2011-03-30
お部屋2185/メディアと原発
続けて2185号「日本の予定 32」です。
この文章には長い注をつけてました。購読者の個人名が入っているので、ここでは削除しましたが、この構図ですぐさま「電力会社が圧力をかけている」とは決めつけられないってことです。
例えば「煽るな厨」たちが、事実に基づいた指摘に対しても、根拠なきまま、政府や東電の言い分をなぞって火消しに回っていたのは、東電や政府の圧力によるものではありません。中にはそういう利害があった人たちもいたかもしれないですが。
平時には、そういうタイプとは思えない人たちまでが、政府や電力会社という権威にすり寄って、「今は緊急時なんだから」と同調することを求める。そうすることで事実から目を逸らして不安を解消したい。
それと同じく、電力会社が電話の1本入れることなく、放送局は望み通りに働いてくれる。たぶんそういうことなのだろうと思います。
電力会社の圧力であるならまだいいかもしれない。そうではなくて、人は自分自身の判断と思い込んで電力会社の宣伝マンを自らやってしまう。金をもらわなくてもそうなる人たちがたくさんいるのですから、まして金をもらっている人たちはそうなる。
「自分の判断と思っていることは誰の判断なのか」という面倒なテーマでありまして、電力会社や代理店だけを叩いても根本的な解決にはならない。どうせまた別の金や権威にすり寄るだけです。だからといって、叩いてはいけないとも思わないですけどね。ワシらが払った電力料金を必要のないことに使っているわけですから、
この辺については、「マツワル」でもっと詳しく論ずる予定なので、ここでは軽く触れるに留めます。
<日本の予定 32>
ラジオ福島を聞いていたら、毎日新聞の斗ヶ沢秀俊という人物が電話ゲストに出ていて、これがまたすごいんですよ。
内容はこちらにあるのと似たようなものです。
自分では科学的、論理的と思っているらしい。あるいはそうではないことを自覚しながら、そう思わせようとしているのか、どちらかよくわからないですけど、ごまかしごまかしの連続で、「健康にはまったく問題がない」と言い切ります。どこが科学的だ。他者を「科学的じゃない」「理系じゃない」などと批判しながら、非科学的なことを言ってのける典型的「理系バカ」です。このタイプも今回ゴロゴロ出てきましたね。
この人はこんな対談もやってます。
前回の長崎大学の先生方や新聞社の人間が村々を回り、ラジオを使って、地元の人に根拠なき安心をまきちらす。飯舘村の村長もこれに同調し、村民たちが避難しないことを誇りをもってラジオで語る。よく聞いてますでしょ、ラジオ福島。
おそらく多くの住民はこれを信じてしまっています。不安はあっても口に出さない。その不安の解消は裏切り者に注がれる。インターネットを使える一部の人たちは「おかしい」と思っているでしょうが、それを言えない。村を出る踏ん切りもつかない。だから、ツイッターでしか不安を吐き出せない(注)。
こうやって日本ではパニックを起こさないような外的、内的な抑制が働きます。すでに書いたように、それはよさでもあるのですが、正しい情報が流れなくもなります(注2)。
それにしても、なぜ、ラジオ福島はここまでやるのか。地域から言って東京電力ではなく、東北電力がスポンサーになっているのかもしれないと疑いました。
検索してみたら、東北電力がラジオ福島に資本参加しています。
地方局はとくにそうでしょうね。資本関係になくても、最大手のスポンサーだったりしそう。別会社とは言え、東北電力も原発をもっているわけですから、そこになんらかの力が働いていてもおかしくはない。
テレビ
■青森放送
■テレビ岩手
■秋田放送
■ミヤギテレビ
■山形放送
■福島中央テレビ
■テレビ新潟
■青森朝日放送
■岩手朝日テレビ
■秋田朝日放送
■東日本放送
■山形テレビ
■福島放送
■新潟テレビ21
■青森テレビ
■岩手めんこいテレビ
■秋田テレビ
■仙台放送
■さくらんぼテレビジョン
■福島テレビ
■新潟総合テレビ
■東北放送
■テレビユー山形
■テレビユー福島
■新潟放送
ラジオ
■エフエム青森
■エフエム岩手
■エフエム秋田
■エフエム仙台
■エフエム山形
■エフエム福島
■エフエムラジオ新潟
以上、重複している局は外してますが、東北電力が配電している地域のテレビはすべてと言ってよさそう。
たいていのAM局はテレビの系列でしょう。ラジオ福島はテレビの系列局ではないのですが、資本が入ってますから、ほとんどすべてのラジオ局ってことですね。
これらはスポンサーになっている番組を放送している局であり、さらにスポットを放送していますから、放送局はなかなか批判しにくい。とくにスポンサーを確保しにくい地方局は。
ついでに以下は東京電力と東北電力の共同でスポンサー番組をやっている局
■青森放送
■青森テレビ
■新潟テレビ21
こうやってそれぞれの地域のメディアは各電力会社には楯突きにくい構造ができています。
■株式会社 ユアテック
■株式会社 トークス
■東北発電工業 株式会社
■東北ポートサービス 株式会社
■東北用地 株式会社
■株式会社 東北開発コンサルタント
■東北エアサービス 株式会社
■株式会社 東日本テクノサーベイ
■株式会社 ユートス
■株式会社 ユアテックサービス
■株式会社 テクス宮城
■株式会社 テクス福島
■宮城電設 株式会社
■株式会社 大雄電工
こういう関連会社がスポンサーになっているかもしれないし、多くは電気関連ですから、放送局は、これらの系列各社とのつながりがあるかもしれない。
期待したいのはコミュニティFM。せめて一局くらい電力会社批判をやっていないかと思って、サイマルラジオを聴いてみましたが、聞いた限りではどこもダメっすね。
FMいわきは福島原発にもっとも近い局かもしれませんが、聴いた範囲では原発についての話が出てこない。ここはラジオ福島と提携関係にあって、だからといって圧力がかかるってことまではないとは思うのですが、コミュニティFMは地元の企業がスポンサーになっていることが多いため、どっかしらでからむことになるのかも。
そもそも独占企業である電力会社がそうもコマーシャルをやる必要はなく、そんな金があるなら電気料金を安くしろって話です。これでメディア支配を企んでいるとも言われますが、一般企業に比して、それほど広告費を使っているわけではありません。それでもメディアには圧力をかけられる。
ひとつ思い出したことがあります。私もかつてテレビやラジオでさえも、反原発の発言を積極的にやらかしてましたから、その頃、電通のブラックリストに入っていると言われたことがあります。誰にどういう経緯で聞いたのかも覚えておらず、本当かどうか知らないですが、代理店にはそういうリストが存在しているのは事実。「反原発だから」ではなく、通常はスキャンダルを起こしそうな人とかをリストアップしている。ワシ、スキャンダル起こしそうだし。女優やモデルとスキャンダルの一回くらい起こしたかったです。
以下、ウィキリークスより。
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電力会社の影響力について河野氏によると、日本のテレビ局は核問題について3部にわたるインタビューを彼と行う予定であったが、最初のインタビュー後に取りやめを決定し、その理由は電力会社が主要なスポンサーを取りやめると脅しをかけたためであるという。
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原文は以下の3。
http://213.251.145.96/cable/2008/10/08TOKYO2993.html
あくまで本人がそう語ったということを大使館が本国に伝えているだけの文書ですから、本当に圧力がかかったのかどうかはわからないです。
河野というのは河野太郎で、この核問題というのは、もんじゅを筆頭とした核燃料サイクルのこと。
河野太郎は福島原発の件でも頑張ってます。自民党でこんなことを言い続けているんですから、変人ですよ(注3)。
ちょっと違うんじゃないかと思うところもありますが、さすがに詳しいです。
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食品衛生法の調査は、食べる時の状況で調べるので、キャベツは外葉をとって芯を抜いて洗った状態、ほうれん草ならば洗った状態で数値を計る。
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そうなんだ。だったら、「キャベツは外側をとれば大丈夫」「ホウレンソウは洗えば大丈夫」って話とは違います。そもそも売られているのは、基準値以下ってことに一応はなっているのですから、外側の葉をとって洗えばいいって話ですが。
頑張っているがゆえに「朝生」にも呼ばれないのでしょう。(続く)
注1:飯舘村の人がツイッターで村の様子や自分の不安をツイートしています。迷惑がかかるといけないので、アカウント等は伏せておきます。
注2:こういった我々日本人の特性については地震以降、さまざまなところで見られます。日本人はパニックも起こさず、冷静に対処していると海外で礼賛されていい気になっていたわけですが、その同じ体質が作り出したのが世界一恥ずべき原発群とそれを支える政治、メディア、アカデミズムの利権構造であり、さらにそれを支えるのが我々一人一人の意識です。これもまた面倒な問題で、日本人のいい面と悪い面をどうコントロールしていくのかが「マツワル」でずっとやり続けているテーマだったりします。
注3:「変人」というのはこのシリーズにおいては最大の褒め言葉です。推進する側は潤沢なギャラ、研究費、広告費をもらえますが、批判的、懐疑的な立場でこの問題に取り組んだって金にはならない、出世はできない(それどころか助教という肩書きをとらえて嘲笑する人もいる)、本は売れない、仕事は来ないで、いいことなんてないですよ。それでもこだわり続けてきた人たちは変人ですよ、そりゃ。こんな不幸が起きないためにこだわり続けていたのに、こんな不幸があってやっと尊敬されるとは皮肉なものです。