2007-06-30

『リベルテに生きる パリ市長 ドラノエ自叙伝』

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オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。

タイトル:『リベルテに生きる パリ市長 ドラノエ自叙伝』 ベルトラン・ドラノエ著
サブ・タイトル:パリ市長の自叙伝、日本でも翻訳出版

 ゲイであることを公言している、ベルトラン=ドラノエ、パリ市長の著作「リベルテに生きる パリ市長 ドラノエ自叙伝」(ポット出版)が日本でも出版された。

 パリ市長を務める社会党のベルトラン=ドラノエ氏は、上院議員だった1998年に、自ら同性愛者であることをテレビ番組で公表。そして、2001年春に保守系の市長を選挙で破って、パリ市長に当選した。

 この本を担当編集した那須ゆかりさんに、日本語版の内容を聞いた。

 那須ゆかり 「出版のきっかけは、やはり彼がゲイであることです。ゲイであることをオープンな状態にし、さまざまな職業に就いている人たち、そんなモデルを紹介していく、ということは大事だなと思っています。そんなモデルの一人として、パリ市長が自叙伝を書いているということを紹介されて、出版してみよう。 

 何よりも彼自身、ゲイのパリ市長ではなくて、自分自身の属性のひとつがゲイである、だけだということを明確にしているところが大事な点です。ゲイの代表として、市長になっているわけではない。あくまでも、パリ市民のためのパリ市長である、ということです。

 著作のなかで、彼自身も、

 「パリ市長である私は、たまたまゲイであった。そのうえで、マイノリティへの共感を決して忘れず、市政においても、マイノリティの不遇改善や、マイノリティ差別へは断固として闘う姿勢を貫いています」

 と書いていて、その姿勢が非常にかっこいいです。そして、何よりも彼は「自由であること」を大切にしています。

 「自由に生きること」ということは、「自分の自由は決して侵されたくない」それはひるがえれば、「他人の自由を侵さない」ことを引き受けることでもあります。それを市政において、出来うる限り実現しようとしている。

 彼自身がもつ理想を、リアルな市政という現場で実行しようとしている、その理念とリアルの場を結びつけようと努力する彼の情熱と真摯な姿が、この本の中身からうかがえます。
 
 私が心に残った言葉は、

 「寛容さだけでは、他者を本当に認めることはできない。理念は実証されて初めて意味がある」

 「すべての人権の中で、最も大切なのは自由だ」

 ですね。ドラノエ、パリ市長が、次のフランス大統領選(気の早い話ですが)の候補にあがっているらしいという噂を聞いて、ワクワクもしています。