2011-03-30
お部屋2184/金に忠実な人・自分に忠実な人 ※追記あり
地震、津波、そして原発事故で、すっかりダメダメな人間になってしまい、そのリハビリのために、ずーっと「マツワル」で原発がらみのことを書いてました。人に伝えたいってより、自分の精神を支えるためです。
すでに書いたように、人に「原発について書いたらどうか」と言われても、冷たくあしらってました。実際、私は私の書きたいことを「マツワル」で連日書いているわけですし、緊急時だからといって、「もっとタダで書け」と言われても、いつも通りに淡々とやるだけです。
ところが、購読者の野間易通さん@kdxnさんから、「広く公開して共有した方がいい」という意見をもらいまして、野間さんが言うならそうします。敬意を払ってますので。
では、彼が指定してきた3本の文章をここで公開します。どうしてこの3本なのかはよくわからん。言われるがままです。いずれも3月29日に配信したものです。
以下は3359号。「日本の予定」は、地震と原発に関するさまざまを書くシリーズです。「金に忠実な人・自分に忠実な人」は「黒子の部屋」用に適当につたけものです。金が大好きで、デマを流しても金が欲しいという人もまた自分に忠実ですから、あんまり意味のないタイトルです。スルーしてください。
わかりにくいところには注釈をつけました。
<日本の予定 31>
みんなよく考えるなあ。
きれいです。
福島原発30キロでいっぱい降っていることが一目瞭然。実際には降っているわけではないですが。
福島原発30キロの数字は17マイクロシーベルト/h。この数字だと、癌の発生率が0.5%以上ですね。
28日の数字を見ると、飯舘村の一部ではそのくらいの数字ですが、その近く、あるいはもっと遠い場所でも40マイクロシーベルト/h以上の数値が出てますし、新規参入の83ポイントは、77.8マイクロシーベルト/hの高い数字を維持しています。そこではあの4倍以上降っている。本当はもっときれいなのです。
南相馬市のこの地点も早急に調べた方がいいと思うな。
埼玉、東京、千葉、神奈川の数字は比較的低いですけど、それでも通常より高い数値が維持されています。たぶんセシウムが定着しているってことなんでしょうね。
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土壌汚染「チェルノブイリ強制移住」以上 京大助教試算
東京電力福島第1原発の事故で、高濃度の放射性物質が土壌などから確認された福島県飯館村の汚染レベルが、チェルノブイリ原発事故による強制移住レベルを超えているとの試算を、京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子炉工学)がまとめた。
飯館村は原発から北西約40キロ。今中助教は、原発の状況が分からず被災地各自の事情もあるとした上で「避難を考えた方がいいレベルの汚染。ヨウ素やセシウム以外の放射性物質も調べる必要がある」として、飯館村で土壌汚染を調査する方針だ。
文部科学省の調査で20日に採取した土壌から放射性のヨウ素1キログラム当たり117万ベクレル、セシウム16万3千ベクレル、雑草からヨウ素254万ベクレル、セシウム265万ベクレルが確認された。土壌中のセシウムは通常の1600倍以上だった。
今中助教は、土壌のセシウムで汚染の程度を評価した。汚染土を表面2センチの土と仮定すると1平方メートル当たり326万ベクレルで、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故で強制移住対象とした148万ベクレルの2倍超、90年にベラルーシが決めた移住対象レベルの55万5千ベクレルの約6倍だった。
今中助教は「国は原発周辺の放射性物質を詳細に調べて分析し、ただちにデータを公開すべきだ」と話している。セシウムは半減期がヨウ素(8日)と比べ30年と長く、汚染の長期化が懸念されている。
【 2011年03月28日 15時52分 】
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まったくもって妥当な指摘です。
すでにはっきりしているように、場所によって大きなムラがあります。ということは、多数の場所の数値を出していくしかないし、その数値を元に避難させるべき。そうしないと、救うべき人を救えず、避難しなくていい人たちも避難しなきゃいけなくなる。
副島隆彦のように、8キロの地点で15マイクロシーベルト/hだからもう安心だという意見にはなんの意味もないです。
あの人、何しに行ったんだろ…。「副島隆彦は福島原発には行って無かったろう論」も出てますけど。
ソ連は単に距離で切るのでなく、汚染の程度で強制移住させていたのですね。ああいう国だから、強制移住が容易だったとも言えますが、ある部分を見た時には、今の日本はソ連よりも過酷です。
強権的な情報統制をしなくても、国民自らがお上の情報を盲信して、批判者を潰してくれる国。その先頭に立っているのがカツマーです。
以下が中部電力の原子力推進CM。
※YouTubeから削除されてました。
電事連のスポンサー番組にも出演。
芸能人は「仕事として出ている」で済むかもしれない。しかし、物を書く人間はそれでは済まないでしょう。仮にいいとしたって、議論をする場では、その立場を明らかにして、視聴者が判断できるようにすべきです。多額の金をもらった以上、その恩義を感じてデマ流すのは、銭に忠実で正直とは言えるかもしれないですが(注1)。
しかし、ここまでわかりやすく原子力ゴロであることを見せているのですから、まだしもマシかもしれない。
Ustreamでは、ラジオ福島を聴くことができ、被災地のことを忘れないように、時々聞いています。
地震以降、24時間、コマーシャルをすっ飛ばして災害対応の特別編成の放送を続けていて、きめ細やかな被災情報を流しています。時々、被災地の状況を知るために聴いていて、そこは感心します。
よく東京の人間がテレビに対して文句をつけて、「津波のシーンを繰り返し流すな。被災地のための情報をもっと流せ」ともっともらしいことを言いますが、それは無理ってものです。地元の放送であれば放送範囲も絞られ、情報を集めやすいですから、地元に密着した災害情報は地元局に任せた方がいい。東京で、そういうものを聴きたい人は、Ustやサイマル放送を使って地元の放送を聴けばよい。
ただし、ひっかかることがあります。原発に関しての情報です。
毎時間のように、各地の放射線量を読み上げるのですが、例のライン(注3)は無視して、同じ飯舘村や南相馬市の数値の低い場所を選んでいるようです。むしろ高い部分が異例なのであって、ランダムに取り出せばそうなるのもおかしくはないのですが、その地域に住んでいる人は切り捨てられてしまっているようにも感じます。
しかも、その時に、毎回必ずと言っていいほど、「胃の集団検診のレントゲンは600マイクロシーベルトですから、それを考えれば、心配しなくていいことがわかるかと思います」「それに比べると、低い数値になってます」なんて堂々と言うんですぜ。
たしかに胃の集団検診では600マイクロシーベルトですが、胸部の集団検診のレントゲンでは50マイクロシーベルト。飯舘村の数字は9.12マイクロシーベルトだと言っていて、50マイクロシーベルトのレントゲンだと、1日で4回以上受けることになると、ちゃんと説明せえよ。アホな福島県民にはわからねえと思ってバカにするな。瀬戸弘幸だったら騙されるとして。
77.8マイクロシーベルト/hとなると、1日で37回レントゲンを受けることになります。これは今日現在の数字ですよ。
これ以外でも、繰り返し、同様のことを放送していて、21日に行われた長崎大学の高村昇、山下俊一という二人の後援会を編集したものも流しています。後者は原子力安全委員会のメンバーですから、今回の事故にも責任を負う人物です。
その内容はこちらで読めます。
これは福島市内を前提に行われています。距離のわりに高いとは言え、2マイクローベルト/h、3マイクロシーベルト/h程度の数字しか出ていない場所においては、このような講演で安心させるのも意味があることかもしれません。福島市だって、ピークはもっと高かったわけですが。
しかし、この放送は30キロ圏内の人たちだって聞いているわけです、おそらく。
「チェルノブイリとは全く異なるし、全く健康に対する心配はしなくていい」
「(事故について)今日の特にデータなどを見る限りでは、少しずつやはり状況は改善してきているように思います。
「現時点では、そしてこの先も、この原子力発電所の事故による健康リスクというのは、全く、考えられないと言ってよろしいかと思います」
こんなことを公共の放送で流すべきなのか?(続く)
注1:「朝生」での勝間和代の発言についてはこの前に批判済み。
注2:京大原子炉実験所の小出裕章氏と今中哲二氏については、この前に説明しています。小出氏の著書は読んでますし、かつて後援会に行ったこともあります。
一時期、ツイッターでは、事実であるのかどうかを検証もしないで、「危険を煽るな」「風評被害を拡大するな」と叫ぶ「煽るな厨」が増殖、その一人は、彼らの助教という肩書きを小馬鹿にするツイートをしてました。中身じゃなくて肩書きでしか判断できない人だったんですね。よーくわかりました。
京大原子炉実験所ついては以下参照。
注3:文科省が発表する数値を毎日チェックしていて、とりわけ数値の高い3カ所のポイントを「ホットライン」などと呼んでました。メディアが報じる前から「マツワル」では書いていたのですが、まっさか人が住んでいるとは思わず、ある時、航空写真を見て民家があることがわかって愕然としました。本来だったら、すぐに大声で指摘すべきだったかもしれないのですが、「煽るな厨」がうざいので、ツイッターを閉じ、「マツワル」で書くに留めました。ちょっと後悔していますが、私ごときが指摘してどうになるものでもなく。
昨日、久々に自分のTLを見たら、「煽るな厨」は消えてました。恐くて恐くて仕方がない人がターゲットを見つけては叩こうとしていただけでしょう。「不謹慎厨」と中身は一緒。私だって不安ですから、他人の揚げ足をとって叩きたくなる気持ちはわかります。別の回に書きましたが、これが日本的パニックの現れです。中身のある批判だったらいいとして。そういうことをしてしまわないためにも、ツイッターを遠ざけてました。kdxnさんや3羽の雀さんのTLは見てましたが。
追記1::IAEAが日本政府に、飯舘村非難勧告を出すように促す
やっと前に進みました。日本政府も調査をすると言ってますが、数字はとっくに出ています。メディアも繰り返し報じてます。ラジオ福島を聴き、ツイッターを見て村の空気を察知し、「これは外圧しか解決はない」と「マツワル」に書いていたのですが、その通りになりました。まさかIAEAが救いの神に見える時代が来るとは思ってませんでした。
この飯舘村を含めて、「健康にまったく影響はない」と言い続けたのが長崎大学の高村昇、山下俊一、毎日新聞の斗ヶ沢秀俊という人物であったこと、それを繰り返し拡散していたのがラジオ福島であったことを決して忘れまい。
追記2:ラジオ福島がこれをどう報じるか、深夜ずっと聴いていたのですが、午前4時過ぎまでには報じなかったかと思います。その代わり、佐藤栄佐久・元福島知事が電話で登場し(収録)、東電、原子力安全委員会、保安院を激烈に批判して、この国は民主主義ではないと興奮気味に語ってました。深夜4時近くですけど、社内に抵抗している人もいるのかな。
追記3:結局、日本政府はIAEAの提案を拒否。ここまで頑ななのは、地元から「これ以上風評被害を増やすようなことはやめて欲しい」という要請でもあったりするんじゃないかと勘ぐったりもします。
半日ラジオ福島を聴いてましたが、この件については報道しなかったように思います。以前に比べると、慎重な言い方にはなってきているような気もするのですが、相変わらず、「レントゲンに比べると」という言い方をしています。
長崎大学の山下俊一も、以前ほど能天気な言い方はしなくなっていて、数値を出して「10マイクロシーベルト/hを超えなければ安心していい」と言ってました。しかし、以前はいたるところで10マイクロシーベルト/hを超えていて、今もなおいくつかの地点では超えています。飯舘村では最大で330マイクロシーベルト/hを記録していました。その数値が出ている時は「まったく健康に問題はない」と言い続け、数値が落ちてきたところで、あたかも以前から数値が低かったかのように見せかけ、また、その数値を超えていないところだけ取り上げて「これ以下は安心」と言い出すのは欺瞞です。
※これ以降、二転三転していて、キリがないので、検索してください。
追記4:勝間和代さんはお詫びを出しました。
「反原発を言う人は非科学的」なんて言いたがる人たちがいますが、この人たちが言う科学的というのは、「朝まで生テレビ」のことなのでしょう。たいした科学だ。
金のために、これだけのことを公言と言ってのけた人のお詫びとして十分かどうか、異論もありましょうが、私は評価したいと思います。クズの中でもマシなクズとして。金さえ出せば都合のいい発言をヘラヘラとやってのける重宝な文化人として利用されただけですし、こんな詫びを出した例は今までないでしょう。
また、彼女が転向したことに希望も見ます。機を見るに敏な人が、金ズルを裏切って、こうせざるを得ないくらいに、時代は脱原発に向かっている。単に、この状態では電力会社からこれ以上金を引っ張るのは無理と判断しただけかもしれないですけどね。あとの評価は、これからの彼女の言動で判断するとしましょう。