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第1回 鎌倉文庫メルサ店(その8) [2003年5月8日]


鎌倉書店メルサ店・岩崎さん

書店員になられて15年。
大学生のアルバイトの頃からずっとこのお店でやってきたそうです。
15年のあいだに、バブルがはじけるの体感し、近所に三省堂高島屋店さんが出来、近鉄パッセが完全若者向けにリニューアル。若いお客さんが来なくなって「誰をターゲットにするんかって、一時期混乱した時期がありました」と。


映画の棚も充実している。
ポット出版の取締役、飯島洋一映像事業部長が繰り返し読み返すほど大好きだという、
『昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫』が
棚差しになっていました。訊いてみると、
太田出版の営業の方に、
「一冊おいておけば必ず回転するから」と、
強引にプッシュされ、
熱意に負けて置いたそう。

昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫
605 p ; サイズ(cm): 210 x 148
¥4,286
* 出版社: 太田出版 ; ISBN: 487233695X ; (2002/10)




最近よく売れている、
『TVスターズ&シリーズ』 近代映画社。
現在、パート9まで出ている。800円。

●おわりに
岡田……ありがとうございました。今日こんなインタビューをさせていただいたのは、ポット出版で本はどうやって売ればいいのかな、ってことがちょっと分かんなくなってきてて。
岩崎……ははは(笑)。そうなんですか。
岡田……ええ(笑)。分からないこと無いんですが、書店さんで売ってもらっているという実感が、私自身は良くつかめていないんですね。毎日、倉庫業者から、これだけの出荷がありましたって報告は届くんですが。
なのでその感覚を掴みたいっていうのがあるんです。それと、本は、まず書店さんに置いてもらわないと売れません。当たり前ですけど。でメルサ店さんでの『カーミラ』の動きはポット出版にとっては理想的なものだったんです。この秘密を何とか聞き出して、他の書店さんにも教えてあげれたらなと思ったんです。そこで『カーミラ』を売っている本屋さんは、どんな本屋さんなんだろうと、インタビューをお願いしたわけです。
岩崎……そうですか(笑)。でも大切なことだと思いますよ。私たちもわからなくって。例えば、ある本が、正直いってどこのコーナーに列べて良いのかわからない、だから他の書店さんがどういう風に置いているんですかって、やっぱり営業で回ってきた出版社さんの方に聞いたりしますもん。でどこどこ書店さんはどういう置き方しているとか、お互いにやっぱり情報交換とかして、じゃあうちもそこに置いてみますとなって、実際売れたり、ま、それでも売れなかったり、っていうのはあるんですけれど。そういう情報は書店も知りたがっていると思うんですよ。
岡田……書店さん同士の交流はあるんですか。
岩崎……名乗ってという交流はないんですけど、たぶんこっそり行き来してるのかな(笑)。私はわりと××書店が好きなんですけど、だからさっきも言った見たいに、うちには無いけどこれ読みたくなっちゃった、でもあそこに行けばあるだろうなんて思って良く行くのが××書店さんなんかで。
うちの社員の人間はもっと細かく知っているんですよ。あの本は××書店のあそこに平積みしてあったとか。交流っていうより一方的に偵察(笑)。さすがに名乗ったりはできないんで、××書店に行って鎌倉文庫です!なんて(笑)。ここはこういう風に、こういう栞をつけて売っているんだとか、これ平積みにしてるなんて、そういう風にちょこちょこ偵察に行きますね。
岡田……その他なんですが、売上げについての悩みなんかありますか。って売れたほうがいいに決まってるんですけど。うっ、愚問ですみません。
岩崎……わりとこの店って、こぢんまりしているんですけど、周りは大型の書店さんが多いじゃないですか。高島屋さんにしても地下の三省堂さんにしても。でアニメイトはあるはで、もうどうすりゃいいんだって。悩みはいっぱいあるんですけど。やっぱりなんで高島屋さんに人があつまるんかな〜とか、ま、大きい店だからしょうがないとは思うんですけど、どうやったらお客さんが見に来てくれるかなっていうのは、いつでも悩んでいますね。
棚揃えとしては、どの棚も結構充実していると思うんですよ。各担当者が趣向をこらしてやっているので。でもそれが売上げにつながってんだか、そうじゃないんか、ちょとよくわからない感じなんですよね。だから、どうしたら人が来てくれるんかいな〜と悩み続けますよね。
岡田……版元に対する不満とかありますか。
岩崎……そうだなぁ。全部が全部配本があるわけじゃないですよね。ホントは全部入れて欲しいなと思う部分もあるんですけど、例えばうちは映画とか、ミリタリーとか、特撮とか、女性向けのとかでもそうなんですけど、けっこう売っているんだけど、でも初回の配本は1とか0なんですよね。だから、これ最初っから入っていれば売れてるのに、とか配本に対して不満を持ったりとかはやっぱりありますよね。
岡田……例えばこの本は版元は知らないかもしれないけど、いっぱい売っているのに、版元はそれに気づかず情報をよこしてくれないとか。
岩崎……ええ、ありますよね。うちは、この分野はすごく大得意でホントは初回でこれくらい欲しいんだけれどなんて思うんです。出版社によっては、うちの特性を知っていてくれてここだったら30はいけるだろうって、何にもしなくてもボーンて入れてくれる出版社さんもあるんですよ。でも大抵のところは知らなくって、うちがどういう書店かってことを。
まあ、どこの書店さんも、大型書店さんではないところは知られていないかもしれないんですけど。突出して売れている部分を知ってくれていないもんで、うちの得意分野の本が出たときも、配本は1とか2とかで、最初にいってくれればって。不満に思うことも多々ありますね。
まあ、難しいんでしょうけど。出版社さんが書店特性を知るっていうのは。
でもやって欲しいな、そういうこと。

インタビュー時間●1時間。
ありがとうございました、岩崎さん!
-----インタビュー終わり-----

最近のポット出版のテーマは、月に一冊本を出していくこと。
こう決めたことで、考えなければならないことが増えています。
企画もそうだし、出版点数の増加に伴う社内事務の簡略化などなど。
が、今は何より「本をどう売るか」です。定期的に本を出しつつ、毎月金がきちんと入ってくるシステムを作ること。それは書店さんで本を売ってもらう仕掛けを考えていくことでもあります。
ポット出版の本は何をやったら今以上売れてくれるのか。
そのヒントを探すために「書店インタビュー」をはじめました。

「書店インタビュー」ではポット出版の本の売り方の具体的なケースだけに止まらず、その書店独自の面白い本の売り方や、仕入れ方、売れ筋なんかも聞いてこようと思ってます。隔月更新予定です。お楽しみに。
ポット出版には営業のノウハウがあまり蓄積されていないので、当面はそれを探る作業が続きそうです。効果がありそうなことをいろいろ試す期間。本をどう売るか、忙しいけれどきっちりと試行錯誤できるように取り組んでいきたいです。   


岡田圭介

 
おわり
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