ワタシが決めた
定価:1,800円 + 税
ISBN978-4-939015-28-1(4-939015-28-9) C0036
4-6変 224ページ /上製
[2000年10月刊行]
内容紹介
セックスワーカーによるセックスワークについてのエッセイ集。日頃思っていること、過去の体験など、仕事にまつわることを書いてもらいました。
イメクラ・売り専・街娼・ソープ・ヘルス・ホテトルなど職種はさまざま。
目次
●私のお客様たち/なりえ[イメクラ]
●公佳、お店に痴漢を連れてくるの巻/坂本公佳[イメクラ]
●こんにちはクロ助/あきら[売り専]
●立派になりたい/愛羅[ヘルスほか]
●ストーカーのような、ストーカーじゃないような/東雲[ソープ]
●女だったら…/岡本竜之介[売り専]
●「摘発」〜それはある日突然に〜/ななほ[韓国エステ]
●オナニスト客vs.女王様/無言の戦い/エリザベス貴子[SMクラブほか]
●フェラチオでイカせる瞬間、私は救いの賛美歌を聞く。/かのこ[ピンサロ]
●ソープでイメクラ/るい[ソープ]
●チューリッヒ日記/レディー・ももんが[街娼ほか]
●私が辞めない訳/みさき[出張ヘ泣X]
●はじめての日/綾瀬麗次[売り専ほか]
●十五年の私と十八年の店/杉田美香[ヘルスほか]
●仕事についての私なりのきまり事/ミリ[ホテトルほか]
●公佳、お店プロデュース計画を立てるの巻/坂本公佳[イメクラ]
●SEX WORK IS WORK/滝波リサ[ヘルスほか]
●芸者になった日/長岡幸[芸者ほか]
●首を絞めながら思ったこと/かわいひでとし[売り専]
●新人だった頃のこと/なりえ[イメクラ]
●男の本当の魅力って何なのだろう/トモミ[イメクラ]
●ある日の忘れられない客/野口学[売り専]
●公然猥褻で捕まったワタシ/花房みつこ[ストリップほか]
●女王ちゃま/榮子[SMクラブ]
●パン助の夏休み/GOAT[売り専]
●私の仕事、どう思う?/内藤あかり[ストリップ]
●明日の私と80才の私/文野啓也[売り専]
●良い人だっているのだけれどね… お客に一言/くらら[イメクラ]
●タイムマジック/聖子[ヘルス]
●こんにちは「AV女優」です。/白石ひとみ[AV]
●編者あとがき/松沢呉一
前書きなど
本書は、セックスワーカーによるセックスワークについてのエッセイ集です。一言で言ってしまうとそういうことになりますが、ここに至るまでには長い長い道程があり、深い深い思いもあるのです。
拙著『風俗就職読本』(徳間文庫)に出てきますが、このような本を構想し始めたのは二年以上前のことになります。残念ながら、当時某社に出した企画はあっさりボツ。「売れない」という判断だったのでしょう。その後、知り合いから同類の本を出したいという話が持ち込まれ、ポット出版に紹介したのですが、これも実現せず。
そうこうするうち、昨年、私は『売る売らないはワタシが決める』(通称「売る売ら」)の編集を開始します。いわば理論編として、あの本は重要な論点をいくつも提出できたと自負してますが、作っている過程で、「売る売ら」だけでは不足だと強く感じるようになります。売買春は是か非か、性の商品化は是か非か、なんて論じている間にも、現実に、ソープ嬢、ヘルス嬢、ピンサロ嬢、ホテトル嬢、街娼、ストリッパー、ヌードモデル、AV俳優、売り専たちは肉体を使って日々暮らしています。知名度を問わず、職種を問わず、性別を問わず、年齢を問わず、彼らの声をそのまま出していく場を作ろうというのが、本年1月にインターネットで始まった「ワタシが決めた」(通称「ワタ決め」)であり、そこで集まった文章をまとめたのが本書というわけです。
担当から一言
『売る売らないはワタシが決める』によって売買春肯定を打ち出し、売買春否定論に反論への反論を試みた。しかし、現実は論理をとっくに飛び越えていました。
否定論者がどのような論理を振りかざそうとも、そのような論理とはかけ離れたところで、実際に、彼らはからだを使って日々暮らしていました。
本書は、セックスワーカーにホームページから執筆を呼びかけ、また、編者らが直に声をかけるなどして集められた、セックスワーカーによるセックスワークについてのエッセイ集です。
内容は、日頃思っていること、過去の体験など多岐に渡り、職種もイメクラ・売り専・街娼・ソープ・ヘルス・ホテトルなど様々です。
「風俗嬢は〜だ」と、ひとくくりにして語られがちなセックスワークという職業も、他の職業と同様にいろいろな人がいることを再認識させられます。
著者プロフィール
松沢 呉一(マツザワ クレイチ)
1958年生まれ。幼少期は主に北海道を転々とする。大人になってからはいろんな仕事を転々とする。20代からライターはやっていたが、主たる仕事になったのは30代に入ってから。
一時、ライターを廃業にして、店員になろうとしたが、とてもそれでは食っていけないことを悟り、ライターに戻る。現在も中野タコシェでたまに店員をやっている。ここ3年ほどはすっかり風俗ライターで、風俗関係以外の原稿依頼は減る一方。書きすぎて、みずからボツにした原稿は溜まる一方。
現在、ポット出版のWEBサイトで「黒子の部屋」を公開している(http://www.pot.co.jp/)。