2007-10-16
観光ガイドにないパリのおすすめスポット ゲイ・タウン、マレ地区歩き
『オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。
主題:観光ガイドにないパリのおすすめスポット
副題:ゲイ・タウン、マレ地区歩き
【本文】
「ゲイのパリ市長」ベルトラン=ドラノエ氏が働くパリ市庁舎から歩いて2分ほどのところにあるマレ地区はいろいろな顔を持っている。
アロマグッズを売る雑貨店やそれぞれ個性ある店づくりをしている服飾店、異国情緒漂う商品を扱うインテリアショップ、独創的なブティックが並ぶファッションタウンとしての顔、顔。
店内にダビデの星のマークを掲げ、黒い服をきて顎髭と口ひげを長く伸ばしたラビの写真や絵画が貼ってあるレストランや、ファーストフード店が並ぶユダヤ人街としての顔。レインボーフラッグを店頭に掲げたカフェやバーが並ぶゲイ・タウンとしての顔。訪れる曜日、時間帯によって、街の雰囲気はずいぶん異なる。
私が初めてマレを訪れたのは、2004年9月中頃、日曜の昼であった。フランスでは日曜になると、大きなショッピングモールから街のスーパー、小さなブティックまで、ほとんどの店が閉まる。
日本人にとっては、日曜はショッピングを楽しめる休日なので、繁華街は人であふれるが、フランスの場合、むしろ人気がなくなる。開いているのは一部のレストランや映画館、テーマパーク、移民の店主が営む小さな商店ぐらいだ。
ただし、ユダヤ教では金曜日が安息日にあたるため、日曜に開店しているところが多い。ならばと思い、ユダヤ料理を食べるためにマレ地区にいったのだ。
この地区ではユダヤ教の料理店のみならず、服飾や雑貨を扱うブティックを含めた多くの店が日曜も開いており、道は行き交う人であふれ賑やかだ。
道は極端に狭いので、歩行者を気遣って車はほとんど徐行状態で進んでいく。手をつないで歩く男性カップル、女性カップルも目につくが、夫婦や男女のカップル、ノンケ(異性愛者)と思われる人々のほうが多い。ユダヤ教の正装に身をつつんだ男性も、しばし、目にする。レインボーフラッグが掲げられたカフェの店内をのぞいてみると、男女のカップルのほうが多く、まったくゲイ向けの店には見えない。
私はユダヤ人料理店に入り、ひよこ豆のコロッケや揚げたナス、野菜を厚いパンで挟んだファラフェル(Fallafel)を注文した。酸味のきいた白色のソースとコロッケ、野菜が調和していてボリュームがある割に、さっぱりとした味だった。
そのあと、何度か夜のマレ地区にも足を運んだ。昼間はノンケばかりだったカフェも、男性カップルがほとんどだった。昼間とは違った陽気さで、まるでお祭りのような雰囲気だ。路上で見かける洗練されたファッションに身を包んだ男性のカップルや、女性カップルの数も、昼に比べて断然多かった。
お気に入りの地区なので、週に一度は足を運んだが、東京のゲイ・タウン、新宿2丁目に比べると、ずいぶん趣(おもむき)が異なる。新宿2丁目に足を踏み入れれば、知らない人でもそこがゲイ・タウンであろうということは察しがつく。
しかし、マレはゲイ・タウンの臭いがそれほど露骨でなく、いわれなければゲイ・タウンと気づかない人もいるぐらいだ。
まるで、ゲイ&レズビアンのシンボルカラー・虹色を体現しているかのような街だ。
各々の店、人が個性的な色を持っており、ゲイの世界とノンケの世界の境界が、不透明だけれど、全体として調和を保っている。
フランスの1つの側面を象徴する街だから、パリを訪れるときには、ぜひ、立ち寄るといい。