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[第5章●録音データのデジタル化道]
3… 音を取り込むためのハードウエア
[2003.08.30登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

沢辺さんから取材の録音データファイルを受け取った時に、積年の問題をまるごと解決してしまう道順が一気に理解できた。

録音データはコンピュータのデータファイルにする。これをグラフィカルにコントロールできるソフトを探す。ソフトに対する要求は、録音の「中身」が全体として視覚的に見えるようになっていること。任意の場所に「しおり」を挟み込むことができること。もちろん一部を削除したり、つぎ足したりの編集が可能であること。できれば再生のピッチをコントロールできること、である。

録音の中身をデータファイル化するのは、沢辺さんの場合はもはや終わっている。件のICレコーダがあればそれでいい。それ以外の場合、たとえば私のように録音機器がMDレコーダである場合はどうするか。そういったオーディオ機器からの出力をコンピュータに取り込む方法があればいい。

これで、録音データをコンピュータ上で再生しながら編集し、原稿を起こした後は、その原稿のファイル、メモ類、写真データなどと一緒にひとつのフォルダにまとめて保存しておけばよい。録音データはサイズが大きくなる(だろう)から、この一件書類はまとめてCD-ROMに焼いちゃってもいいだろう。ラベルを適当に作って書棚に保管しておけば、いつでも取り出すことができる。永久的にとは言えないが、いつでも再利用することができるわけだ。

自分だけのことを考えるなら、Macで実現できればそれでよい。私の場合、シゴト(原稿書き)で使っているのはほとんどMacであるからだ。しかし、情報をより汎用的なものにするにはWindowsでのやり方も押さえておかねばならないだろう。ひとまずはMacでの方法。Windowsはその後で考えていくことにする。

まずは音声データのコンピュータ取り込みから。

音声データをコンピュータで取り込むにはふたつのことを考えなければならない。ひとつはハードウエア、もうひとつがソフトウエアだ。

DOS/V機、つまりWindows機でもMacでも、ほとんどすべてのコンピュータには「マイク入力端子」が装備されている。Macの場合、それがないのは最近の機種ではクラムシェル型のiBook、初期型のPowerBook G4くらいだろうか。このマイク入力端子にMDプレーヤなどの音声機器の出力端子をつなぐことで、ハードウエア的には一応OKである。この方法は別途あらためて記述する(昔やったことだから、あまり好奇心が喚起されないからというきわめて勝手な理由ですが)。

マイク端子を通じての音データの取り込みはノイズが乗ることがあるなどの短所がある。そういう意味で現在の「流行」はUSBオーディオだ。USBを通して音ファイルの出入りを取り扱おうというもの。それを実現するためにはUSBオーディオ機器を入手しなければならない。

USBオーディオ機器には大きくふたつの範疇がある。ひとつは出力専門のもの、もうひとつは入出力双方が可能のものだ。出力専門のものとは、コンピュータの音声出力(たとえば音楽ファイルを再生するとか、DVDを再生するとか)をUSB経由で取り出すことが目的の装置である。つまりこの装置の目的は「外部スピーカによりよい音、サラウンドなどの付加価値を付ける」ということにあるわけだ。これは私の目的には合致しない。欲しいのは入出力が可能な装置である。コンピュータから音を外へ出すこともできるが、外の音をコンピュータに取り込むことができる、というもの。

安価でMacでも使える製品で言うと、ローランドUSB Audio Interface AUDIO CAPTURE UA-1A(オープン価格、市価7,800円程度)がある。これにはWindows、Mac双方の「取り込みソフト」も付いている(ただしMac OS X版は無償クーポンを送付すればあとで送られてくる)。

バンドルされているMac用のソフトとはSound it!である。これは定価で9,800円、ヨドバシでも6,980円(03.7.23現在)であるから、ハードウエアの7,800円は安いと言える。

しかし、私が購入したのはAFiNA VH-7PC(製造元ケンウッド;発売元ソーテック)というものだった。安かったからだ。在庫が大量に余ったからだろうか、ずいぶん長い間、投げ売り状態で売られていた。9800円。

VH-7PC

ごらんの通り、まるでミニコンポのような形状をしており、現にミニコンポとしても使えるし、中級品のそれと同等の機能性能も持っている。オーディオ機器的に言えば、アンプ+FM/AMチューナー+CDプレーヤ+スピーカーである。

USBケーブルを介してコンピュータとつなげるようになっていて、コンピュータに音を取り込んだり、コンピュータの音をこちらのスピーカーに取り出したりすることができる。コンピュータからこの機器をコントロールすることも可能だ。

単体でCDを再生しても、音質はかなりいい。

ただし、ソフトは一切付いていないので、自分で用意しなければならない。いつものことだが、ネダンの魔力に惑わされて、選んではいけないものを選んでしまったのかもしれない。

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