2007-11-07

ADHD 「片づけられない症候群」って何だ?(1)

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オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。

主題:ADHD 「片づけられない症候群」って何だ?(1)
副題:正式名称は注意欠陥・多動性障害

【本文】

 「片づけがとにかく苦手で部屋は散らかり放題である」

 そういう人はあなたの周りに一人でもいるのではないだろうか。

 「落ち着きがないといわれる」
 「何か思いついたことを黙っていられず、つい喋ってしまう」
 「気が散りやすい」
 「忘れ物をしやすい」
 「物忘れがひどい」
 「時間に遅れる」
 「すべき物事に優先順位がつけられない」
 「細かいことに集中できず、学業・仕事などで不注意ミスが多い」
 「手足を落ち着きなく動かす」
 「質問が終わる前に答える」

 もしも以上あげた症状が多く見られる人は注意欠陥・多動性障害(ADHD)という神経障害の可能性がある。注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは、不注意、多動性、衝動性という3つの特徴が行動に見られる状態で、Attention-Deficit Hyperactivity Disorderの略だ。多動性が少ない場合は注意欠陥障害(ADD)といわれる。

 1995年にアメリカで出版されベストセラーになった女性カウンセラー・サリ=ソルデンさんが書いた『片づけられない女たち』(WAVE出版)が2000年に日本でも翻訳・出版されてマスコミでもとりあげられるようになったことから、ADHDという障害の存在が広く知られるようになった。

 同書ではADHDを「せかせかと動き回り、落ち着きがなく、衝動的に行動する人たち」、ADDを「ぼんやりとしていることが多く、動作も仕事ぶりも円満で、活動量が少ない」と説明している。

 本記事では狭義のADHDとADDをひっくるめて、ADHDと表記する。

 ADHDは何も女性だけがなりうるわけではなく、男性のADHDも存在する。未だに原因は不明だとする学者もいるが、最近の研究でADHDは先天的な脳機能の発達障害が原因であることが分かってきた。

ADHDの診断基準

 米国精神医学会のDSM-ⅢR(精神疾患の診断・統計マニュアル)は、次にまとめた診断基準の8項目以上に当てはまる人をADHD(注意欠陥多動性障害)と定義している。

1. 席についていなければならない時、座っていることが困難である。
2. 仕事中または勉強中などに、外からの刺激で容易に注意をそらされる。
3. 一つの仕事や遊びに注意を持続させることが困難である。
4. しばしば一つの活動を完了する前に、他の活動に移ってしまう。
5. そわそわしたり、もじもじする。(または精神的に落ち着かない)
6. 団体活動の際に順番を持つことを嫌う、または持つことができない。
7. しばしば質問が終わる前に、割り込んで答えてしまう。
8. 仕事や雑用をやり遂げることができない。しかし、それは指示が理解できなかったり、反抗的な態度を取っているためではない。
9. 静かに遊ぶことが困難である。
10. 結果を考慮せずに身体的に危険な活動に飛び込んでいく(これは通常のスリルを欲する行動とは異なり、特徴的な例として子供がまわりをよくみていないで道路に飛び出す行動などがあげられる。)
11. 鉛筆、道具、紙など、学校の課題やその他の仕事を完成させるのに必要なものをしばしば紛失する。
12. 他人を妨害し、邪魔する。
13. 衝動的に喋る、または喋りすぎる。
14. 話しかけられたことをよく聞いていないように見えることが少なくない。

 実際にADHDがどういったものか説明するため、ADHDの当事者の話を以下3回に分けて紹介する。