2007-09-13
サルゴジ仏大統領の新自由主義に抗う若きゴーリスト エニャン下院議員
及川健二がフランスのニコラ=エニャン=デュポン国民議会議員が大統領選挙に出馬すると宣言した集会で撮った写真です。
『日刊ベリタ』に【サルゴジ仏大統領の新自由主義に抗う若きゴーリスト エニャン下院議員】というタイトルの記事を執筆しましたので転載します。
第2次大戦後に覇権国としての地位を不動にした米国からの独立とフランスの栄光に固執したシャルル=ドゴール大統領の政治理念や手法は仏保守本流で受け継がれてきた。この「ドゴール主義」は手厚い社会保障にも理解を示した。ニコラ・サルコジ新大統領の親米路線に異を唱える代表的論客が、政権与党「国民運動連合」を今年1月に離党、自身が党首を務める小政党「立ち上がれ!共和国」を率いるニコラ=デュポン=エニャン下院議員(46)だ。
競争を重視する新自由主義的経済政策は根っからのドゴール主義者は「サルコジ氏はドゴール氏の系譜にはない」と断言する。1997年から下院議員を務めている同議員も、フランスの独自外交を主張し、北大西洋条約機構(NATO)や国連からの自立を主張する。
また、各種公共部門における民営化に反対の立場で、新自由主義路線を突き進むサルコジ氏とは立場を異にする。2006年9月12日にパリ市内で行われたフランスガス公社(GDF)民営化に反対する労働者の集会に参加し、「私は『ブラボー』というために来た」「GDFはイデオロギーに関わるものではない。問われているのは、イデオロギーに優先する国有財産だ」と参加者を激励した。
日本でいえば自民党の議員が左派系組合の座り込みを激励するかのような行為だった。同議員は資本主義の行き過ぎを国家が管理すべきという立場で、国の独立を何よりも尊重し、グローバリズムには懐疑的で、もっとも伝統的なドゴール主義者といわれている。
「ドゴール主義の最良の継承者」と評される同議員は著書を複数出版するなど、自身の思想・政治哲学を世に問うてきている。多数派を占めるサルコジ与党に対して、今後、「思想」を武器に独りで立ち向かっていくことだろう。若きドゴール主義者の孤高な挑戦に関心を寄せる者は少なくない。