2012-05-28
お部屋2398/もう一度、風営法制定の経緯と目的
風営法改正についていくら書いても暖簾に腕押しだったため、やる気が失せてブログに書くのはやめ、メルマガに書き続けてます。とくに歴史については、少しずつしか調べられないので、地味に作業をしていくしかありません。
しかし、ここに至って風営法について取り上げるメディアも増えてきていて、「1年前は誰も相手にしなかったくせに、どっかがやり出すとすぐに後追いしやがって」と腹立たしい思いもありつつ、二番煎じ、三番煎じでもやらないよりはやった方がよい。マスコミというのはそういうものですから、しゃあないわ。
そういった報道やインターネットで読めるものの中で、気になることがあります。風営法制定の経緯と目的です。端的に言えば間違いだらけです。弁護士でさえ間違ったことを書いたり、言ったりしています。
例えば「売買春を防止する目的で制定された」などと書かれていたりします。その法律は売防法だす。売防法も買春は対象じゃないですが。
風営法制定当時、売春は合法ですから、風営法は売春を事前に予防するための法律でもありません。
法改正にとってさして重要なことではなく、ここまで放置してきましたが、もしかすると、私が書いた話が劣化したんじゃないかとの疑いを抱いてもいて、もしそうだとすると、いくらか責任を感じないではない。
その一部については確実にそうだったことが昨日判明。公開しているものですから、どんどん利用していただいていいのですが、正確に書いて欲しいし、自分で調べる気がないなら、勝手な想像で尾ヒレをつけないで欲しい。
たしかに私も誤解されるような表現をしていますが、風営法のタグのついたエントリーを全部読み直していただけるとわかるはず。でも、アクセス数を見ても、読まれていたのはシリーズの最初だけなので、こういうことになってしまったんでしょう。
気分が悪いので、もう一度説明します。
もともと私がダンスホールでの売春を持ち出したのは、今我々が知るダンスと当時のダンスとは別のものであることを説明するためです。
当時のダンスは善良な風俗を害するおそれがあるため、条件つきで営業を許可するのが風営法の内容です。現に売春につながることもあったわけですが、それは接客という行為も同様で、それを禁じる、防止することが目的なのでなく、そういった営業を野放しにするのは好ましくないので、制限をかけるということです。
このような規制は戦後いきなり出てきたものではありません。戦前から庁府県令によってダンスホール、カフェー、キャバレー、待合などは取り締まられてきました。これらの業種については、おそらく内務省令が主な法令で、細かくは府県令で決めていたのだと思うのですが、まだ確認できていません。
「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」により、戦後も効力を認められていたこれらの法は昭和22年末で失効、その代わりに翌年できたのが風営法であって、ことさらこの頃に風紀が乱れていたとか、ダンスホールで売春が横行していたといった積極的な理由で制定されたものではないでしょう。現に乱れていたとも言えるのですが、法律が消えたので、新しく作ったというのが正しい経緯かと思われます。
他にも横行している間違いはあるんですけど、自分が原因に関わっているわけじゃないので、放置します。
では、また私は地味な作業に戻ります。
追記:これを出したあとで、Ustのアーカイブを観ていたら、弁護士がまたいい加減なことを滔々と語ってました。当時のダンスホールの中で売春をしていたと思っているらしい。東京パレスのように、ダンスホールのある赤線はありましたけど、一般のダンスホールでそんな話は聞いたことがない。赤線外のダンスホールでそんなことをしたら、さすがに勅令九号で摘発されたはず。現実には店の外で会う話をとりつけていただけです。今のキャバと一緒。
法改正に動いている人たちの批判はしたくなく、ここでも名前は出さないでおきますが、弁護士が調べもしないで嘘八百語っているのを見ると、さすがに黙ってられないです。この時代の風俗は私の専門領域ですから、見逃すには限界あり。こんなことで批判したくないので、頼むから、ちゃんとやってくれ。
国会図書館には、風営法制定当時の解説書でデジタル化されているものがあるので、関西館でも読めるだす。私が所有していないものなので、これが適切かどうかわからないけれど、これを読むまでこの人は歴史については触れない方がいいと思う。
私もまたしばらく静かにしてます。
静かにしますとは言っていても、こうしてネットに公開してるということはたくさんの方が閲覧してるわけで私もその一人です。
随分前から風営法について調べられているようで、たいへん参考になりました。
ありがとうございます。
そして、今後もちょくちょく拝見させて頂きます。
上に書いているように、たくさんの人が読んだのは最初の頃だけ。
小刻みにやっていったので、全体を読まずに曲解した人たちがいて、さらには私が書いたものに尾ヒレをつけて、デマと言っていいことまで公然と語っている弁護士までいて、その弁護士の話を裏も取らずに新聞も掲載するに至って、力のない私がいくら書いても無駄と悟りました。
どこの弁護士かわかる人にはわかりましょうが、このエントリーの翌日に彼らのサイトでアップされた風営法の経緯は正しく修正されていて、「虚言癖か」と罵倒するメールを送ったかいがあったというものです。わかればいいってものですので、この件はこれでおしまい。できれば、過去のものを撤回して欲しいものですけど、そこまでは望むまい。
こういった複雑な問題をブログで少しずつやっていくのは難しいと今回学びました。適当な利用をされ、その尻拭いもこっちがやらなければならないのでは何もしない方がましですわ。
メルマガでやってきたことを踏まえて、間もなく共著の本に執筆しますので、あとはそちらをご覧ください。
金光様
さきほど気づきましたが、金光さんはNOONの店長なのですね。
以前から、クラブ関係者に話をしてきて、誰もが腰が退けていたため、「こりゃダメだ」とブログに書くのもやめてしまったのですが、そんな中、そちらが突破口を開いたことに対しては敬意を払っています。
ただし、その内容から、同意しにくいところがあります。同時に、足を引っ張ることになるので、公に批判もしない旨はHさんにお伝えした通り。目的は同じだろうと思いますので。
署名内容がそのまま法案になって法改正されるほど世の中甘くはないわけで、「では、どうしたらいいのか」についての批判や異論は、そちらとは別に提案をしていくしかないのだろうと思っています。