2012-02-03

お部屋2323/ハッテンバ摘発記事の真意

昨日二丁目にいたのですけど、2320「風営法とハッテンバ」で取り上げた朝日の記事は二丁目でも話題です。皆さん、この事件はとっくに知っていて、「なんでいまさら」と。去年の事件ですからね。

そこは私なりの推測もあるのですが、二丁目では記事のいやらしさを指摘する声が出ています。「大手企業社員や有名大学の学生がそこにいたことをことさらに記述して、読者の好奇心をかきたてている」と。

実際、そうなんでしょうけど、これはゲイだからでも、ハッテンバだからでもなくて、今までカップル喫茶やハプバー、乱交パーティなどの報道では、逮捕された人たちの実名も出されていた例が数々あって、この記事では、覚せい剤などの違法ドラッグがからんでいるのに、個人の名前を出していないことから、まだしも配慮されている印象です。警察発表段階で伏せているのか、報道段階で伏せているのかはわからないですけど。

20年前ならわかるとして、今の時代に「薔薇族」の伊藤文学さんを引っ張り出すのはなんだかなあとは思いますが、一般的には今なおホモ雑誌の代名詞ですから、落ち着きがいいんでしょう。文学さんの「同性愛者全体への偏見につながらないように願う」という言葉も添えていて、この記事が特別悪意に満ちているとは思わず、エロがらみの犯罪記事としては、むしろ悪意の薄い記事だろうと思います。

たいていの場合、新聞がこの手の報道をする場合、警察発表そのままであって、ハプバーやストリップ劇場の摘発記事に、「アホくさ。まだこんな摘発をやっているこの国はどうかしている。さっさと法改正した方がいい。新聞も法が妥当なのかどうか少しは考えろ」と私のコメントを掲載したりしないわけです。

では、なぜこんな記事が今になって出てきたのか。あくまで推測なんですけど、警察としては、初めてハッテンバの摘発に踏み切ったことに対する理解を求めているってことじゃないですかね。「ドラッグのことがあったので、やむを得なかったのだ」と。

ただ、ここでひっかかるのは、ドラッグのことだけじゃなくて、性感染症のことまで持ち出して、「何らかの規制が必要だ」と明言していることです。

今回の摘発に対する弁明をしているというより、本格的な規制に踏み切るための地ならしが始まったのではなかろうか。

そう考えると、「風俗店の届け出を義務づける風営法は、男女間の性的サービスが規制の対象になるため、ハッテンバは対象外となる」という意味のない一文が入っていた事情も理解できる。

これが男女間であっても風営法の規制対象ではないのに、わざわざこんなことを警察が記者に語ったのは、ハッテンバとは別に、同性間の性的サービスも風営法の規制対象にしたいとの思惑が透けて見えます。「記者は、この一文がおかしいってことに気付けよ」ってことでもあるんですけど。

ゲイバーは風営法の規制対象になり得ても、売り専は、売防法でも、風営法でも規制できないです。売り専にも女子の客がいて、それを取り上げて摘発することも可能ですが、同性間では摘発しようがない。ここに警察はイライラがあるんじゃないですかね。

性感染症を名目にした規制が始まるかもしれないので、ゲイの皆さんは、警察の動きと法改正の動きには注意した方がいいかもよ。

何度も繰り返し強調しておきますが、性感染症の担当は厚労省であって、警察の出番ではないです。性感染症については素人の警察がここに介入しても有効なことは何もできない。「行動を規制すればいい」という警察の短絡的な発想は、性感染症の対策を遅らせるだけです。

それはそうと、この事件では、「どうして公然わいせつが適用できるのか」との疑問も二丁目では出てました。「部屋の中で合意した人たちがやっているだけで、誰にも迷惑かけてないだろうに」と。当然の疑問ですが、君らが知らんだけで、ノンケの世界では、同じ条件で、公然わいせつが適用され続けてきたのですよ。

これについてはまた改めて。