2008-05-18

お部屋1506/あれやこれやの表現規制 5-3

立川反戦ビラ事件の判決文を読むと、ビラ配りは「表現の自由の行使」であっても、それが無制限に認められるわけではなく、住居侵入罪を適用することは憲法違反ではないという内容です。

当然、表現の自由が制限されるべきケースはあるわけですし、立川反戦ビラがそれに相当すると考えることもわからないではない。面と向かって「やめろ」と言っているのに繰り返し投函するのですから、これではいやがらせだと思われるのも当然。

しかし、この判決が広がる範囲を考えた時には、やっぱり肯定してはいけない判決なのだと思います。

この事件においては、「私的生活を営む場所であり、広く一般に人が出入りするところではないこと」「投函を禁止する旨の掲示がなされ、対面で抗議され、被害届が出されているなど、管理権者の意思に反していること」などによって、「他人の権利を不当に害する」ものとされ、表現活動は制限されるとされたわけです。

これに該当すれば、取材であっても逮捕ってことになろうかと思います。逆に言えば、官舎のように、広く一般に人が出入りするわけではない場所でも、意思が明確に表示されてなければ、入り込んだところで違法ではなく、注意された段階でやめれば逮捕には至らない。現実にほとんどの取材者はそうしていましょうから、この判決の範囲で言えば、取材に関してはすぐさま支障は生じまい。しかし、注意されてもやめるわけにはいかない人たちがいます。

そのことにまったく無自覚なのが、3羽の雀さんがリンクしていた「読売新聞」の社説です。この判決を肯定すると、もっとも困るのは新聞社なのではないか。

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ビラ配り有罪 一つのルールが示された(4月13日付・読売社説)

(略)

 ビラには、「殺すのも殺されるのも自衛官です」などと書いてあった。官舎に住む自衛官やその家族が読んだ時の精神的苦痛も決して軽くはないだろう。それを考えれば、妥当な判決である。

 この裁判は、表現の自由と、住民が平穏に暮らす権利とのどちらを優先させるかという観点から注目されていた。

 最高裁は、ビラの配布を、憲法が保障する「表現の自由の行使」と認めた。だが、一方で、「たとえ思想を外部に発表するための手段であっても、他人の権利を不当に害するようなものは許されない」と厳しく指摘した。

 官舎には、関係者以外の立ち入りやビラ配布を禁じる掲示板があった。それにもかかわらず、メンバーは月1回の頻度で、各戸の前まで立ち入り、新聞受けに配布を繰り返した。官舎側は配布のたびに、警察に被害届を出した。

 こうした経緯を踏まえれば、住居侵入と言われても仕方がない。最高裁も、「私生活の平穏を侵害した」と結論付けた。

 1審は、住民が受けた被害は軽く、「刑事罰を科すほどの違法性はない」として無罪としたが、2審は「違法性は軽微でない」として、逆転有罪としていた。

 マンションなどのポストには、宅配ピザや不動産情報など、様々なチラシやビラが投函(とうかん)される。こうしたチラシやビラを重宝にしている住民も多い。

 ピンクチラシの配布は風俗営業法で禁止されているが、一般のチラシやビラの配布まで警察が摘発するのは、現実的ではない。

(略)

(2008年4月13日01時38分 読売新聞)

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判決文からすると、こうはならないと思うんですけどね。

続く。