2010-12-26

心をもつことは、切ないことでした。

映画『空気人形』を観る。
現代日本社会を痛烈に射る作品だ

監督は是枝裕和さん。空気人形をペ・ドゥナさんが演じ、
モデルのARATAさんが恋人っぽい役を演じる。

ダッチワイフが突然、心を持つという話だ。
彼女は繰り返す。
「わたしは空気人形。性欲処理の代用品」

印象的なシーン。

もとの持ち主は彼女が姿を消すと
別のダッチワイフを買って同じ
名前を付けて性欲の処理とする。
彼女が久々にその男のところに戻ると、
空気人形に男は言う。

「心をなくしてくれないかな。
 そういうの面倒なんだよ」

誕生日を祝ったり、想い出づくりの写真を
撮ったりするのが面倒だというのだ。

ARATAさん演ずる彼氏と空気人形の次の会話も印象的だった。

女:「わたし誰かの代わりでもいいの」
男:「君が誰かの代わりなんてことはない」

現代では代替可能性が問題になっている。
貴女・貴方の代わりはいくらでもいる。

真の愛は相手を
「君に代わるものはない」
と考えることだろう。

映画は切ない終わりだった。

「心を持つことは、切ないことでした」

この言葉に共感を抱く人は多いだろう。