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[第5章●録音データのデジタル化道] 10… ハンドセットかヘッドセットか |
[2005.02.17登録] |
石田豊 |
Skypeの話を続ける。 前述したようにぼくがメインで使っているコンピュータ(PowerBook G4 12inch)にはスピーカーとマイクが内蔵されている。であるから、Skypeで音声通話をする場合は、コンピュータに向かってしゃべればよく、相手の声はコンピュータから聞こえてくる。 ぼくはひとりでシゴトをしているためこの姿を他の誰かに見られることはない。しかしもし誰かに見られたら、これはどうも不気味な光景ではあるまいか。ちっちゃな銀色のコンピュータに向かって会話している中年男。何とも見られたものではなかろう。人に見られていなくても、天知る地知る我が知るってことで、自分でも居心地はよろしくない。やはりここはどうしても「しゃべることに適した舞台装置」が必要であると思う。たとえば受話器。 他に誰もいない部屋で、ひとりしゃべっている人の図というのは、どう考えてもケッタイなものである。それはたとえ受話器を持っていたとしても本来は同じだ。しかし電話の長い歴史のせいか、それをヘンだと思う感覚が麻痺してしまっているだけだろう。受話器さえ片手にしていれば、それも日常の光景に埋もれてしまう。だもんで、Skypeを使う際には、どうしても「しゃべっていてもヘンには見えない小道具」が必要になるのだ。 もちろん、マイクが内蔵されていないコンピュータ(のほうが普通だが)の場合は、どうしてもマイクを調達してこなければならない。マイクがつながっていない状態でSkypeの電話機能を使おうとするとエラーになってしまうとの事である。 じゃあ、何を用意するか。考えられる装置は二通りある。ハンドセットとヘッドセットだ。ハンドセットというのは、要するに受話器である。電話の受話器のようなかたちをしている装置をコンピュータに接続する。たいていはUSBポートにつなぐ形になっている。それを片手にSkype通話するわけだ。傍目にはコンピュータの前に座って電話で会話している図にしか見えないだろう。それは現在のオフィスないし家庭にあってごくごく普通の光景で、なんら怪しまれるものではない。 もうひとつの選択肢がヘッドセットだ。ヘッドホンにマイクがついているような代物で、DJが使っているのを見かけたり、電話のオペレータが付けている風景をテレビのコマーシャルなどでよく目にしているはずだ。たとえば黒酢のヤズヤのそれとか、保険や消費者金融のそれとか。 Skype通話を平常心で行うには(または他の人がいる部屋で通話をするには)、このどちらかを用意しなければならない。じゃあ、どっちにするか。 売られている製品の種類でいえば、圧倒的に多いのはヘッドセットだ。ハンドセットというのはまれである。価格はピンキリではあるものの、総じてヘッドセットの方が安い。 ヘッドセットの弱点は、片手がふさがってしまうということだ。せっかくのIP通話であるのだから、できれば両手がフリーであらまほしい。話しながらキーボードとかを操作したいからである。 昨今の受話器というものは、軽すぎ小さすぎツルツルすぎるので肩にはさんで使うことが事実上不可能である。その点往年の黒電話はよかった。ちょっとしたコツさえ掴めば、肩にはさんで通話しながら両手は自由に使えた。そのうえ当時は受話器にパチンとはめこんで、肩に挟みやすくする道具なども売られていた。それを使うと、もっと挟みやすくなったのである。 いっぽう、ヘッドセットの弱点は、いかにも仰々しいということだ。ぼくらはなにも長春館製薬の電話オペレータではない。Skypeで通話する時間の割合なんて、ごくごく小さい。だから常時ヘッドセットを着用しているわけにはいかない。いざ、Skype電話がかかってきたときに、机の上に放置してあるヘッドセットを頭につけるのは、なんともうっとうしい。時間もかかる。 日高さんは、ヘッドセットをすでに所有しているにもかかわらずハンドセットの方がずっと魅力的だという。存在そのものがレアであるからオタク心をくすぐるという理由もあるらしい。Skypeで使えるハンドセットとしてはライブドアが販売しているlivedoor-Skype対応高機能USBハンドセット「サイバーフォンK」がもっとも入手しやすいだろう。値段は8,925円。見た目はなかなかかっこいい。USB接続だからその端子につっこむだけでいいし、なにしろSkype認定マークがついているそうだから相性問題とかで悩むことはないはずだ。 しかしぼくは(人になんと罵られようと)ヘッドセットのほうが魅力的に思える。何も肩こりのリスクをおかしてまで軽すぎるハンドセットを肩に挟むような曲芸はしたくない。Skype通話はキーボードがちゃんと操作できないと効果半減である。ましてやキンエンしてしまった今となっては尚更だ。着脱の困難なんか、なんだっていうんだ。 だから、ヘッドセット。 ヘッドセットはなぜかは知らぬが、むちゃくちゃ多数の製品が販売されている。下は500円からあるし、接続方法もUSBあり、マイク&スピーカー端子接続式あり、Bluetoothありと百花繚乱である。 いちばん高いヘッドセットがどのようなものであるか知らないが、きっと上見りゃきりないで、とてつもなく高いものもあるのだろう。しかし、高級品と言われているものでも、たいていはせいぜい1万円以下である。 このくらいの価格帯でいろいろ存在するっていう製品を選ぶのほど難しいものはない。もっと高いもの、たとえばクルマを選ぶ場合は、心理的にもっとラクである。ん、なに、このクルマ、かっこいいなあ、え? 800万、あほか、そんな金、どこにあんねん。即座に断念できる。いいものを所有するってことは心躍ることではあるんだが、最上のものを現実に買えやしないならなにも神話やら心的満足やらに拘泥することはない。でもな、サイコーで1万円となると、心が乱れる。よっしゃ、いちばんいいの買っちゃろやないか、などと策謀し始めたりするのだ。そのあからさまにビンボー体質に自分で自分がいやになり、そういうココロを自己否定する自分もあって(なんも500円のやつでいいやん)、なかなか難儀なことになる。 てなことを言い出すには、じつは心当たりの製品があるからなのだ。PLANTRONICS社製のヘッドセットだ。 この会社はこともあろうにヘッドセットの専業メーカーである。まずここにビビっとくる。アメリカではトップシェアでもある。その筋の男たちに言わせると、SF系の映画のなかでヘッドセットが出てきたらほぼ100%はこの会社の製品であると思っていいらしい。ぼくには見分けがつかなかったりするのだが。ま、カッコいいわけですね。プロの電話オペレータたちにも制式採用されているともいう。なによりアポロ11号ニール・アームストロング船長の例のセリフ、「That’s one small step for a man, one giant leap for mankind」もまた同社のヘッドセットを通して発せられたなんてことを知ってしまうと、もうどうにもこうにも。その神話だけでも1,380円くらいの値札がつく。つまり競合品に1,380円がとこ、下駄を履いた状態になってしまうのである。ま、世代と嗤うなら嗤ってちょうだい。 いままでのぼくはそういうことは多少なりとも知っていたのだが、ヘッドセットそのものを所有するという必然性がなかった。だからそれは単なる神話上の知識にすぎなかった。しかし、今は違う。Skype者になってしまった今は、ヘッドセットを導入しなければならんという状況に追い込まれてしまったのである。こりゃもうPLANTRONICSを選ばなければ男がすたるってモンじゃないですか。 |
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ぷらちなさんより [2005-04-30] |
誤植 >ヘッドセットの弱点は、片手がふさがってしまうということだ ハンドセット の間違いですな |
toriさんより [2005-05-20] |
悩みが増えた skypeを導入して二日目に目にした記事。 IP電話自体が半信半疑だった為、まさに本文中もある 500円!のヘッドセットでスタートしてみましたが 十分に使えるにもかかわらず、 「かっこいいのはやっぱりハンドセットかな?」などど 不埒な考えが頭をもたげていた所で、この記事を読みました。 結果、かっこいいヘッドセットもいいな! 結論出るまで次品の購入はお預けです。 |
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