外国人が公務員になったっていいじゃないかという本

発行:ポット出版
岡 義昭 編, 水野 精之 編
定価:1,400円 + 税
ISBN978-4-939015-00-7(4-939015-00-9) C0036
A5判 / 206ページ /並製
[1989年11月刊行]

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内容紹介

目次

ぼくらは本をつくろうと決めた!!

第1章 外国人が公務員になったていいじゃないかという挑戦3
 いろんな国の人間が区役所で働いておって当たり前なんや
 私がこんなにおかしいと思うこと、人が黙っている訳がない
 共に生き、共に学び、共に働く社会をめざして

第2章 外国人が地方公務員になったていいじゃないかという手引
 地方公務員という仕事
 受けれる受けれない全国一覧

第3章 外国人が教員になっていいじゃないかという手引
 「在日」の存在と国籍による制限
 外国籍住民と自治体改革
 国籍による制限の法的諸問題

第4章 外国人が公務員になったっていいじゃないかという理屈

第5章 外国人が公務員になったっていいじゃないかというネタ

 資料
 法令

前書きなど

 今年の五月、自治省は全国で働いている外国籍の地方公務員の人数を発表しました。それによれば、昨年四月一日現在、全国の自治体において、臨時や非常勤の職員をふくめて、一六一六人の外国人が地方公務員として働いていて、そのうち常勤の職員は五三九人ということです。

 みなさんは、この数字を見てどんな感じをもたれましたか。もうこんなに多くの外国人が自治体の職場で働くようになっているのかと驚くひと、まだこれしか採用されていないのかと憤るひと、そして、外国人も公務員になれるという事実そのものを新鮮にうけとめたひとも多いかもしれません。

 外国人も公務員になれますかという問いに、どういう考え方をしたらいいのかけっこう迷います。どうしたかというと、すべての職種にわたって門戸をひろく開放している自治体がある一方には、全国的に国による制限をもうけて外国人の受験を拒んでいる自治体があり、そして、両者のあいだには、職種によって受験可であったり、不可であったりする自治体があるという、とにもかくにも、さまざまにいりみだれている現状のなかでは、ひとことではとても答えられないからです。

 というわけで、ぼくらは本をつくろうと決めました。

 なんやかんやいっても、やっぱり、人生の一大事にちがいないない就職をひかえた、在日の生徒や学生を読み手にイメージしながら、ぼくらはこの本をつくってきました。彼や彼女が、もし、先生になりたいとか、市役所で働くのもいいなと考えたとしたら、それだけのことで、いやおうなく彼や彼女は、この国の社会にある大きな、しかも理不尽な壁にぶちあたることになります。この壁をまえにして、いろんな選択がありえるでしょう。壁にエイッと立向い風穴をあけてやろうという決断があるかもしれません。あるいは、壁のないところを見つけて、ヒョイと入ってみる方法もあります。どちらにしても、この本は実用的なマニュアルとして役に立つはずです。

 ぼくらは教師や役所の職員がなにかしら特別な仕事だとは考えていません。世の中にいろいろある職業のひとつです。ただ、自分のやりたい仕事が公務員の仕事で、公務員を目指した彼や彼女が、理不尽な壁をまえにして途方にくれることのないように、あきらめて、ひきかえすことのないように、ぼくらはこの本をつくりました。

(以下略)

担当から一言

共に生き、共に働く社会を目指してつくった在日外国人の地方公務員、教員就職マニュアル。

著者プロフィール

岡 義昭(オカ ヨシアキ)

自治体職員

水野 精之(ミズノ マサユキ)

自治体職員