新宿、インド、新宿
定価:3,200円 + 税
ISBN978-4-7808-0158-3 C0072
B5変 192ページ /並製
[2011年04月刊行]
印刷・製本●シナノ印刷株式会社
ブックデザイン 山田信也
内容紹介
欲望のスタジアム、大いなる荒野『新宿』のアクチュアリティを唯一写し切った写真家は、ただひとり、渡辺克巳である。─森山大道(写真家)/本文より
1ポーズ3枚200円。流しの写真屋からスタートした渡辺克巳のカメラマン人生。
1960年代の新宿、そして新宿に集う人々を死ぬまで撮り続けた。
1982年、「昔の新宿を探しに」インドへ渡った際の写真と
生前ゆかりのあった人々による文集で浮かび上がる渡辺克巳の仕事集成。
未公開写真を多数収録。
目次
●写真
・新宿 1968-1981
・インド 1982
・インタビュー「渡辺克巳の見たインド」(構成・平カズオ)
・新宿1984-2003
●寄稿
カメラを手にしたヒューマン・インタレスト(森山大道)
男気のシャッター(秋山祐徳太子)
俺たちのワンス・アポン・ア・タイム(大坪正己)
[ナベカツ]へ……(木島三代子)
ナベさんとの共有の日々(永寿日郎)
渡辺克巳暗室伝伝(山本泰彦)
another side of 渡辺克巳(小泉悦子)
新宿―孤独の街(寺山修司)
・渡辺克巳 年譜
・雑誌及び新聞などの仕事
担当から一言
新宿の街、店を渡り歩き、写真を撮る。翌日、その人に3枚のプリントを届けて200円。
1960年代から70年代はじめの新宿には、そんな「流しの写真屋」と呼ばれる人たちがいた。
本書「新宿、インド、新宿」は、そんな、荒々しいけれども、どこかのどかな
1960年代〜の新宿の人物、風景をはじめ、1982年のインドの風景が収められている。
本書企画者の永寿氏から持ち込まれた四つ切りのプリントは300枚あまり。新宿の人物を撮影したプリントは、
背景となる街は漆黒に近く、ストロボを浴びせられた被写体はくっきりと印画紙に焼き付けられている。
一方、インドで撮影された写真は増感されたものなのか、粒子が荒々しいものが多く、被写体も風景の一部として収められている。
「新宿はぬくい街だった」と生前インタビューで語っていた渡辺克巳。
山本泰彦氏が本書に寄稿した「渡辺克巳暗室伝伝」では、
「暗室でもネガを引伸機に入れて、『人間は面白いねえ。どうしようもないやつなのに、こんないい靴を履いてる』」
と、渡辺克巳が撮影してきた人物の一人一人を懐かしむように、暗室でプリントしていく様子が描かれている。
やさしいひとだったんだろうな、と思う。彼の写真は、彼が新宿に感じていたの気持ち同様に、ぬくく、「人間は面白いなあ」と感じさせられる。
[担当編集・高橋大輔]
著者プロフィール
渡辺 克巳(ワタナベ カツミ)
1941年岩手県盛岡市生まれ。写真家。
東條会館写真部に5年勤務ののち、67年より「流しの写真屋」をはじめ、新宿の街、そして人々を撮り続ける。
著書に、『Hot Dog 新宿1999-2000』(ワイズ出版)、『新宿 1965-97』(新潮社)、『ディスコロジー』『新宿群盗伝伝』(ともに晩聲社)、『新宿群盗伝66/73』(薔薇画報社)がある。2006年、肺炎のため死去。
追記
「流しの写真屋 渡辺克巳展」開催
2011年4月26日(火)〜6月5日(日)、文京区根津の「汐花」(せっか)にて、「流しの写真屋 渡辺克巳展」【静かなる面魂(ツラダマシイ)】が開催されます。新刊『新宿、インド、新宿』と併せて是非お楽しみください。
●流しの写真屋 渡辺克巳展
1965〜 歌舞伎町 - 新宿二丁目
【静かなる面魂ツラダマシイ】
期間:2011年04月26日(火)— 6月5日(日)
場所:汐花 SEKKA BORDERLESS SPACE
〒113-0031 東京都文京区根津2-24-3 →Googlemap
TEL.03-5815-8280 FAX.03-5815-8270
Open.11:30 - 18:30 Close.月曜日
また、5月14日(土)には今企画ディレクションを務めるタカザワケンジ氏が、ゲストに写真家・金村修氏と増田玲氏をゲストに迎え、トークショーが開催されます。
●【トークショー】谷中のお寺で写真談義
ゲスト:金村修(写真家)/増田玲(東京国立近代美術館学芸員)
/タカザワケンジ(ライター・今企画ディレクション)
場所:台東区谷中4-2-11 本妙院(汐花より徒歩2分/日本美術院並び)
日時:5月14日(土) 18:30〜
参加費:1,500円(ドリンク付)
人数:約30名 事前予約となります(定員になり次第締め切らせて頂きます)
予約受付:Tel/03-5815-8280 Fax/03-5815-8270
詳細は「汐花」ウェブサイトをご確認下さい。