2008-05-04
お部屋1485/中田国際法律事務所
「靖国 YASUKUNI」に抗議した右翼活動家が捕まったのですね。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080502k0000e040062000c.html
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映画「靖国」:抗議の右翼活動家逮捕 虚偽の車登録容疑
街宣車の名義を虚偽登録したとして、警視庁公安部は2日、神奈川県秦野市南矢名、右翼団体代表、小林俊文(71)と東京都世田谷区等々力8、同構成員、野沢大(21)の両容疑者を電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで逮捕した。野沢容疑者は3月下旬、映画「靖国 YASUKUNI」の上映に反対し、東京都中央区の映画館に抗議行動を行い、テレビ出演などもしていた。
調べでは、2人は昨年8月、渋谷区の別の右翼団体が使う街宣車なのに、小林容疑者の所有名義で湘南自動車検査登録事務所(神奈川県平塚市)に車の登録をした疑い。名義上の車庫を提供していたとみられる。
野沢容疑者は、「靖国」の上映に抗議しており、逮捕前の毎日新聞の取材に「反日的で上映すべきではない」などと主張していた。
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これを読んでもよくわからないのですが、まだ「上映すべきではない」と言っているのかと呆れつつ、今回の騒ぎの原因を作ったことの制裁の意味で、あるいは「テレビに出ていい気になってんじゃない」という制裁の意味で逮捕されたのなら、ヤなカンジではあります。
今回は「あれやこれやの表現規制」はお休みです。
内容が伴っている場合はいいとして、意味なく「国際」という言葉を肩書や法人名に使用する人はハッタリ屋が多いので、気を付けた方がいいと私は以前から言ってます。
では、こちらの「国際」はどうでしょう。
「東村山魑魅魍魎ブログ」5月3日のエントリーに、中田国際法律事務所の怪しさについて書かれてます。
この事務所の代表である中田光一知弁護士が、りんごっこ保育園の第三者委員であることの問題点は、以前、「3羽の雀日記」に書かれていた通り。
私も気になって、ちょっくら調べてみました。弁護士が40代になって、「康一」を「光一知」に改名するというのは、どういうことなのでしょう。姓名判断か?
本人のプロフィールによると、平成6年「中田総合法律事務所」、平成9年「ひのき総合法律事務所」、平成13年「中田加久田国際法律会計事務所」、平成14年「中田国際法律事務所」といったようにめまぐるしく事務所名も変えています。だからどうしたってわけじゃないですが、ひっかかりを感じないではない。
プロフィールには著書として以下が挙げられています。
・親子・関連会社の実務
(昭和61年12月12日 新日本法規出版株式会社 発行)
・消費者被害法律相談ガイドブック
(平成2年9月1日 第二東京弁護士会 法律相談センター 同消費者問題対策委員会 発行)
・病院経営者が知りたい個人情報保護法対策
(平成17年4月29日 株式会社SCICUS 発行)
・開業医が知りたい個人情報保護法対策
(平成17年4月29日 株式会社SCICUS 発行)
・この一冊で大丈夫あなたの会社に合った個人情報保護法対策
(平成17年1月31日 ビズナレッジ 発行)
ところが、アマゾンでは、中田光一知、あるいは中田康一では1冊もひっかかりません。
出版元のサイトで調べたところ、『親子・関連会社の実務』という本は存在しますが、正しくは『Q&A 親子・関連会社の実務』です。「Q&A」を外したのは、チープな印象になることを嫌ったためでしょうか。
この本のクレジットは、
編集/親子・関連会社実務研究会
代表/奧野善彦(弁護士)、岩村譲一(公認会計士・税理士)、鈴木正貢(弁護士)、曽我乙彦(弁護士)
となっています。中田弁護士の名前がないですね。さらに多数の弁護士が執筆していて、全員の名前が出ていないだけかとも思ったのですが、この本が出たのは昭和61年とあります。弁護士になったのは平成元年となってます。この本が出た年に、司法試験に合格したのだと思われ、執筆したのは、その前かもしれない。
ここははっきりとはわからないですが、おそらく出版社のバイトとして関わったのか、バイト先の弁護士事務所で手伝いをした程度ではなかろうか。もしそうだとしたら、「著書」に入れるのはまずいのではないか。
続いて『消費者被害法律相談ガイドブック』ですが、これは検索してもひっかからず。ところが、第二東京弁護士会は『消費者問題法律相談ガイドブック』というものを発行しています。
改訂の段階で改題されたのかとも思ったのですが、こちらの中田弁護士のプロフィールでは、『消費者法律相談』となっていて、またタイトルが違います。なんといういい加減さ。本を出していることさえアピールできればいいってことなんでしょうかね。
この本は「消費者問題対策委員会 編」となっていて、中田弁護士もこの委員会に所属していたのでしょうが、今や詐欺商法まがいの会社の弁護を次々と引き受けているとは皮肉なものです。
共著を著書に入れること自体はなんの問題もないですが、その場合は「共著」と記すってものです。この本の「3訂版」に執筆している紀藤正樹弁護士は、「単独著」「共著書」「監修等」とはっきり分けていて、『消費者被害法律相談ガイドブック』はもちろん「共著書」に入れています。
『病院経営者が知りたい個人情報保護法対策』『開業医が知りたい個人情報保護法対策』はアマゾンでも取り扱ってますが、著者名は戦略法務研究会。
戦略法務研究会は、中田国際法律事務所内にあり、中田光一知弁護士が代表です。
この2冊もおそらく共著でしょう。1冊だけならうっかり書き忘れることがあるとしても、軒並みですから、意図的にそうしていると思われてもしかたがない。
『この一冊で大丈夫あなたの会社に合った個人情報保護法対策』は発行元のビズナレッジとやらのサイトに出ています。
ここには「小冊子」とありまして、書店で扱っているものではありません。タイトルに【10分でわかる!】という惹句が入ってますので、10分で読める程度のものでしょう。しかも、これまた共著(そもそも著書と言えるようなものかどうかわからないですが)。
普通に見れば、単独の著書を多数出しているようですが、単独の著書は1冊も出していないのですね。共著であることを明示せず、しかも本のタイトルが間違っている。
このプロフィールには「知的財産」も専門であるかのようなことを書いてますが、著作権法上、「誰の著作物であるのか」の表示は意味を持ちます。また、おそらくは著作とは言い難いようなものまでを著作とするのは弁護士として、あるいは人としてどうなのかとの疑問を抱かざるを得ません。さすが「国際派弁護士」というところでしょうか。
まだまだこの弁護士は突っ込めるところがありそうですが、とりあえず簡単なところを調べてみました。