2005-04-27
キンゼー博士とレズビアン
性科学のさきがけキンゼー博士の生涯を描いた映画『Dr. Kinsey』を再び、鑑賞しました。本年観たアメリカ映画「Aviator」「Ray」「Million Dollar Baby」などよりも、遙かに感動的でした。キンゼー役の俳優がハンサムな上に、微妙な表情を見事になさる。ハマリ役です。
終わりの方で、「赤」扱いされて研究の中断を余儀なくさせられ失意のうちにあるキンゼーがレズビアンの女性に励まされるシーンがある……ということは先日、書きました。監督の創作なのか、実話なのかわかりませんが、とっても心温まる話です。監督のキンゼーに対する敬意の念が伝わってきました。
老齢の女性には夫も子どももいました。しかし、あるとき、知り合った女性に恋をし、その思いはどんどん募っていきます。罪悪感があってか、そのことを誰にもうち明けられることができず、彼女の性指向を知ると、夫も子どもも彼女の元を去っていきました。1950年代という時代は、同性愛者に対する理解などというものはほとんどなかったのでしょう。そんな彼女はキンゼーの「女性の性行動」に関する本を手にとり、自分と同じ境遇に置かれた人々が世の中には多くいることを知り、励まされ救われたといいます。誰にうちあけることもできず孤独の淵にいた彼女にとって、キンゼーの書は救いの手だったのでしょう。
老齢の女性はキンゼーの片手をやさしく両手で包み込み、感謝の念を表します。
ところで、同映画ではキンゼーが大学で講義しているシーンがあります。男性器や女性器の図が出てくるんですが日本で放映される場合、モザイクがかかるのでしょうか。あるいはカットされるのかな。エロ嫌いの人々と闘ったキンゼーを描いた映画で、モザイクかけるんじゃ、創作者にも故人にも失礼でしょう。