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[第5章●録音データのデジタル化道]
7… LPをCD化する
[2003.12.03登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

この連載はまがいなりにも「シゴトの技術」と銘打っている。しかし、今から書こうと思っていることは、どう考えても私にとって「シゴト」の一環であると強弁することはできないし、これがシゴトの範疇にあるという職種も思い浮かべることができない。どうかんがえても、私にとっても、他の誰かさんにとっても、アソビでしかない、と思う。でも、ま、いいか。

歳、とってきたんでしょうかね。昔聴いた音楽を聴き直してみると、たいそうイイ。懐かしいし、心、震える。そんなことはついぞなかった。昔より今現在のほうが、いつも、よりマシだと思い続けてきたのに。

だから、さいきん時々、昔のレコードを引っ張り出して聴いている。でも、これが少し面倒くさい。シゴト場にはレコードプレーヤがないため、居間にあるコンポを使うことになる。それに、LPってのは片面せいぜい20分くらいなので、そのたびに立ち上がって裏返さなければならないし、傷をつけないように慎重に操作しなければならない。ロングプレイなんて命名は、今となっては冗談のように響いてしまう。

やはりCDの方が、ずっとラクチンだ。そんなわけで、LPで持っているものでもCDを買い直すこともある。が、CD化されていないものもずいぶんある。自分がイイと思うLPほどCD化されてないのは私の好みが偏頗であるからなのかもしれない。

そこで、死蔵LPのCD化。もちろん著作権に抵触する可能性はなくはないのだが、個人的なバックアップということで勘弁してもらおう。

今回購入したUA-1Xと、それにバンドルされていたSound It!を使うことでLPをCDにすることができる。ま、これも購入動機の大きなひとつであったのではありますが。

まず、居間のコンポ(極古)のテープREC端子とUA-1AのInput端子をケーブルで結ぶ。もちろんUA-1Aはコンピュータ(ThinkPad)のUSBポートにつなぐ。

まず取りだしてきたLPは浅川マキの数枚。彼女のLPはごく最近の数枚以外はすべて現在入手不可能になっている。十代の終わり頃、私はよく彼女のコンサートに足を運んだ。どのLPもいいが、やはり「灯ともし頃」(1976)がいちばんでしょー。

Sound It!で「16bit 44100Hz Stereo」設定で新規ファイルの画面を出しておき、LPをターンテーブルに乗せ、適当な曲をテストで再生する。Sound Itの「ウエーブ入力レベル」ウインドウを表示し、入力レベルを調整する。レッドゾーンに振り切れないレベルに設定するわけだ。私の理解が浅薄なのかもしれないが、この調整がよくわからない。ま、適当で大丈夫のようだ。

このインジケータを見ながら録音レベルを設定する


レベル調整がすんだら、再度ピックアップを最初の曲に戻し、Sound It!の「Rec」ボタンをクリックする。録音中は画面に波形もなにも表示されないので拍子抜けだが、よく見るとウインドウの隅に[Rec: 1m17s563ms]というような録音累計時間がくるくると表示され、同時にハードディスク空き容量に応じて「録音可能な残り時間」もまた表示される。

LPの片面にはふつう数曲が収録されているが、途中でとめないで全部を流しで録音する。片面が終われば、Sound It!の「停止」ボタンをクリックし、たとえば「A_men.wav」というような名前でWAV形式ファイルとして保存する。21分46秒の演奏時間でファイルサイズは219MBある。そしてこのファイルとともに「A_men.wav.pkf」というファイルが生成されており、こっちは2.28MBだ。

LPをひっくりかえしてB面も同じようにワンファイルに録音する。

これでとりあえずLPのデータはコンピュータに取り込まれたことになる。このままCDに焼いてもいいのだが、それではあまりに芸が無い。CDプレーヤで再生した時、曲番号がA面全曲「1」になってしまうからだ。そこで、それぞれの曲でファイルを切り分ける。

切り分けは意外に難しくない。下の図の波形データで丸印をつけたところが曲の切れ目だ。視覚的にはっきりわかる。LPには各曲の演奏時間が記してある場合が多いから、その時間データを参考にしつつ、この切れ目から切れ目までをちょっと前後に余分を含めてドラッグし、コピーする。

まるで囲んだ部分が曲間の無音部分。この間をコピーして新規ファイルを作成する


新規ウインドウを出し、そこにペースト。これを部分的に再生しながら前後の不要部分をカットする。つまり各曲の独立したファイルを作る。これを曲順に「01.wav」というような名前で保存して行く。この間の作業は10分そこそこであろうか。

全ての曲を独立のファイルに加工し終わったら、こんどはCDを焼くためのソフトを起動する。今回私が使用しているThinkPadにはRecord Nowというソフトがバンドルされている。このソフトで「オーディオディスクの作成」→「オーディオファイルからオーディオディスクを作成」へ進む。

ここで先ほど作成した各曲のファイルを順番に「追加」し、「CD作成」。ただこれだけの作業で、LPが音楽CDにバックアップできる。

曲データを曲順に並べてCDを焼く



これで死蔵LPも仕事場で再生することができるようになった。ただ、浅川マキをBGMにシゴトができるかといえば、そんなことはもちろん不可能であったが。

もちろん言うまでもないが、各曲のファイルをWAV形式ではなくMP3で保存することで、HD内に保存してコンピュータのスピーカから再生するようにしてもいい。それならファイルのサイズもずいぶん小さくて済む。

ともあれ、CD-Rドライブ(CDの書き込みができるドライブ)搭載のコンピュータ(最近の機種ならたいていそうなっているだろう)とUA-1XなどのUSBオーディオ機器があれば、プレイ時間+十数分の時間と手間で、私蔵LP(もちろんテープなどでも同じ)がたやすくCD化できる。これはいい。

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*匿名*さんより
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[2005-02-17]

*無題*

Senor Mouseさんより
ご意見いただきました

[2005-06-02]

浅川マキ“灯ともし頃”好きです.

私も浅川マキの歌が好きでした.LPは8枚持っていますが,
最近はiPodで聞いていて,CDの“ダークネスI〜IIIを買いました.
80年代90年代の曲もなかなか渋くて良いのですが,
初期作品の方が懐かしく心にせまるものがありますね.
“灯ともし頃”は一番好きなレコードで,CD化されていると聞いて,
探してみたのですが,どこも在庫なしでした.
“それはスポットライトではない”とか,“夕なぎの時”
“センチメンタルジャーニー”,“どこへ行くの”等は,
ダークネスI〜IIIの初期作品集には含まれていないので,淋しく思っています.
私もLPからAD変換しようかと考えていたところでしたが,
どーも面倒で...

藤野善吾さんより
ご意見いただきました

[2006-05-12]

今が“灯ともし頃”

wav.pkfを検索していたら、この記事にたどり着きました。
記事面白かったですよ。

私は自分で作詞し、作曲した作品をCDに収めようとやっていたので、すぐ分かりました。

あなたは凄く感性が豊かな方ですね。感性は少しずつ完成されてゆくものです。だから、昔聞いた曲が胸に響くと思われたのはそれだけ感性が研ぎ澄まされてきてるからでしょう。

私のオリジナル作詞・作曲集は「恋の配達便」で新風舎から発行しています。
7&yやamazon.comのネットでも購入できますが、きっと気に入ると思います。

なぜなら、あなたと同じように、今自分の心を動かす曲に出会えないので、自分で作ったからです。
今が“灯ともし頃”と思っています。

最後にレベルを調整するところをもう少し丁寧に説明してもらえば幸いです。

花畑Q太郎ですさんより
ご意見いただきました

[2006-07-26]

はじめましてQ太郎です

レコードをCD化できないかとリンクした友達が紹介してくれました。淺川マキですか・・ちょうど今CD持っていますが、私の母が大ファンで、かもめや13日の金曜日のブルースがお気に入りだそうです。やはりいるんですね淺川マキのファンて・・。
それよりレコードをCD化ってUA1Aってなんですか?ぜんぜん意味がわからなくて参ってます

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