2011-05-24

お部屋2215/「子どもたちを放射能から守る 福島ネットワーク」に感服[追記あり]

昨日(5月23日)は「子どもたちを放射能から守る 福島ネットワーク」が文科省に20ミリシーベルト/yの基準撤回を求める行動がありしまた。私も行きたかったのですが、バタバタしていたのと、夕方から用事があったため、途中までUstで観ていました。

アーカイブはこちら。

一方で、小出裕章、後藤政志、石橋克彦、孫正義が参考人として呼ばれた参議院行政監視委員会をUstで中継していて、「紅白歌合戦とレコード大賞を同時に放送するなよ」ってカンジでしたよ。私はどっちも観ないですが。

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文科省は責任ある立場の人が出てこず、相変わらずのらりくらり。

文科省の言い分がわかりにくい人もいるかと思いますが、代弁している人がいますので、こちらのトゥギャッターを参照。このまとめはわかりやすいです。

しかし、「誤解している人が多い」と書いているのは誤解かと。誤解している人もいるでしょうが、抗議している人たちの多くはこのような文科省の言い分を踏まえた上で抗議していて、自分が理解できていないことを他者の誤解と錯覚しているのではなかろうか。

撤回を求めている人たちは、この暫定基準が「年間20ミリシーベルトを下回るとみられる場合は、通常通りの校舎や校庭の利用を認める安全基準」として機能している点を問題にしており、事実、文科省は学校に対してその旨の通達を出す一方で、線量を低減する対策をなんら取らず、モニタリングをするとの話も十分に実行されていない。

つまり、これは単なる説明不足ではなく、文科省の主張は建前上の言い分でしかないことは明らかです。その言い分が正しいのだとしても、20ミリシーベルトで線引きする意味はなく、それぞれの数値に見合った対策をとるべきであることを指摘して、撤回を求めている。

そのことは、昨日の行動のアーカイブを見ていただいても十分に理解できましょう。ハウリングがひどくて聞き辛いのですが、文科省側がボソボソと語る言葉の中に、「校庭は外部被曝全体のの20パーセント程度」といった発言がありました。

これは、「2201/福島の校庭が意味すること」で書いた話です。私は「やらないよりやった方がいいが、校庭の数値を下げたところで根本的な解消にはならないのだから、ここだけに意識をとられない方がいい」という意味で書いたわけですが、文科省は「校庭だけやったところで意味はない。だからやらない」と言っているようにも思えました。

やる気があるのに説明が不足していて、人々が誤解しているのではなく、やる気がないことを見透かされていて抗議されているのです。

結局、昨日はこれといった成果はなかったと言えますが、状況は確実に変化していきています。ETV特集「ネットワークで作る放射能汚染地図 福島原発事故から2か月」にも出て来た前回の文科省への申し入れの場に、立ち会っていた国会議員は福島瑞穂だけでしたが、今回は民主党からも複数参加していて、「子どもたちを放射能から守る 福島ネットワーク」が粘り強く活動してきたことによって政治家たちも無視できなくなっています。参議院行政監視委員会でもこの話は出ていましたし。

彼らの活発な活動には感服しておりまして、5月29日には「さよなら!!放射能祭り」です。

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6月26日には「一万人パレード」です。原発に関しては、おそらく福島市での初のデモでしょう。

彼らの活発な行動ぶりに感服しているだけでなく、1ヶ月ほど前にUstで観た集会の様子にも感服いたしました。参加した人たちを地域別に分けて、次に目的別に分けて、グループ単位でミーティングをしていきます。これによって、地域別の事情、個別の事情のどちらの接点においてもネットワークが作れるようにしていて、集会のあとでも、相談し合ったり、行動したりすることを容易にする工夫がなされていました。

偉い先生を呼んできて一方的に講義をする集会もあっていいわけですが、これは孤立している人たちがつながることを主眼とした集会だったわけです。福島で何が求められているのかをよく考えている。このネットワークを土台にして、各自が積極的な行動を始めたことで、今の活発な活動が実現していることが想像できます。

Ustでは据え置きのカメラでその様子をただ流していただけなので、「どうこの場を作ろうとしているのか」の視点がないと面白みはなく、事実、視聴者から「もっと地元の人たちの声を拾って欲しい」といった要望が多数書き込まれていたのですが、私は興味津々で観てました。これもアーカイブが残っていると思いますので、ぜひ観ていただきたい。

彼らを見ていると、東京もんが福島の人たちにアドバイスできることなんて何もなく、それよりも県外の人たちは「今いる場所で」行動することが必要なんだと思いますし、今いる場所で生きていくための知恵の共有が今後いよいよ求められていきましょう。

問題が解決していない以上、避難、疎開の受け入れ場所を提供、斡旋することは引き続き必要ですが、それなにし「福島の人たちは逃げろ」なんて呼びかける必要はもうないでしょう。うぜえだけ。

おそらく「子どもたちを放射能から守る 福島ネットワーク」の活動に呼応したり、触発されたりしているんだと思うのですが(違ったらすまん)、各地で放射線量の測定と公開を求める動きが起きています。

杉並区の生活者ネット

大田区の署名活動

柏市の署名活動

東葛6市が千葉県に要請

これとは関係ないかもしれないですが、日本サーフィン連絡協議会も海水のモニタリングを要請をする署名を開始しています。

安全とは言えない。かといって危険かどうかも判断できない現状をなんとかしようってことです。

デモには意味がないと思う人たち、デモには飽き足らない人たちは、これらの行動に参加するとよろしい。他にもいろんな行動が起きてますし、それでも不満だというなら、自分で満足できる活動をやればよい。文句ばっかり言っていても何も変わらない。

もうちょっと書きたいこと、告知したいことがあったんですけど、長くなるので次回。
 
 
追記:5月27日「毎日新聞」

放射性物質:校庭の土壌処理、国が経費負担へ 文科省方針

 文部科学省は27日、東京電力福島第1原発事故の影響で放射性物質に汚染された福島県内の学校の校庭などの土壌について、地下に埋めたり、上下を入れ替えるなどの放射線量低減策の経費を国が負担する方針を明らかにした。県内の児童生徒が今年度に受ける放射線量については「年間1ミリシーベルト以下を目指す」との目標を発表した。(以下略)

20ミリシーベルト/yは撤回してませんが、これでやっとICRPの方針に近づきました。文科省が方針転換したのは、なにより「子どもたちを放射能から守る 福島ネットワーク」の行動が大きい。