2012-01-26

お部屋2311/風営法と公共圏の規制

風営法について、ええ加減なことを訳知り顔で書いている輩がいるものですから、より正確に風営法が制定された時代のことを書いておこうと思ったのですが、いざ調べ出したら、昭和20年代に検事がストリップショーの摘発について書いたものを見つけてしまいました。

2304/『エロスの原風景 2』の目次発表に書いた「ストリップショーの始まり」について、我が論を裏付けるものだったため、また加筆をしていて、いつまでも『エロスの原風景 2』の作業が終わらないです。

これを契機にメルマガでずっと休んでいた「松沢式売春史」というシリーズを再開することにしました。457回までやって力尽きたのですが、このシリーズがあると、性の行動、性のビジネス、性の風習など、たいていのことは検索して出てくるので、いざという時に訳に立ちます。雑誌でこの手のことを書くことがなくなって、役に立たせる機会が5年に1回くらいしか来ないですけど、自分の興味です。

ああも平然と間違いを書かれると訂正しないではいられないですが、クラブの規制を論じるのに、古い時代のことを正確に知っておく必要はなく、歴史については引き続きメルマガでやるとして、現行のクラブ規制に関してまず押さえておくべきことは、ここ10年、どのように風営法が運用されてきたのか、公共圏がどのように規制されてきたのか、です。

これについては、すが秀美・花咲政之輔編著『ネオリベ化する公共圏』(明石書店)に一文を書いていて、浄化という名のもとに性風俗店が規制された数年間の動きをまとめています。とくに問題を起こしていない店も根こそぎやられました。その結果、歌舞伎町がどうなったのかは説明するまでもないでしょう。

「性風俗産業が潰されてもいい」なんて思っていたら、そのうち、自分らの関係している領域まで規制が及ぶと私は言っていたわけですが、まさにその通りのことが進行しています。これ以降、ラブホテル、ハプバー、ストリップ劇場、ガールズバー、ショーパブへの規制が次々と強まって、そしてクラブに至っています。

今まで警察の裁量で黙認されてきたことが黙認されなくなったということであって、個別の店が真面目にやっているか、近隣に迷惑をかけずにやっているかどうかなんてどうでもいい。法に反しているものは潰す。それがこの間の警察庁の方針だと思われます。

警察の点数稼ぎとして風営法がいいように利用されているのか、竹花豊が残した体制が完成したのか、警察の天下り団体を増やそうとしてるのか、宗教団体を筆頭とした健全化勢力が動いているのか、その辺の見方はいろいろありましょうけど、街が死んでも法を厳しく運用する。それが警察の方針のようです。

法に照らせば、警察がやっている規制は間違っていない。今までの「なあなあ」が通用しなくなった時代にあって、なおそのような「なあなあ」が通用すると信じて警察を批判しても無駄、あるいは警察に媚びても無駄、法改正することでしか解決はできないでしょう。

さらにはこれがライブハウスなどにも拡大していく可能性が十分にあって、「クラブには行かないから関係がない」「クラブ音楽は興味がない」という問題ではないのです。ワシだって、クラブにはほとんど行かないですもん。ある個人が好きかどうかなんてどうでもいいことであり、そんなことで法が決められていいはずがない。

「クラブカルチャーが嫌い」という個人の趣味でクラブの摘発を肯定するようなヤツらは、議論においてノイズにしかならないので、糞して寝てろ。意味がないだけじゃなくて、邪魔です。

なお、この一連の動きについては、藤井誠二のメルマガで間もなく配信される座談会においても論じていますので、参考にしてください。