2012-02-13

お部屋2337/「SMクラブ」の公然わいせつ【追記あり】

またも公然わいせつ。

http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001202130004

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2323/ハッテンバ摘発記事の真意 にノンケ風俗ではしばしば名前まで報道されると書きましたが、さっそく名前が出されています。元記事に出ているので意味ないですけど、違法行為とは言え、こんなんが犯罪になる法律、あるいはその解釈がおかしいと思うので、名前は消しておきます。友だちになれるタイプの人たちですし。

もうずいぶん前に大阪のカップル喫茶を摘発したら、そこに男女の警官が非番で来ていたという事件がありました。あの人たち、どうしているんだろ。インタビューしたい。

SMクラブという名称は、昭和30年代にはすでに印刷物に登場していて、この頃は店という営業スタイルではなく、まだサークルです。学校のクラブ活動とか、老人会の俳句クラブとか、そういう意味合いのクラブ。「倶楽部」ってカンジ。

そこから営業スタイルに転じ、ここ30年くらい、SMクラブと言えばもっぱらプレイをする性風俗業種を指すわけですが、この場合は、飲み屋ですね。フェティッシュバーだの、SMパブだのと言われるタイプの。

屋号にクラブが入っているように、あるいは、銀座の飲み屋もクラブと言うように、SMクラブという呼称は間違いではないでしょうけど、誤解してしまいますわね。私も最初は誤解して驚きました。さすがに1対1、あるいは2人女王様であっても、SMクラブだったら、公然わいせつは成立しないです。

それが飲み屋であっても、「いいじゃないか、同好の人たちの前でチンコやキンタマくらい出しても」と思うわけですけど、飲み屋で出せば公然わいせつです。客が全員同意していても公然わいせつ、あるいは客が全員チンコを出していても公然わいせつ。これがパーティであってもサークルであっても、誰でも参加できる限りは公然わいせつ。

これはわいせつ物頒布を考えるとわかりやすいか。買った人が全員大喜びでもわいせつ物頒布は成立します。

ツイッターではまたまた「なんでこれが公然わいせつなんだ」という声が出てますけど、そろそろ検索して、「どうしてこれに公然性があるのか」「公然わいせつを取り締まることの保護法益はなんなのか」ってことや、今までに多くのストリップ劇場、ハプバーなどがこれで摘発されていて、最近はハッテンバも摘発されていることを把握した方がいいですよ。

こういうことがあるたび、「どうしてこれが」と言う人が出てきて、毎度同じことを説明することに私はもう飽きましたので、ここでも読んでおいてください。鳥越俊太郎さんも自分の発言に責任をとって、今回のような摘発、あるいはハプバーやハッテンバの摘発に憤って欲しいものです。草彅剛を擁護することはテレビ業界的にメリットがあるのに対して、こっちはメリットがないので、そんなことは決してしないでしょうけど。

この記事でよくわからないのは、店が無許可営業容疑で逮捕ってところです。風営法で定められた12時あるいは1時以降に接待をしていた容疑だったら、無許可とは言わないので、「深夜における酒類提供飲食店」の許可がなかったってことなのか。あるいは深夜営業の許可で接待までしていたってことか。

昔はSM業種は、一部のマニアが関わっているだけで、大勢に影響がないため、取締がゆるかったんですけど、今は縄で縛ったり、ロウソクを垂らすだけでも接待になるんでしょうし、ショーに対する規制も厳しいです。

この場合は、そうしたところで捕まった可能性がありますが(店は公然わいせつの幇助で)、飲み屋も時間制限を取っ払った方がいいです。公然わいせつも、合意している人たちが集まっている密室での行為は外した方がいいです。でも、そういう機運はちいとも高まらないし、メディアも犯罪として報ずるだけで「これでいいのか」に踏み込みはしないので、法改正は難しいですわ。

また、風営法のことを書いてしまった。SM業界は身近なものですから。
 
 
追記:ついでに書いておきますが、踊るクラブを「ダンスクラブ」と呼ぶムキがありますね。ダサいですけど、話し言葉ではアクセントの違いで区別できるとして、書き言葉ではクラブは紛らわしいので、区別する用語があった方がよく、ダンスクラブはわかりやすくていいんじゃないでしょうか。

たぶん警察発表がそうなっているんでしょうけど、この記事もSMクラブにする意味がないので、SMパブ、SMラウンジ、SMバーなど、飲食店であることがわかる名称にした方がよかったのに。そんなことまで新聞は考えないので、仕方ないですけど

追記2:SMクラブとしているのは「朝日新聞」「毎日新聞」「日刊スポーツ」「サンスポ」で、「サンケイ」「スポニチ」「スポーツ報知」はSMバー、「共同通信」はクラブ・飲食店の併用、地元「北海道新聞」は「共同通信」の配信記事のようで、クラブ・飲食店の併用、「読売新聞」は風俗店。接待のある飲み屋をも風俗店とする用法もあるにはありますが、一般には性風俗に限定した用語として使用されることが多いので、これまた誤解されそう。SMバー飲食店が妥当であり、現にそうしている新聞が複数あるのですから、「そんなことまで新聞は考えない」と書いたのは撤回します。