2009-04-25

お部屋1828/『最後のパレード』における版元の責任・書店の責任 2

「書店の責任」については、「書店が売り続けていいいのか」といった意見はありつつ、その理由をきれいに説明したものはなく、だからこそ私もまとめる気になったのですが、昨日あたりから、これについて言及する人がチラホラ出てきています。

たとえば【天使と悪魔のビジネス雑記帳/業界は売り逃げを許すのか:出版偽装「最後のパレード」】。食品偽装と同じであると考えれば、メーカーはすぐさま回収するのが妥当であり、「回収したら会社が潰れるから」と考える会社はまさに潰れていいわけです。なおこれを売り続けた場合、書店もこの偽装商品の販売に加担することになるのではないか。というのがこの一文の趣旨です。はっきり書いてはいませんが、幇助になろうということでしょう。

輸入のうなぎを国産と偽装した商品を仕入れてしまった小売店にとっては、欠陥商品を押し付けられたのですから、メーカーは返品を受けつけるのが当然。しかし、この場合、小売店が表示を国産と表示して販売することもおそらく可能でしょう。

抵触する法律が違うわけですが、これと同じく、書籍の場合も、「盗作である」と表示することで販売していいかのようなことを私は書いてしまいました。しかし、よくよく考えると、こんなことが許されるのであれば、「このバッグはパチもんです」として、偽ブランド商品を販売していいことになってしまいます。

そう考えるなら、書店もまた盗作だとわかった段階で販売を中止して、返本すべきです。「返本不能」という条件であっても、欠陥商品ですから、版元は返本を受け付けるしかない。

と考え直したところで、2ちゃんねる著作権法第百十三条が転載されていたのを見ました。

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第百十三条 次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
一 国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為
  二 著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を、情を知つて、頒布し、若しくは頒布の目的をもつて所持し、又は業として輸出し、若しくは業としての輸出の目的をもつて所持する行為

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2ちゃんに教えられてしまいました。

この条文はもっぱら違法な商品を輸入し、頒布する行為を対象としたものでしょうが、国内で製造されたものも対象になると読めますので、「情を知って」という要件を満たせば、『最後のパレード』をなお販売している書店はこの条文に抵触します。

むしろ、「これは盗作です」などと表示すれば、「情を知っていること」の証拠になるので、全然ダメですね。

サンクチュアリ出版も中村克も、すでに著作権侵害があったことを認めていて、それが広く報道されている以上、「知らない」と言い張ることは難しい。したがって、どういう形であれ、現在販売している書店は、この条文に違反していると言ってよく、前回書いたことは撤回します。

そういう書店には、胸を張って、「違法行為をするな。すぐさま返品せよ」とクレームをつけていいようです。

このエントリへの反応

  1. [...] 追記2:表示したところで、あるいは、表示することによってこそ、版元だけでなく、書店が『最後のパレード』を販売することは著作権法違反になりそうです。詳しくは次のエントリー「1828/『最後のパレード』における版元の責任・書店の責任 2」参照。 [...]

  2. 私、実は、あの矢野・朝木両議に抗議+薄井氏応援に賛同署名したものですが、久し振りに見る旧HN東村山4丁目は、相変わらずなのにはあきれました。ブログから読売新聞への強気発言を消して差し替えたと思ったら、さらにまたTDLネタを、今度は自分の体験を書き出し(連載する気か?)、次にはあろうことか、自分が東村山市議会に出した請願のコピーをアップして、こっちの方が罪が重いと世間の同情が変えると思っているらしい旨、書いています。本当に痛い人ですね。

  3. http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090426k0000m040105000c.html

    OLC内部資料も無断転載していたそうで。

    >OLC広報部は「類似には気付いていた。著作権は当社にあり、著者や出版社に
    >使用は認めていない」とのコメントを出した。

    「ディズニーのものはオレのもの、オレのものはオレのもの」
    ってとこだったんでしょうか。
    まぁトドメでしょうね。

  4. 通りすがりさま

    中村さんのおかげで、ずいぶん東村山の件が広く知られるようになり、かつ「草の根」の悪質さもわかりやすくはなったでしょうけど、まだ何も解決していないですからね。東村山市民がもっと立ち上がってくれれば。

    なんとまあさま

    どんどんバレてきますね。出版社も共同でパクリをやっていたことがはっきりしただけでなく、なぜかOLCはわかっていて、ここまで放置したこともはっきりしてきました。当面この話は鎮まらないでしょう。

  5. http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090426-OYT1T00940.htm

    基本的に↑↑の内容と一緒なのですが。

    >OLCは同書が今年3月に出版された直後、
    >無断使用を指摘する文書を配達証明で送ったが、中村氏からの回答はなかったという。

    いやまさしく、なんとまあ・・・
    OLCは承知の上で、内容証明で問い合わせたにも関わらず
    無視をきめこんでいたとは。

    よくまぁこれでブログでディズニーディズニー吐けるものですね・・・

  6. なんとまあさま

    すげえ。想像をはるかに越える悪質ぶり。もうしばらくは楽しませてくれそうです。