幸福のつくりかた

発行:ポット出版
橋爪 大三郎 著
定価:1,900円 + 税
ISBN978-4-939015-29-8(4-939015-29-7) C0036
四六判 / 296ページ /上製
[2000年12月刊行]

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内容紹介

日本人にいま必要なのは、「日本人が、言葉と人間の関係をいちから築き直すこと」だと、社会学者・橋爪大三郎はいう。
リアリズムに根ざした「幸福になるための教育改革、社会改革」を考える一冊。
教育・政治・働き方をキーワードに、日本・日本人のこれからを語った講演録を主に収録。

目次

はじめに
1章 幸福な学校
学校教育の敗北
 プライドを育てる教育
教育が変われば、日本が変わる 学力と人格を区別する
 足並みを揃えない
 入学試験をなくす
 入学試験の代わりに奨学金
 教師枠を外国人に開放する

2章 幸福な社会
社会を元気にする表現戦略
 元気が出ない四つの理由
民主主義はよみがえるか
 政治は現実をつくりだす
公共事業とは何か
 出資法と公職選挙法をなくす

3章 幸福なわたし
幸福原論
 子供が遊びを失ったとき
 リアリズムと理想を育てよう
 人は誰でも幸せになれる
日本人はいま何を考えれば……
 戦後は戦前の裏返し
 個人の生きやすさを追求する

おわりに

前書きなど

 しばらく前から、日本人がみな子どもにみえて仕方がない。
 若い世代の人びとばかりではない。私と同年代、いや、けっこう年配の日本人まで、子どもっぽくみえてしまう。
 これはどういうわけだ。私が年をとったせいか?
 きっとそうだ、と気落ちしていた。が、最近、これはやっぱり、日本人のほうに問題があるのでは、と思い直すようになった。
 (中略)
  日本人が子どもにみえるのは、こうした世界の変化に気がつかないで、のほほんとしているからだと思う。
 日本では、「自分の思想や行動について説明し、理解を求める」のは、弱い者のやることだった。力のある者は、そんなことをする必要がないので、黙っていればよかった。これが日本の文化なので、日本の政治家は国民に政策を説明するのが下手だし、アメリカをはじめとする国際社会に、日本の国益や、日本人の思想と行動を説明するのはもっと苦手だ。そんなことはしたくないと、無意識に思っているのである。
 自分が個人として、何を考え、どう行動すべきなのかについて、言葉(日本語)を用いて徹底的に考える。同時に、社会の現状とあるべき姿についても、同じように徹底的に考えていく。そういうことを、なるべく大勢の日本人がいますぐ始めないかぎり、日本はこのまま、ずるずると駄目になっていくほかはない、と私は思う。(後略)

担当から一言

いま、子供たちは幸福に教育を受けていますか。いま、私たちは幸福に働いていますか。いま、私たちの社会は幸福といえますか。橋爪大三郎が考える「幸福のつくりかた」。

著者プロフィール

橋爪 大三郎(ハシヅメ ダイサブロウ)

1948年神奈川県生まれ。東京大学文学部社会学科卒業、同大学院社会学研究科博士課程修了。執筆活動を経て、1989年より東京工業大学に勤務。現在、同大学院社会理工学研究科価値システム専攻教授。社会学者。
主な著書に、
『言語ゲームと社会理論』(1985、勁草書房)
『仏教の言説戦略』(1986、勁草書房)
『はじめての構造主義』(1988、講談社現代新書)
『冒険としての社会科学』(1989、毎日新聞社)
『現代思想はいま何を考えればよいのか』(1991、勁草書房)
『民主主義は最高の政治制度である』(1992、現代書館)
『僕の憲法草案』(1993、ポット出版)
『橋爪大三郎コレクション(全3巻)』(1993、勁草書房)
『性愛論』(1995、岩波書店)
『橋爪大三郎の社会学講義』(1995、夏目書房)
『橋爪大三郎の社会学講義2』(1997、夏目書房)
『選択・責任・連帯の教育改革【完全版】』(1999、勁草書房、共著)
『こんなに困った北朝鮮』(2000、メタローグ)
『言語派社会学の原理』(2000、洋泉社)
『天皇の戦争責任』(2000、径書房、共著)ほか多数。
ホームページ http://www2.valdes.titech.ac.jp/hashizm/
Eメイル   hashizm@valdes.titech.ac.jp