2008-06-09

お部屋1533/あれやこれやの表現規制 4-16

早く次のことをやりたいので、いつもより増量してお届けします。

『売る売らないはワタシが決める』に書いたことですが、「こんな××の国は日本だけだ」として、海外を手本にしたがる人たちは、どうして表現を規制する時にだけこういうことを言うのでしょうね。

どうして表現を守る方向で海外を見習わないのでしょう。どうしてストリップ劇場やハプニングバーで性器を出すことが公然わいせつになることをおかしいと言わないのでしょう(昨今、関西ではストリップ劇場への締めつけがさらに強まっているらしい)。多くの先進国がそうしているように、参加している人がそれに合意している場合は違法性がないとすべきでしょうに。

どうして、子どもが見ないメディアでも、日本では性器が出せないのでしょう。欧米では30年も40年も前に解禁されているのに。それこそ、先進国の中で、こんな国は日本だけではないでしょうか。

あるいはヨーロッパの国々では、深夜、地上波のテレビで性器が堂々映されているというのに、どうしてここは真似しないのでしょう。こういう時だけ、どうして都合よく「アメリカでは地上波で裸も出せない」などと、アメリカのみを手本にするのでしょう。そのアメリカだって、衛星や有線では性器丸出しであることはなぜ触れないのでしょう。

それらの国々では、表現の自由と、表現の悪影響とのかねあいを検討しつつ、「見たい大人が見る範囲」では表現の自由を確保しつつ、子どもには見せないためのゾーニングがとられています。

何年か前にオランダのテレビ番組に協力した時に聞いたのですが、オランダでは夜の9時から、性器を出してもよく(挿入された状態も可)、その時に私が連れていったSMバーや性風俗店の映像も9時台の番組で流れると言ってました。夜の9時じゃ、子どもが見かねないと、この私でさえも心配になったのですが、「そんな時間に子どもにテレビを見せる親が悪い」と言ってました。

子どもの教育もできないバカ親のために表現が規制されるべきではないってことです。

ところが、日本では、子どもの教育ができない欠陥人間たちが、表現の自由なんてことはまったく考慮せず、それらの国の規制部分のみをサル真似します。

つまり、世界でもっとも性表現を厳しく規制しないと納得しない人たちってことです。「海外では〜」と言いながら、どこの国もやっていない厳しい規制をしたがる。

その卑しい欲望を満たすために、海外を持ち出しているだけ。こういうヤツらは海外を見習おうとしているのでなく、都合のいいところを利用しているだけです。

【「単純所持」を禁止していないのは、主要8か国(G8)では日本とロシアだけ】という言い分にもごまかしがありそうです。本当にそれら6カ国では、自民党や公明党が進めるような形で、単純所持を禁じているのかどうか。

アメリカの規制について山口貴士弁護士がこう書いています。

http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2008/04/post_e6a1.html
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単純所持を犯罪化している米国の定義は、「『未成年者の露骨な性的描写を含み、尚且つわいせつである。』または、『未成年と思われる人物の、異性・同性に限らず、性器間或いは性器と口或いは肛門と性器或いは口と肛門の接触を含む、獣姦・SM行為・交配行為で、尚且つ文学的・芸術的・政治的・科学的価値のないもの』」という具体的かつ詳細なものであり、しかも、「わいせつ」という強度の性的な刺激を要求し、かつ、「文学的・芸術的・政治的・科学的価値のない」という限定を加えて、表現の自由に対する配慮を十分に示している。わが国では、ヌード、セミヌードについても、「性欲を興奮させ又は刺激する」場合には、児童ポルノに含まれるが、米国の定義には含まれない。定義の違いを無視して、単純所持の犯罪化を議論することは明らかに間違っている。

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まったくもってその通り。

アメリカの圧力であるというのなら、あるいはそうもアメリカが正しいのであれば、同じ程度に厳しい基準にすべきです。

アメリカの圧力に応えるためであれば、民主党案で十分であり、自民党案を支持する根拠は何ひとつない。アメリカの圧力ではなくて、子どもとアメリカを利用して、自民党と公明党はとんでもない法律改正をしようとしているとしか私には思えません。それをバックアップするのが、「世界日報」であり、「読売新聞」です。「毎日新聞」もこれに加えていいでしょう。

皆さん、おわかりになりましたでしょうか。日本ユニセフ、自民党、公明党、「世界日報」「読売新聞」「毎日新聞」らが、「この国ではこういう法律がある。だから、日本でもこういう法律が必要だ」と堂々と説明できないのは、おそらくどの国でも、ヤツらが狙うような杜撰な基準になっていないからです。それでもなお冤罪やおとり捜査などの問題が生じているのに、そのリスクはまったく考慮しない。

こういうヤツらは、いざ自分らの表現や商売が規制されそうになると、大慌てで反対します。新聞社が自社の既得権を守る時の懸命さ、あるいはみっともなさは一体なんですかね。もちろん、私はそんなもんに一切同調する気はない。他者の表現を平気で潰す人たちの表現なんぞ、なんで守らなければならないのでしょう。

イタリアの調査で、日本はアメリカのわずか60分の1の児童ポルノしかないことに意外に思いがする人も多いのでしょうが、これはおそらく児童ポルノの範囲が日本より狭いためです。

つまり、「日本は児童ポルノ大国」「児童ポルノの検挙件数が年間500以上」などと騒がれているのは、おそらく海外に比べて、あいまいな基準をとっているためです。他の国では児童ポルノと認定されないようなものまでを児童ポルノとして数を水増ししてきたのではないか。同じ定義で比べると、日本は決して児童ポルノ大国ではない。その日本に圧力をかけているアメリカこそが世界に冠たる児童ポルノ大国です。

そもそも「G8の日本とロシア以外の国がやっていることはそうも正しいのか」という問題もありますし、「それらの国では刑法175条のような法律があるのか」という問題もあるのですが、少なくともアメリカは、日本ユニセフ協会、自民党、公明党、「世界日報」「読売新聞」「毎日新聞」ほどのバカではない。浅はかなアグネス・チャンが考えられる程度のことで法律を作っていいとは思っていない。

アメリカ以外の国がどうなっているのか私は知りません。法の規制を求める人々が自らデータを集めるべきですが、寄付金の上前をはねた潤沢な資金でビルを建てても、たかがこのくらいの調査をする資金も出さないのが日本ユニセフ協会ってことでしょう。あるいは調査しているのに、公表してないんですかね。そのくらいのことは平気でやりそうな団体です。

続く。