2005-11-06

お部屋1089/先週のつまらなかった原稿24

◆まだ締切日を決定してませんが、「マツワル」の購読者募集は、あと一週間か十日です。

「マツワル」の試験配信が始まったのが2月17日で、本日で400号です。一年間で軽く500号を超えましょう。通常号で1号あたり6千文字から8千文字、「松沢式売春史」ではその倍くらいになる回もありますから、原稿用紙換算で、やはり年間1万枚を超えます。バカでしょうか。来年こそは購読者をもっと増やして原稿用紙1枚単価200円を超えるようにしたいものです(配信量を減らせばいいだけなんだけど)。

◆今回の新規読者の方から、「金を払うからバックナンバーを読みたい」という要望をいただいたのですが、これまでにもお知らせしているように、今のところ、バックナンバーサービスはありません。

クレジットカードの決済、リスト管理、配信システムの整備などとともに一度にすべてをやらないと、二度手間三度手間になってしまいますし、週に11本(今週は12本になります)配信している上に、それを求められても無理です。購読者がもっと増えれば、どこかに金を払ってそういった作業を委託することもできましょうけど。、

「どこそこのメルマガではやっている」というのですが、「どこそこのメルマガでは月間800枚を配信しているのか」って話でありまして、それぞれ売りも能力も購読者数も考え方も違うのですよ。ポット出版に「おたくは文庫を出さないのか。新潮社はやっている」と言ってもねえ。だから、こういうことにならないように、いち早く申し込んだ方がいいって言ってんじゃん。

◆「松沢式売春史」も早ければ今年中には2百回に達します。最終目標は1万回、当面の目標は2千回ですから、まだまだ始まったばかりですけど、順調に事は進んでおります。これについては、どうせ同じような話が繰り返し出てきますので、どっから読んでもいいのではなかろうか。

◆今回も、雑談シリーズです。第一話と第四話はどうでもいいのでカットしました。第二話と第三話もどうでもいいのですが、そんなことを言っていると出すものがなくなりますので。

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< 雑談17>

●第二話

先日会った20代の若者が鋭いことを言ってました。
「ミスチルってコステロの路線を狙ってますよね」
これは盲点。全然気づいてなかったですけど、たしかに声質も歌い方も曲も通じるものがあります。

コステロがどんな内容を歌っているのかよくは知らないですけど、中年以降のコステロはラブソングが多いと思うので、歌われる世界も似ていたりして。そう考えると、コステロがミスチルに聞こえてきてガックリです。それに気づいてなかったことこそ洋楽マジックです(私以外はみんな気づいていたのか?)。

さて、ミスチルの「りょきゃっき問題」ですけど、あの話が私はとても好きで、いろんなところで話してまして、話すたびにネタの完成度が上がってます(言っていることが歌手じゃなくてお笑い芸人です)。

先週も、ワイレア出版の打ち合わせで、この話をしてました。舌を噛まないように、「きゃ」を言う時に、ちょっと体が浮きます。「りょきゃっき」「りょきゃっき」「りょきゃっき」と連発しながら体を弾ませるのがとても楽しい。皆さんもやってみるとよろしいですよ。

「“りょきゃっき”と歌っている時に、どうして誰も気づかなかったんでしょうね」と編集者は当然の疑問を口にします。
「“りょきゃっき”はおかしいだろうと気づいても、下っ端のディレクターだと恐くて言えなかったんじゃないか。“桜井さん、りょきっきはないでしょう、りょきゃっきは”なんて注意して、桜井和寿が気分を害して、“じゃあ、移籍します”って言い出したら、トイズ・ファクトリーも困るだろ。それかさ、ディレクターが注意したけど、“オレがりょきゃっきと言ったら、りょきゃっきなんだよッ”て言い張ったのかもよ。ああ見えて子供っぽいからさ」
「ミスター・チルドレンですからね」
「そうそう。大人子供なんだよ、桜井君は」
「知り合いですか」
「別に」
「ミスチルのサイトとかあるんじゃないですか、きっと。松沢さんがメールをして教えてあげた方がいいですよ。“りょきゃっきじゃないですよ”って」
「でも、同じ歌手の立場から“りょきゃっき”を注意されると傷つくだろ」
「同じ歌手って」
「だから、オレがライターかなんかだったらよかったんだろうけどさ」
「“なんかだったら”って」
「オレとしても、圧力かけられて、歌手活動に支障をきたして困るしさ、りょきゃっきごときで」
「圧力って、どこに」
「武道館とか東京ドームに圧力をかけられてもたいして痛くはないが、カラオケ館とかパセラに圧力かけられると困るな。歌広場で我慢するか」
「たかが、りょきゃっきで、ライブ会場は激減ですね」
「そうそう。強い者にはからきし弱いから、オレもこれから桜井君に会うことがあったら、自ら“りょきっゃき”と言って話を合わせるようにした方がいいかもしれない。“明日はりょきゃっきに乗って福岡でライブなんだよ”って。そしたら、桜井君としても、オレに曲のひとつも書いてくれるだろ、『りゃきゃっきの歌』とか『アイ・ラブ・りょきゃっき』とか」
「松沢さんは、それを歌うんだ、ミスチルが嫌いなのに」
「歌うに決まっているだろ。だって、なべやかんだって、『へんちんポコイダー』っていうオリジナル曲をもっているんだぞ(実話)。オレはオリジナルで勝負する芸風の歌手じゃないけど、目の前でやかん君に『へんちんポコイダー』を歌われて以来、悔しくてさ。でも、これからは大丈夫。桜井和寿に作ってもらった『アイ・ラヴ・りょきゃっき』があるからね。サビは“僕の前をりょきゃっきが、りょきゃっきが、りょきゃっきが急遽急降下してゆく〜”っていうんだぜ」
「早口言葉の歌ですか」
「そうそう、プライドを傷つけられた桜井君はオレを潰すための嫌がらせの曲を作ったんだよ。歌の出だしなんて、“たけやぶやけた”だぜ」
「それ、早口言葉じゃないですよ」
「そっか。じゃあ、それは二番。一番は早口言葉で二番は回文。“たけやぶやけた、ダンスがすんだ、この子どこの子、この子猫の子、猫の子はこの子ね“って、二番にも早口言葉が少し入ってやがるな。桜井のヤツめ。それでも体を弾ませてオレは歌っていくのさ。僕の目の前をりょきゃっきが、りょきゃっきが、りょきゃっきが…」

くだらないです。なお、この時の打ち合わせは「第三回アナル選手権」についてでした。こちらもくだらないです。くだらないことが大好きです。りょきゃっきが、りょきゃっきが。

●第三話

「週刊文春」11月3日号の高島俊夫「お言葉ですが…」に「客」の読みについて書かれてました。当然の如く、導入は「刺客」。「しかく」「しきゃく」だけじゃなく、この言葉には「せっかく」という読みもあるんですね。ATOKでも出ます。

筆者は、無難なのは「しかく」としつつ、「しきゃく」「せっかく」も正しいとのこと。「かく」は漢音、「きゃく」は呉音で、「客」はこれが混在している言葉で、どちらでも間違いではない。

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 全体の趨勢として、カクからキャクに移りつつある。だからカクはややかたい。古めかしい。ものものしい感じを与える。キャクの方が「フツー」という感じがする。
 小生などが子供のころ、「客観」を、おとなや爺さんは「カッカン」と言い、若い者は多く「キャッカン」と言った。その若い者が爺さんになって、いまはもうカッカンと言う人はほとんどいないだろう。

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試しに「かっかん」」「かっかんてき」と打ってみたら、「客観」「客観的」と出ます。ふーん、そんな読みがあったのか。戦前の本に「かっかん」とルビがついているものがあるのかもしれませんが、全然気づいてませんでした。

そして、「客」の読みについて、こう結論づけてます。

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刺客もシカクからシキャクへが趨勢だろう。いま、「カク」でなければならぬ、という言葉はほぼないだろうと思う。

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たしかに「旅客」は「りょかく」でも「りょきゃく」でも違和感はない。ただ、前者はいくらか響きが硬く、公的な用語のように聞こえ、対して「りょきゃく」はよりラフで、ちょっと言いにくい。と感じるのは、私がオッサンだからか。

まして、「りょきゃっき」は言いにくく、この先も、この読みが一般化することはおそらくなく、ほとんど唯一の例外として「かく」が残る言葉でしょう。と感じるのもオッサンだからかもしれず、「りょきゃっき」は今後広がっていくことになる読みかもしれない。

桜井和寿は大胆にも、最新の読みを導入したのです。僕の前を最新機種のりょきゃっきが、最新機種のりょきゃっきが、最新機種のりょきゃっきが急遽急降下してゆく〜。どんどん難しくなるな。桜井の野郎。

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このエントリへの反応

  1. 読みはりょきゃっきであってるんですよ。
    正確にはね。日本語ってむずかしいですね

  2. 日本国語大辞典にはちゃんと「りょきゃっき」の項目ありますよ。
    決して間違ってるわけではないのです。

  3. p@a.xo.joさま

    コメントがあったことに気づいてませんでした。すまん。でも、根拠が何も書かれてないので、答えようがありません。

    ぽさま

    「日本国語大辞典」の旅客機の項は以下に出てました。

    http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa2992922.html

    「参照見出し」とあって、用例が出ているのは、大辻司郎の漫談集です。今で言えばタレント本にしか出ていない読みってわけです。

    「日本国語大事典」は、ある意味、特殊な国語辞典で、現に使用された記録がある以上、参考までに「りょきゃっき」も掲載してみましたってことでしょう。

    「りょきゃく」という読みが間違っていない以上、そう読むのも間違っていないとは言えますが、現実に「りょきゃっき」と読む人は相当に少数派で、だから他の辞書には出ていない。

    ネットで検索済みかと思いますが、「りょきゃっき」と読む人は見当たらず、「誤読」「誤り」と書いているものが多数です。

    1万人に1人か、10万人に1人かわかりませんけど、ごく一部の人が使用する読みを「間違ってはいない」と言い張り続けるのはどんなもんなんですかね。

    で、あなたは「りょきゃっき」って言ってますか? 「りょきゃっき」がきれいな語感の言葉と思えますか?