劇画家畜人ヤプー4【復刻版】 無条件降伏編
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ISBN978-4-7808-0182-8 C0979
A5判 / 260ページ /上製
[2012年06月刊行]
印刷・製本●シナノ印刷株式会社
ブックデザイン 小久保由美
内容紹介
石ノ森章太郎(監修)×沼正三(原作)による戦後最大の奇書『家畜人ヤプー』の完結編となるコミック化第四巻を復刻(初版は1994年「辰巳出版」より)。
●あらすじ
196×年、西独逸。翌春に挙式を控えた日本人留学生・瀬部麟一郎(麟)と東独逸の名家の娘・クララは一挺の航時艇(空飛ぶ円盤)の墜落を目撃する。墜落した円盤から謎の女性・ポーリーンを救けたことをきっかけに、彼女が暮らす2000年後の未来世界、イース(EHS=The Empire of Hundred Suns)を訪れた二人。イースは徹底した女権社会であり、白人=人間、黒人=半人間、黄色人種=家畜という明確な人種階級制の国だった。「人間」クララはその地位から、イースの高度な文化・文明を享受する。一方、「家畜」麟は文化・文明の材料として、人体改造を施され、奴隷以下の存在として扱われた。
ポーリーンはクララを伴って自分の代わりに子を宿す「子宮畜」購入の相談のため、古代地球の航時探検家にして前地球都督アンナ・テラスを訪問。子宮畜の養成機関・フジヤマ飼育所での羞恥に満ちた選定の末、ポーリーンの子宮畜に選ばれたのは、入所から二年半を経た優秀な候補生・カヨであった。その道中にクララは自分の生きてきた二十世紀以降の人類の歴史を知る。そしてさらに、アンナ・テラスから日本の神話の秘密を聞かされる。それは日本書紀・古事記に語られる日本の神々は全て白人であり、彼女こそが天照大神だという衝撃的な事実であった。クララはそれらの荒唐無稽な未来を素直に信じられるほどに、すでにイースを受け入れていた。その一方で、麟もまた、クララとは違った形で、混乱しつつも自然にそれを受け入れていた。
さながら古代シナのような宮殿・瑤台でついにクララと麟は再会する。浅ましくクララに抱きつき、指を舐め、褒美をもらって大喜びする麟。すでに二人の関係は恋人ではなく、「主人と家畜」だった。瑤台で引き続き語られる、衝撃の世界史。人類の歴史・文化が全て白人由来のものであると繰り返し確認され、日本の文化は単なる猿真似の文化であると断じられる。屈辱に満ちた歴史を麟はただ傍らで聞くことしか出来ない。
クララは麟を伴い、ポーリーンの義弟である、恋人・ウィリアムとデートにでかける。白人専用のトイレとして改造された家畜「セッチン」を見た麟は日本民族の成れの果てに怒りを覚えるが、クララはリンを自らの肉便器にすることを決心し、リンはそれを受け入れる。そして、三人に合流したポーリーンの兄セシル・ドレイパアがクララに語る、ジャンセン家の人々、イースの制度、第三次世界大戦─。一つ一つの事実に、傍らの麟は茫然とするほかなかった。
リンのかつての恋人であったクララはウィリアムと婚約し、完全なるイース人となる。また、リンは生来の犬の性を開花させ、ついにはイースに残り一生をヤプーとして二人に捧げることを決心するのだった―。マゾヒズムの骨頂を描く〝戦後最大の奇書〟劇画版、ついに完結!!
目次
前回までのあらすじ
第二十七章……郭公手術(クックー・オペ)
第二十八章……ドリスとリック
※……十年後のドリスとリック
第二十九章……宴の前
第三十章……饗宴
第三十一章……宴の余興
第三十二章……無条件降伏
EHS圏用語索引
寄稿「ジュンとヤプー」天野哲夫
石ノ森章太郎プロフィール・代表作リスト
沼正三プロフィール・著作リスト
シュガー佐藤プロフィール・代表作リスト
『劇画家畜人ヤプー』刊行記録
著者プロフィール
石ノ森 章太郎(イシノモリ ショウタロウ)
1938年1月25日宮城県登米郡中田町石森(現・登米市中田町石森)生まれ。本名、小野寺章太郎。
1954年『二級天使』でデビューし、その後『サイボーグ009』『仮面ライダー』『佐武と市捕物控』など次々と作品を発表。従来のストーリー漫画にとどまらず、『HOTEL』『マンガ日本の歴史』など、マンガの可能性を開拓。1985年、石森章太郎から石ノ森章太郎と改名。1989年「萬画宣言」を行う。創作活動以外でもマンガジャパン代表世話人や、(社)日本漫画協会常務理事をはじめとする様々な役職を兼務。
1998年1月28日逝去。享年60。
没後もなお様々な分野において、その作品群は大きな影響を与え続けている。2008年角川書店刊『石ノ森章太郎萬画大全集』が「一人の著者が描いたコミックの出版作品数が世界で最も多い」として「ギネス世界記録」に認定された。
沼 正三(ヌマ ショウゾウ)
本名、天野哲夫。
旧制福岡商業を卒業後、満州特殊鋼鉄株式会社に就職、帰国して海軍に入隊。復員後は、風俗誌にマゾヒズムをテーマにした原稿を投稿する傍ら、数々の職業を遍歴し、1967年、新潮社に入社。同社校閲部に勤務しながら、小説・エッセイを書き続ける。風俗誌「奇譚クラブ」の連載をまとめた『家畜人ヤプー』が戦後最大の奇書として話題となる。
2008年11月30日逝去。享年82。
シュガー 佐藤(シュガー サトウ)
幼年の頃より絵を描き始め、石ノ森章太郎の著作『マンガ家入門』に出会い、マンガ家を目指す。仙台の看板屋に勤めながらマンガ作品を描きため、1970年、上京。レストランで働きながら石ノ森のアシスタントの席が空くのを待ち、翌71年にアシスタントとなる。
1977年、グロテスク佐藤の名義で『ゴトンゴトン』が小学館コミック大賞に入賞。その後、石ノ森よりシュガー佐藤と命名される。独立後の1983年、「GOLFコミック」にて『ゴルフ・ルールモゲラ』連載開始。10年以上の長期連載となる。1984年、『劇画続・家畜人ヤプー』を執筆。1998年の石ノ森没後、『HOTEL』など多くの石ノ森作品を手がける。
関連書
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