2010-01-09
お部屋2011/今年の出版界
忘年会に出たり、誰も住んでいない家を探検したり、大晦日のアメ横で買い出しをしたり、路上で年越ししたり、新年早々バカなイベントを観たり、17時間におよぶ新年会に出たりで、2週間近く更新をさぼってしまいました。
ここ数日は、「マツワル」では年末年始のさまざまについて書き続けていて、「てぃんくるsns」では学生時代の思い出話を書き続けていて、sexbaでは女工の話を書き続けていて、「黒子の部屋」でもなんか書こうと思っていたのですが、この先、何を書いていいのかよくわからなくなってます。
あんまり考えずに適当に書いていくことにします。今までもそうですが。
一昨日、鼻水を垂らしながら、今年初めてタコシェに行ったら、「唐沢俊一検証本」の3冊が平積みになっていて、壮観でした。
でも、表紙が滑るので、平積みにすると崩れやすい。また、黒だと手垢が目立つため、書店向きの作りではありません。その辺はもう少し工夫した方がいいかも。
『唐沢俊一検証本VOL.1』はコミケとタコシェで、すでに500部以上売れています。半年で500部ということは、唐沢俊一の本とあんまり変わらないでしょう。私の本ともあんまり変わらないです。
唐沢俊一や私が特別に売れない書き手ってわけではなくて、今の時代、半年で千部売れない本はザラです。
まだ本が売れていた1980年代、「本を出せば百万円」と言われてました。1300円の本を8千部出せば印税は百万円を越えますので。
しかし、出版市場は、この13年で3割近く減っています(1996年が出版市場のピーク)。なのに、新刊の発行点数は5割増し。抑え気味とは言え、定価も上がっているわけですから、小さくなったパイを多くの本が分け合うことになっていて、初刷部数は減り、返本率が上がる結果になっています。
1冊当りの本の実売部数はこの10数年で半分か、それ以下になっているでしょう。出版界は厳しいわけですよ。
実際、その頃に出した自分の本はいずれも初刷を売り切っていて、ものによっては増刷されて、実感はなかったけれど、今考えると、「いい時代だったなあ」と思わないではいられません。出版界の問題ではなく、私という書き手個人の問題も多々ありますけど。
前にも触れたように、ポットの沢辺さんの計算によると、単行本の平均初刷部数は、3700部くらい。初刷から10万単位刷られる『1Q84』のようなものを含めての数字ですから、中小の出版社に関して言えば平均3千部くらいになってきています。あくまでこれは刷部数であり、当然、実売はもっとも少ない。
刷部数計算だとして、1600円の本が3000部で、印税は48万円。かつての半分以下。それでもまだよくて、8%、6%といった印税や、実売計算の印税も増えていて、実売計算ともなると、入ってくるのはこの半分くらいだったりする。
3千部の6割が半年で売れるとすると、1800部です。多くの場合、出版社はこれでも採算がとれるわけですが、売れる本が一部あって、あとは採算を切るというのが現状ですから、千部も売れないものがザラにあると言っていい。
実売計算だと、一所懸命、単行本を作って、発行から7ヶ月ほどあとに10万円くらいしかもらえないなんてこともあり得ます。売れないものを書いているのですからしょうがないですが、ありものの原稿でも何週間かかけてまとめ直し、書き下ろしであればそれ以上かけて10万円では、ライターも厳しいわけです。
こんなに少なかったことは私の場合はまだないですが、それも時間の問題です。
今後市場はこれまで以上のペースで縮小していきますから、10年後に今を振り返れば、「本を出せただけいい時代だったなあ」「10万円ももらえてよかったなあ」とため息をつくことになりそうで、「雑誌に未来がないので、単行本で食っていく」と考えることも難しい時代になってきています。
今年はどれだけの雑誌が休刊となり、どれだけの出版社が潰れ、どれだけの書き手が食えなくなるのでありましょうか。
くらーい話から始めてみました。
暗すぎます
でも本当ですねえ
雑誌にしか書いていないライター・批評家、編集者ですが、まさにご説明のとおりです
昨日たまたまタコシェに行ったのと、ポット出版の高橋さんのインフォメーションメールから見ています
ポット出版さんでは、沼正三『懺悔録』に前書きとインタビューが掲載されています。
タコシェさんにはエロとか美術を書いている『TH叢書』シリーズ、そして身体表現批評誌『Corpus』などが置いてあります。
編集者・取材ライターなどでなんとか生きていますが
印税生活は夢見ることもありません
そういえば『印獣』はそういう芝居でしたね
いずれお会いできれば光栄です
はじめまして。ここ2日ばかりバタバタしていたので、レスが遅くなってすいません。
もうひとつ謝っておくと、以前、同姓同名と気づかず、テレビ評論から舞踏まで幅広い人だなあと思ってました。一方的に誤解して、一方的に気づいたことなので、謝るようなことではないですが。
全然詳しくはないですが、舞踏関係とは何かと接点があって、アスベスト館で元藤さんにもお会いしたことがあります。
今後ともよろしくお願いします。