2007-11-16
新欧州憲法めぐり仏政党の攻防が活発化
『インターネット新聞・JANJAN』に【 新欧州憲法めぐり仏政党の攻防が活発化】という記事を書きましたので転載します。
批准手続きが失敗した欧州憲法を簡素化した欧州連合の骨格となる「リスボン条約」の批准をニコラ=サルコジ大統領が決めたことで、フランスでは各党による攻防が始まっている。同条約の最終草案には今年10月19日に欧州加盟国の首脳が合意し、12月13日に批准の手続きを始める署名を加盟国首脳がリスボンで行い、各国での批准手続きを経て2009年1月に発効される予定だ。
2005年5月29日に国民投票で否決された欧州憲法に賛成した仏緑の党は今回、批准をめぐって賛成派と反対派に分裂している。ヤン=ヴェーリング前党首は近頃、同党ホームページで持論を発表し、「新条約は急ごしらえでつくったやっつけ仕事だ。ヨーロッパが抱える問題を何も解決しない。欧州連合の骨格となる条約にしてはお粗末すぎる内容だ」と酷評した。一方、ベーグル市長を務める同党重鎮のノエル=マメール下院議員は10月28日に民放番組に出演して、「新条約は憲法の体裁になっていない。しかし、民主的なヨーロッパ建設に向けて、この条約は一歩前進であり、いくつもの点でかなりの進歩が見られる。緑の党は新条約に賛成すべきだ」と語った。
同じく2005年の時は欧州憲法に賛成した社会党は批准に対して対応を決めかねている。今春の大統領候補だったセゴレーヌ=ロワイヤル前下院議員やパリ市長のベルトラン=ドラノエ氏は賛成を言明し、フランソワ=オランド党首も周囲に「個人的には賛成だ」と語ったというが、同党ナンバー2のローラン=ファビウス元首相や同党左派の議員は反対を明言するなど、同党は分裂している。
与党「国民運動連合」やフランソワ=バイル党首の中道派政党「民主運動」は賛成でまとまっている。
一方で、2005年に欧州憲法否決の原動力となった仏共産党や共産主義者同盟、労働者の闘いといった左派政党や、国民戦線やフランスの運動といった極右政党は今回も国民的な反対運動を展開し、批准の中止に追い込む構えだ。