2009-10-19
お部屋1961/出せるうちに出しておく
やっとさっき締切を過ぎていた原稿を片付けました。ここ1ヶ月ばかりずっと締切に追われていましたが、このあと2週間くらいは思い切り暇になります。なーんの予定もない。
ただし、毎年このあたりから12月にかけて、睡眠障害気味になるスケジュールになっておりまして、その時期に入るとダメ人間になります。すでに兆しはあるのですが、今のところはまだダメにはなってません。
次の単行本は今年中に出すとポットの担当が言ってます。『エロスの原風景』から5ヶ月ほどで出すのは早すぎのような気もしますが、すでに『エロスの原風景』はほとんど動かなくなっているので(タコシェではまだ動いていますが)、前著と食い合いになるということはないでしょう。内容もまったく違いますし。
『エロスの原風景』の数字を見ていると、私の感覚よりさらに本は短期商品になっているように感じます。発行点数が増えれば必然的にそうなるわけです。
いかにアマゾンの売れ方がロングテイルだと言ったって、タイトル数が膨大なためにそうなっているだけで、単品で見れば、十年前に出た本の大半は、月に1冊程度しか動かない。
「moderndreaks」のインタビューでも語ったように、返本率をこれ以上上げないために、「どう発行点数を減らすか」「どう刷部数を減らすか」が出版界の喫緊のテーマになっているわけですが、どうやっても減らないです。
本の定価も上げるべきですが、上がるわけがないです。皆が上げ出したら、安い本を出して売ろうとする出版社が出てくるに決まってます。それに、数を出さないと金が回らないですから、部数も発行点数も減るわけがないです。
つまりは自転車操業ですから、これを続けるとどうなるかというと、出版社はバタバタと潰れていきます。来年はさらに潰れるでしょう。
しかも、今後、電子書籍とネット書店がシェアを伸ばして、書店は加速度がついて潰れていきます。小売りが崩壊すると、本は今までのようには売れず、アマゾンがkindleをもってしても、その穴埋めは無理です。そのことは音楽ソフトの惨状を見ればよくわかります。
音楽業界の話はこのところ「マツワル」でよくやっていまして、ネットを見ると、いろんな分析が出ているのですが、最終的には店舗の激減が大きいと私は見ています。出版もこのあとを追うはずです。
ここ十年くらいで書店は半分くらいになるでしょう。印刷した出版物のマーケットも同様です。出版社が減れば必然的に発行点数は減ります。これが適正。
そこまで生き延びた出版社はさらに十年やっていけるかもしれませんので、そこまでいかに辛抱するかです。内部留保と資産のあるところが強いってことです。つまりは大手です。給与の高さがネックですが。
何をやっても、この流れはもう止められないでしょう。
十年後、私はライターをやっていられるのかどうかわからないですが、出せるうちに本を出していくべえと。雑誌の仕事はこの先減ることはあっても、増える可能性はないですし。
ちゅうわけで、昨日、ポットの担当編集は、さらにその次の本の案をメールしてきました。でも、次は来年夏の『エロスの原風景』のパート2ではなかろうか。パート2は今回以上に売れないことは見えているので、『エロスの原風景』は1冊で終わってもいいんですけどね。原稿はまだまだあるのにもったいないですけど、丁寧に資料を集めて、丁寧に調べて、丁寧に作ったところで、需要がなければ出す意味はないです。チープに作った本を乱発していくまでよ(今回は口述筆記みたいなものですから、作り方はチープですが、ずーっと「マツワル」でやっていたものですから、その元になる考え方を得るまでには、えれえ時間がかかってます)。
来年のことを考える前に、今度の本をどう売るかを考えなきゃ。
11月半ばあたりから、また「黒子の部屋」で本を売るためのシリーズを始めるかもしれないですが、それまでは溜まったものを片付けておこうと思います。
とは言え、すぐに頭は切れ変えられず、言論の封殺を狙うしかない東村山の市議たちや、そんな市議にいいように利用されてきた右翼たちについては、もうしばらくお待ちください。とくに、瀬戸弘幸については、読まなければならないものがいくつかあるものですから。
ネット書店の良さが未だに理解しがたい、気が短いので到着まで時間がかかるのと、どうせならサイン入りの方が良いと初めてタコシェまで行きましたがね。
私実は模索社の常連なんですよ(笑)
余談ですが模索社の右翼のコーナーにまきやすともの政経通信が10円だか50円だか100円だか無料に近い値段で売っていたので(途中で10円から100円に値上げ?)、まきやすとも機関紙は身の程をわきまえた価格なんだなぁと感心した物です。
一人暮らしだと受け取りが面倒ですしね。ということもあって、リアル書店が近くになくなると、本は売れなくなります。物への執着がある人たちは、電子書籍に金は払いたくない。
ということで、小売りが消滅すると、その分、物は確実に売れなくなり、ネット書店や電子書籍ではその穴埋めができず、マーケットが縮小します。
出版業界は確実にその方向に進んでいますから、マーケットが崩壊するのは決定事項でしょう。
そうなっても模索舎とかタコシェはあんまり関係ないんですけどね。もともと儲かってないですが、潰れもしないのではなかろうか。