2009-02-03
手作りの情報サービス戦略②
東京大学情報基盤センターが、学内職員向けに、「図書系職員のためのアプリケーション開発講習会」というのを行っている。
そしてそこで学んだ図書館員達が、新しい利用者サービスや業務効率化のためのツールを、自ら開発しているのだという。
そんな事例が、昨年11月にカレントアウェアネス・ポータルで紹介され、「情報の科学と技術」12月号の『ローコストでできるファインダビリティ向上』という前田朗氏の論文で、さらに詳しく紹介された。
最近僕の勤務先では、iGoogleやGreasemonkeyなどを利用したサービス拡張に向けて試行錯誤しているため、「新しい利用者サービスのために」という意味で、その講習会の今後にも興味があるし、出来ることなら参加したいくらいである。
僕自身は、以前から図書館員にSQLを自在に使える技術があれば、余計なシステムカスタマイズ費を抑えるのと同時に、業務効率化も進めやすいと考えていたので、スタッフにSQLの基礎やMS-Accessでのアプリケーション作成を指導してきた。
そういうことに取り組み始めたのは、14~5年前からだろうか。ともかく以前勤務していた大学図書館でもそうだったし、公共に移ってからも同じスタンスでスタッフを指導している。
SQLもMS-Accessもプログラミングの知識は不要なので、敷居は低いと思うのだが、必要に迫られるとか興味があるとか、何か動機がないと本気で習得する気にはならないのだろう。自在に使いこなすところまで育つスタッフは、あまり多くはない。
だが、ある程度マスターしたスタッフは、俯瞰で業務を把握するようになるなど、急成長するケースが多いのは事実だ。
本当は司書資格課程で基本的な考え方、例えば図書館パッケージシステム機能に干渉しない範囲でツールをつくるとか、業務DBに対しては参照オンリーが基本だとか、バックアップを採ってから一括更新するといったことは教えた方がいいんじゃないかと、随分前から個人的に思っていた。
そんな図書館システムリテラシーみたいなものがベースにあって、さらに新しいwebサービスの知識を持ち、自力で新しいツールをつくる力を持った図書館員が1人でもいれば、その図書館のサービスは大きく飛躍する可能性があるんじゃないだろうか。
だが、残念ながら学生対象にそんな教育をしているという話は、今のところ聞いたことがない。
これはとても残念なことだと思う。