障害者の親亡き後プランパーフェクトガイド 障害のある子をもつ親が 安心して先立つためにも

発行:ポット出版プラス
前園 進也 著
希望小売価格:2,200円 + 税 (この商品は非再販商品です)
ISBN978-4-86642-026-4 C0036
A5判 / 324ページ /並製
[2024年04月刊行]
印刷・製本●シナノ印刷
ブックデザイン 山田信也
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内容紹介

「親亡き後」を考えることは、自分たち両親が健在のうちに、障害のあるわが子を一人立ちさせることにもつながります。
弁護士であり、 重度知的障害児の父親である著者が 自身の親亡き後対策も例に挙げながら解説。
具体的な計算式・今ある制度の活用法で わが家の「いくらで」「どうやって」がわかる。
障害者の家族はもちろん 健常者の老後対策にも直結するアドバイス。
7つのステップで「何からどうすれば?」を迷わない!

目次

前書きなど

●はじめに
・「親亡き後に備える7 つのステップ」 はどのようにして生まれたか
私には、重度知的障害の子どもがいます。
3 歳になるころ、主治医から診断が下されました。
診断が下されるまでの私は、わが子の発達の遅れから目を背けていまし た。
知的障害であれ発達障害であれ、3 歳になるまでは確定診断が出にくい と聞いていましたし、健常児を育てる親御さんの「うちの子どもも、言葉 が出るのは遅かったから大丈夫だよ」などのはげましの言葉にすがったり もしていました。
1 歳半検診の前から発達の遅れを心配し、いろいろと動いている妻の姿 を見ながらも、わが子の障害に向き合うことを避けていたのです。 このような私も、子どもが 3 歳をむかえるころには、ようやくわが子の 発達の遅れを受け入れるようになりました。主治医の確定診断が出たのも ちょうど同じころです。 それからは療育手帳や特別児童扶養手当の申請、障害者扶養共済の申し 込みなどの手続きを一気におこないました(児童扶養手当や障害者扶養共済 については、のちに詳しく紹介)。
わが子の障害から目を背けることができなくなった私が真っ先に考えた のは、「私たち両親が死んだあと、この子はどうやって生きていくのだろ うか ?」ということです。 この問いに対する答えを求めて、障害者の親亡き後に関する書籍、セミ ナー、インターネットなどで情報を集めました。
その結果、障害者の親亡き後の備えのために役立つ法制度がいくつかあ ることがわかりました。これらの法制度については弁護士という職業柄、 すぐに理解できました。
しかし、いくら情報収集をしてもよくわからなかったことがあります。 それは、次の 2 点です。
(1)私たち親が死んだあと、本人が亡くなるまでに、どれくらいお金が
必要なのか。
(2)障害者の親亡き後の備えは、何から手をつければいいのか。
障害者の親亡き後に関するセミナーや講演の質疑応答で、私と同じよう な疑問を講師に投げかけている人をよく見かけました。ですので、私のよ うな疑問を抱いている人は決して少なくはないのでしょう。
調べてもわからないのであれば、自分で考えるしかありません。その結 果として生まれたのが、本書で紹介する「障害者の親亡き後に備えるため の 7 つのステップ」です。本書は、私が抱いた 2 つの疑問に対する、私な りの回答です。

具体的には、次のようなステップとなります。
(1)障害者の収入には何があるのかを明らかにする
(2)障害者の支出には何があるのかを明らかにする
(3)障害者の親亡き後に残す金額を算出する
(4)障害者の親亡き後の資金をどう蓄えるか決める
(5)障害者の親亡き後の資金をどう残すか決める
(6)障害者の親亡き後の財産どう管理するか決める
(7)障害者の親亡き後のプラン(1 ~ 6 のステップ)を実行する

先に「弁護士という職業柄、親亡き後に役立つ法制度についてはすぐに 理解できた」と書きましたが、反対にいうならば、わが子の存在がなけれ ば障害福祉に関する法制度について、ここまで詳しくなることはなかった だろうと思います。 弁護士を生業にしている者ですら(もともと障害福祉を専門にしていない 限りは)そうなのですから、いわんや専門家でもない方にとっては、法律 や制度を自分で調べて理解するのはハードルが高いことだろうと思いま す。
そのため本書では、制度の難しい言いまわしや、法律の条文をそのまま 引用することは避け、私自身の言葉で言い換えたりかみくだいたりしなが ら説明するように努めました。法律の条番号も基本的には記載していませ ん。
一部、読者のみなさんの参考になるだろうと思ったものについては、法 律の要旨を掲載したり、条番号や資料名を記載したりしています。

・障害をもつ子の親は、
死ぬまで 「障害者の親」 でいなければならないのか ?
ここまで、7 つのステップが生まれたきっかけについてお話ししまし た。 本書全体を通しての私の考え方についても、まえがきでふれておこうと 思います。
障害をもつ子どもを育てる親御さんからは、
「わが子が亡くなった後に死にたい」
「子どもより一日だけでいいから長生きしたい」
という声を聞くことがあります。私の妻も似たようなことを言っていました。
まさにわが子の「親亡き後」への不安・心配からの言葉でしょう。私も同じ立場として、そう思ってしまう気持ち自体は理解できます。
しかし同時に、違和感も覚えるのです。
これが、健常者の子どもをもつ親だったらどうでしょうか。
おそらく「子どもが亡くなった後に死にたい」と思う人は少ないと思います。
むしろ「子どもが一人前になって、自分の力で生きていけるようになるまでは死ねない」と考える親が一般的だと思います。健常者の親たちは、子どもを死ぬまで世話し、面倒を見るという考えを前提にしていないから
です。
つまり、一人の子どもの親であるという立場は変わらないのに、たまた まわが子が障害をもって生まれてきたというだけで、障害者の親たちは死 ぬまでわが子の世話をし、面倒を見ることが一般的にもまかり通っている し、本人たちの中にも当然だと思っている方がいるということです。 これは、とてもおかしなことではないかと私は思います。
私は、自分が死ぬまで「障害者の親」としてわが子を世話し、面倒を見 るという未来を望んではいません。 私たち親がいなくても、うちの子はなんとか人並みに生きていけそうだ と安心して死んでいきたいです。 そしてできることなら、自分が元気なうちにわが子の世話や介護から解 放されて、第二の人生を妻とともに楽しめたらと思っています。
こうした未来をただの夢物語で終わらせないためには、親の手をかりな くても子どもが生きていける準備をととのえなければなりません。 そのために必要なのが法制度の活用です。「親亡き後」を考えるという のは、自分たちが死んだ後の話だけではなく、自分たちが生きているあい だに子どもを一人立ちさせることにもつながるのです。
本書では、ステップ 1 からステップ 7 をとおして、障害をもつ子どもが 自立して生きていけるための法制度を取り上げて、そのメリット・デメリ ットを検討していきます。 制度の利用方法などの細かい情報や、対象と
なる読者が限られる話題は「深堀りコラム」にまとめました。 また★ページからは計算シートを掲載しています。みなさんのご家庭の 親亡き後に必要な金額がいくらかを具体的な計算式で導き出してながら、 親亡き後の準備について考えていきましょう。
さらに、各ステップの結びには参考としてわが家の例を挙げ、さまざま な法制度の中からわが家に適しているものは何か、なぜそれを選んだかを 解説し、プランの立て方を示しました。本書が法制度の理解だけではな く、具体的にどう現実に落とし込むかという点でも役立つものとなればう れしいです。

そして願わくば読者のみなさんが、健常者の親と同様に、わが子が成人
をむかえたら「障害者の親」を卒業し、親は親自身、子どもは子ども自身
の人生を歩んでいく未来を思い描けるようにと思います。本書がその一助
になれば幸いです。

●あとがき
本書でふれられなかった今後の課題
障害者の親亡き後の備えは、いったい何から手をつければいいのか ?
親が死んでから、障害をもつ本人が亡くなるまでに、どれくらいお金が 必要なのか ?
本書は、重度知的障害をもって生まれたわが子を育てる過程で、私自身 がぶつかった 2 つの問いに答えることをテーマに書いたものです。ここま で、計算式や数値を具体的に示しながら 1 から 7 までのステップを踏んで 解説してきました。私の抱いた 2 つの問いについては十分に答えられたと 思います。
また、終章では障害者の自立についてふれ、福祉のサポートを受けなが ら障害者が自分の力で人生を歩んでいく方法についてもお伝えしました。
ただ、本書にはいくつか足りない部分もありますので、今後の課題を明 らかにするためにもこのあとがきでふれておきます。
1 つ目は、障害者の終のすみかになり得る住まいについてです。 信頼できる障害者支援施設やグループホームの見つけ方・入り方は障害 者を家族にもつ家庭にとっては大きな課題です。一人暮らしの場合も、重 度訪問介護事業者の見つけ方・確保の仕方が問題になります。
これらについては、お住まいの地域によって話が変わってくるため、ポ イントをひとくくりにして解説することが難しかったり、現状としてどう するのが適切か確実なことがいえなかったりするため、本書ではふれられ ませんでした。

2 つ目は、ステップ 6 で紹介した法人後見についてです。既存の法人後見では望むサービスを受けられないときに、障害者の親やきょうだいが法人を設立して、望むサービスを自分たちで提供するやり方があるとお話ししました。しかし、具体的な方法については複雑かつ膨大になってしまう
ので、本書で説明することは避けました。
3 つ目は、これは本書に限った話ではありませんが、いくら親亡き後に 関する書籍を読み、セミナーを受けても、専門知識をもっていない人が自 分で適切なプランを作ることは難しいというそもそもの限界があります。 ステップ 7 でも述べたように、専門家への相談は重要です。
私が現在おこなっている情報発信と、 検討中のサービス 本書でお伝えしきれなかったこれらの点については、何か違うかたちで私のもっている知識やアドバイスをみなさんに提供できないか検討しているところです。
以下は、現在私がおこなっている、親亡き後についての情報発信です。
● Web サイト「法律相談 .jp」
● YouTube「障害者家族サポートチャンネル」

先ほど挙げた 1 つ目や 2 つ目の点については、これらをとおして、おい おい情報発信していきたいと考えています。
最新情報を知りたい方は、メルマガ登録またはチャンネル登録をお願い いたします。
また 3 つ目の点をカバーする方法として、現在検討中のアイディアがあ ります。「親亡き後のプラン提供サービス」です。 これは何かというと、情報シートを提出するだけで、親亡き後の備えに ついての最適なプランを提供するというものです。
障害をもつ子ども(またはきょうだい)の世話や介護で日々の生活に追 われている方の中には、複雑な法制度を勉強する時間的・精神的な余裕が ないという人も少なくありません。また、先にも書いたように専門知識を もっていない方が、その家庭にとっての最適なプランをゼロから作ること は難しいです。
そこで、障害者やその家族に関する情報、障害者本人や家族の意向を、 チェックシートや簡単な質問に答えるかたちで記入してもらい、その情報 にもとづいて最適なプランを提供することができればと考えています。 ご自身でプランを立てるにしても、そのあと専門家に相談するにして も、ゼロから考えるより、提供されたプランを叩き台として考えるほうが 効率的です。
まえがきに書いたとおり、私の願いは、将来うちの子が福祉のサポートを受けながら、なんとか人並みに生きていけること。そして子どもが成人したら、できれば自分が元気なうちにわが子の世話や介護から解放され、
第二の人生を妻とともに楽しむことです。
それを実現させるのもまた「親亡き後」の準備であると、読者のみなさんにはここまでの話でおわかりいただけたかと思います。
紹介してきたように、親亡き後を考えるうえではたくさんの法制度が出 てきます。はじめはとっつきにくく感じられると思いますが、それらの法 制度があることを知り、適切に利用することで、障害をもつわが子に自立 の道を歩ませることもできるのです。 もちろん、お子さんが成人したあとも自宅で介護を続けるというのも、 大事な一つの選択です。
それでも、もしも「自分は一生、わが子を介護し続けなければならな い」「障害者の親だから、もう自分自身の人生なんて送れない」と考えて いる方が、「健常者の親と同様に、子育てからの卒業を思い描いてもいい のかもしれない」「子どもが成人したら何をしようかな」と少しでも思え るようになったとしたら、これほどうれしいことはありません。
最後になりましたが、出版を快諾してくださったポット出版の沢辺均さん、編集担当の本多さんと松村さん、沢辺さんとの縁をつないでくださった作家の伏見憲明さん、そして本書が生まれた何よりのきっかけであり、
いつも支えていてくれる妻子に感謝を捧げます。

著者プロフィール

前園 進也(マエゾノ シンヤ)

弁護士(埼玉弁護士会・サニープレイス法律事務所所属)。
1974 年生まれ。2011 年に弁護士登録。わが子が 3 歳の時 に知的障害と診断されて以降、障害分野に特化した弁護士 と し て 活 動 中。
ホームページ(https://legaladvice.jp) や YouTube チャンネル「障害者家族サポートチャンネル」な どで、知的障害児の親である弁護士としての視点から、障 害者の親やきょうだいが知っておきたい法律や制度につい て幅広く情報を発信している。
著書に『誰も教えてくれな い障害者扶養共済』(Amazon Kindle 、2021)。

関連リンク

●わが家の「いくら」がわかる計算シート


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