラムとジョアン・ドルトン─犬から何を学ぶのか
五●八月の犬たち─二ヵ月目の訓練
六●それぞれの家族─行き違いの気持ちを抱えて
七●スティーブンの新しい犬─虐待犬に寄り添って
八●犬たちの旅立ち─幸せにつながるゴール
エピローグ●"犬"たちとの再会
あとがき
担当から一言
本書は、アメリカ・オレゴン州にあるマクラーレン青年刑務所(更生施設)を舞台に、捨てられた犬の訓練を通して、罪を犯した若者たちが成長し、変化を遂げていく姿を追いかけたドキュメンタリーです。
犬は罪を犯した人間であろうと、自分に愛をそそいでくれる人には、必ず信頼を寄せてきます。
本書の3人の主人公、スティーブン、アレックス、ジェフが、はじめて担当した犬を3カ月にわたって訓練していくなかで、次第に犬と気持ちを通い合わせていきます。
我慢強く毎日犬の世話をやり続けること、犬を育てるために他者とコミュニケーションをとること、その積み重ねを支えてくれるのは、やっぱり一途に自分をしたってくれる「犬」がいるこそだからなのです。
青年刑務所に入っている若者の多くは、親にも見捨てられ、酒・ドラッグ・犯罪がごく身近にある環境で育ってきていて、ある意味犯罪をおかすことも日常の地続きにあります。そんなアメリカ社会の底辺にいる彼らは、捨てられた犬に自分たちの姿を重ね合わせているのです。
このプログラムを立ち上げた女性が「犬だからこそこの試みが成功している」というように、人で教えられないことを犬が教えてくれるのです。
この本は、もともとNHK BSドキュメンタリー番組「プリズン・ドッグ」を見て、本にしたいなあと思い、なんとか完成にたどりついたものです。
映像と活字という表現方法の違いは同じドキュメンタリーといえども、完成物にする手法がまったく違うということがよくわかりました。
映像はやっぱり絵が撮れなければなりません。乱暴に言ってしまえば、絵があればほんとに一言の重要なセリフがあるだけで、じゅうぶん伝わるということもあります。またそのシーンの解釈を見る側にゆだねるということが成り立ちます。
いっぽう文章にするためには、その背後に十分な聞き取りがなければ細部を書けません。あるシーンを描くにしても、描く側の視点と言葉がなければ絵を言葉で伝えることはできません。
製作過程で、そういったこともいろいろ学んだ一冊となりました。
番組そのものは好評で何度か再放送されています。また再放送があるかもしれません。
ぜひ機会があったら、映像のほうも見てみてください。
犬を飼っている人、これから飼いたいなと思っている人、ぜひ一度本書を手にとってみていただけると……。
吉備人出版の山川です。
ご無沙汰しています。
『僕に生きる力をくれた犬』予約します。
よろしくお願いします。
NHKの放送を視聴し、本書を拝読致しました。
書籍化には難儀をされたとのことですが、放送だけは知ることのできなかった複雑な事情などもこの本で読み取ることができ、大変考えさせられる一冊に仕上げていただいたと思います。
心揺さぶられる本を、ありがとうございました。