2007-06-08

仏下院選で劣勢の社会党が一発逆転の秘策

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インターネット新聞・JANJAN』に【
仏下院選で劣勢の社会党が一発逆転の秘策
】という記事を書きましたので転載します。

 6月10日、17日にフランスで行われる下院議会議員選挙(定員577名)で、ニコラ=サルコジ新大統領の与党「国民運動連合」が約80%近くの議席を確保する歴史的大勝が各種世論調査の結果で予想されている。フランス下院の選挙制度は小選挙区制で、第1回投票で過半数に達する候補がいない場合、登録有権者数の12.5%以上を得票した候補者が決選投票へと進出する権利を得る。

 そんな逆風の中、野党第1党「社会党」は一発逆転の秘策を検討している。それは人気政治家・フランソワ=バイル党首が率いる中道新党「民主運動」との提携だ。今年4月22日に行われた大統領選挙第1回投票では、セゴレーヌ=ロワイヤル「社会党」候補が950万0112票(25.87%)を獲得し2位につけ、バイル氏は682万0914票(18.57%)を獲得し3位につけた。2人の得票率を合わせると44.44%になり、ニコラ・サルコジ氏の得票率31.18%を上回る。このことから、民主運動と社会党が選挙協力すれば、巻き返しを図れ、逆転勝利する可能性が出てくる。仮に過半数をとれなかったとしても、与党の一人勝ちは避けられる。

 6月4日、社会党のフランソワ=オランド党首はラジオ局「LCI」の番組で、「民主運動とある程度の政策や原則で同意できるのであれば、候補者取り下げに関して双方が同意できる」「両党がつくる政権の政策について同意できた上での話だ」と述べ、6月10日の下院選第1回投票の結果を見て、候補者取り下げによって、両党の候補者の一本化が可能だと示唆した。フランスでは第1回投票後、各政党が協議して、候補者を一本化するのはよくあることだ。しかし、オランド党首は「まだ、何も決まっていない話だ」とくぎをさした。

 フランソワ=バイル党首は4日、ラジオ局「フランス・アンテル」の番組で、「私たちはフランス人に選択肢を与えるために、まず第1回投票に全力をつくす」と述べ、それ以後の候補者調整は「ケース・バイ・ケースで行う」と述べ、社会党との協力にも含みを持たせた。歴史的な大敗が予想される社会党と党の消滅が懸念される民主運動がはたして選挙協力できるのか。6月10日の投票後に、政局は一気に動きそうだ。

写真脚注:フランソワ=オランド「社会党」党首(Wikipediaより転載)