2009-04-27
お部屋1830/『最後のパレード』における版元の責任・書店の責任 3
『最後のパレード』盗作問題は、サクンチュアリ出版も著者も、想像以上に悪質であったことがはっきりしてきていますが、そちらは別項でやるとして、まずは書店の責任について。
先週末からサンクチュアリ出版は、ネット上の取り扱いを中止しています。増刷を中止し、在庫が切れたため、「あとは店頭にあるものが売れるのを待つだけ」ということなのかとも疑えます。
というのも、ネットで見る限り、ネット書店も、それ以外の書店も、ひとつとして取り扱いをやめた書店はない模様。つまり、サンクチュアリ出版は、今なお回収をしていません。かつ、自主的に販売をやめた書店もないようなのです。ほんの一部であっても、そういう書店があって欲しいものですが、ネットでは見つけられませんでした。
「書店が個別の本について著作権侵害であるか否かの判断はできず、出版社から回収する通告がない限りは販売する」ということなのだろうと思うのですが、「1827/『最後のパレード』における版元の責任・書店の責任」「1828/『最後のパレード』における版元の責任・書店の責任 2」で述べたように、書店は日常的に本を注文するのかどうか、店頭に出すのかどうか、それを積極的に売るのかどうかの判断をしています。この本を積極的に推薦してきた書店も多数あります。推薦はできても、販売しない決断はできないってどういうこと?
出版社が著作権侵害があった可能性が高いと認め、謝罪もしている本について、なお書店が「著作権侵害があったのかどうか判断できない」なんてことはあり得ないわけで、「売れるもんなら盗作でもかまわず、法に反していてもかまわないし、自ら違法行為をやってもかまわない」という判断をしていると見ていいでしょう。
書店は都合のいい時だけ、「文化を担っている」と言いたがるわけですが、悲しいかな、これが書店の現実です。
もうひとつ気になるのは、この本を出版社の言い分のままに、「涙がとまらない」などとブログに書いている人たちが多数いることです。一読者が、この本が盗作で見抜くことは難しいのですから、そう書いたことの責任を問われるべきではないのですが、いまなおその記事を出し、それになんらコメントをしないままでいるブロガーが多数いることについては、書店と同じく批判されてしかるべきではないでしょうか。
ここに至っても、アフィリエイトで稼ぎたいってことなのでしょうけど、これでは「著作権侵害の本を頒布することに加担している」と言われてもやむを得ない。どいつもこいつも。
はじめまして。ブログを読ませていただきました、
私もこの件に関して、話題になった本だけにとても気になっています。
私もこの件への書店の対応はおかしいと思います。
著者のブログなどを見ると、全く反省をしている様子は無いし、
サンクチュアリ出版もこれだけ問題になっているのに、
販売を続ける方針でいること等、非常識な対応だと思いますが、
出版社側から回収を指示されなくても、書店は販売をやめるべきです。
御客様のことも、文化をも冒涜している行為だと思いますし、
その書店で働いているスタッフのイメージも悪くなるのではないでしょうか。
がしかし、、今朝、仲の良い友人の女の子(ディズニー好き)のブログを見ると…
「本を読んで感動した」というタイトルが目に入り、
いやな予感はしましたが、その本は「最後のパレード」でした。
読んで涙が出た、もっとディズニーランドが好きになったと言います。
彼女にコメントをしようか、少し悩みましたが…
私は何も書けませんでした。。。
何を遠慮しているのかわかりません。
アマゾンの順位を見ると、少しずつ落ちてはいますが、なお売れ続けているようです。友だちじゃないなら放置してもいいでしょうが、友だちなら、注意してあげましょうよ。本当に知らないだけかもしれないのだし。
仮にあなたが編集者だったら、著者が「大丈夫。DLCに連絡なんてするな」と言ったら、そのまま黙っているんでしょうね。だったら、サンクチュアリ出版を批判できないですよ。
いきなりコメントをしてしまって、申し訳ありませんでした…。
彼女は仲の良い友達です、もし彼女が知らずに本を購入する場に
居合わせていたら絶対に辞めた方がいいと、
私が知っている範囲でのこの件を説明して止めています。
ただ、私が知ったのは読んでしまった後でした、、
彼女に伝えた方がいいのかどうなのか、悩みました。
これは盗作だと知っているのだから言うべきだと思う自分と、
彼女は知らずに読んで感動し、良い気分になってしまった、
その後でこの一件を話すということは
すごく残酷なことのような気がして話せなかったのです…。
また…、松沢さまが仰るように、もし私が編集者だったら…ということですが、
私は著者がなんと言おうと、そのまま黙っているということはありません。
出版社側の人間だったとしても販売停止をしなければならないと
判断していると思います。
松沢さまから見たら、きっと私のしている事と、上記の考えは矛盾していたのかもしれません…。
でも、この件では出版社側に大きな問題があります、
読者の気持ちを裏切るような書籍を販売する点です。
私なりの尺度からすると…、感動した読者にたいして、
とても残酷な行為と受け取れるのです。
批判出来ない、といわれても、私なりの尺度では、
根本を絶たなければいけない問題だと思うのです。
私も考えが足りないのかもしれないのですが、
今思う自分なりの考えを書かせていただいたのです。
お返事を、どうもありがとうございました。
どうせ友だちはいずれ知るわけですよ。しかも、それをブログで書いているわけですよね。つまり、なお広げているわけです。
それさえ注意できない人は、どんな立場になっても、決断なんてできるはずがないでしょう。販売停止ってことは、会社が潰れるかもしれないのですよ。友だちにさえ言えない人が、そんなことができるはずがないじゃないですか。
現実にはここ数日で、あなたの友だちの協力もあって、万単位の店頭在庫がなくなったので、潰れないで済むかもしれないけど。