2008-11-30
『す・ぼん14』への反応
去年の夏以降、『[本]のメルマガ』や『ず・ぼん14』に貸出履歴を使ったレコメンドサービスや、蔵書を中心としたブクログのような機能について書いてきた。
これらの内容について、研究者や専門図書館員、図書館利用者などからポジティブな感想を頂いており、昨年度の計画の頓挫を惜しんで下さる方も少なくない。
一方で、公共図書館員からは何の反応もない。
現職の市立図書館副館長の発言としてどう思うのか、公共図書館員の感想や意見が聞けたらと思うのだが。
それでも、あの構想は正しいと支持して下さる方が少なくないということがわかり、役所に計画を阻まれ、公共図書館界の反応もないという状況下で、非常にありがたく勇気づけられた。
先日開催された、今年の図書館大会では『「Web2.0時代」における図書館の自由』と銘打ち、発表や討論が行われた。
ここでも公共図書館での貸出履歴活用などを語る場に、肝心の公共図書館員は1人も登壇しなかったと聞く。
サービスの現状維持も難しく、崩壊を食い止めるのが精一杯な状況で、理想を考える余裕などないという公共図書館員の話を聞くこともある。
積極的に情報収集する気にならないのかもしれない。
あるいはそういった発言に気付いていても、論理的に考え議論をすることを、ハナから無駄なことと諦めている人が多いのだろうか。
いずれにせよ、同じフィールドから何の反応もないのは、やはり残念に思う。
研究者による研究成果ももちろん参考になるのだが、専門職を自認するならば、現場で働いている各館の司書の集合知から新しいサービスが幾つも発案された方がいいんじゃないかと僕は思っている。
だが、僕の原稿に限らず、新しいサービスの提案に対する公共図書館員のリアクションを見ていると、まだまだ道は険しいように思える。
もう1年近く前のことになるが、公共図書館での貸出履歴活用といえば、練馬区立図書館が貸出資料の汚破損対策で履歴情報を13週間保存することにしたというのが話題になった。
これは資料保護を前面に打ち出すことで履歴保存を可能にしておいて、その先で何か面白いことができる可能性を手にしたと考えることもできるだろう。
実際には、現場の意に反して上層部が履歴保存を決定しただけかもしれないが、その状況を逆手に取ることもできるだろう。
こんな具合に、意外な形で突破できる機会が訪れることもある。
だから、サービス革新への意欲と情報収集は欠かしちゃいけない。