2007-10-05

IMFの新専務理事にストロスカーン元仏財務相

日刊ベリタ』に【IMFの新専務理事にストロスカーン元仏財務相】というタイトルの記事を執筆しましたので転載します。

  融資額が急減、運営危機もささやかれている「新自由主義経済の牙城」ともいえる国際通貨基金(IMF)は9月28日午前に開いた理事会で、次期専務理事にドミニク=ストロスカーン仏元財務相が就くことを決定した。任期は5年。ストロスカーン氏はフランス社会党の重鎮で、好感度調査では常に同党ではトップにつけている。
 
 ストロスカーン氏は1949年4月25日、パリ郊外の街で生まれた。しかし、同氏は幼少を北アフリカの国・モロッコで過ごす。1960年2月29日に死者1万5000人を出したアガディール大地震が発生した後、祖国に戻ることになる。高校を卒業すると、フランスのトップマネジメントスクールであるHECと名門校・パリ政治学院に入学し、大学院まで進学して、経済学博士号を取得する。1977年にはナンシー第二大学の経済学専攻の教授に就任し、1981年にはナンテール大学に転職した。 
 
 1982年に社会党のフランソワ=ミッテラン大統領の諮問機関の委員に就任し、政界に進出する。1986年の下院議会議員選挙でフランス東部のオート=サヴォワ県から社会党公認で出馬し、初当選。1988年に再選すると下院財政委員会の委員長に選出される。社会党の全国書記を長く務めるなど、年がたつごとにキャリア・アップしていった。 
 
 しかし、1993年の下院選では落選。社会党が惨敗して、保守政党に政権の座を譲り渡した選挙だった。 

 1997年6月1日の下院選第二回投票でストロスカーン氏は再度、当選する。この選挙では左派政党が過半数を制して、リヨネル=ジョスパン「社会党」党首を首相とする左派連立内閣が成立する。そして、フランスの経済を一手に任される経済・財政・産業大臣にストロスカーン氏は就任した。就任早々、支出削減による財政再建を実現し、1998年には約30万人の雇用を創出した。この実績から、ストロスカーン氏の財務相としての評価は極めて高い。しかし、1999年11月に政治と金にまつわるスキャンダルで引責辞任することになる。 
 
 ストロスカーン氏の信念は「社会民主主義」だ。国家による統制でもなく、市場原理に任せるのでなく、第3の道を模索するのだと語ってきた。
 
 IMFのトップに立ち、社民主義的な政策をはたして実行できるのかが注目される。