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松沢呉一さんとの件について●1 | [2000年05月04日] |
松沢呉一さんとの 件について●1 |
松沢様 HP拝見しました。事実に即した批判・非難は真摯に受けとめたいと思いますが、最近の言いようはほとんど事実無根の言いがかりになっています。ほうっておくと当方が事実と認めたことになってしまうので以下指摘しておきます。 ★恐らく全ての問題の根っこにあるのが「売買春はもういいよ」と私が言ったという話なのでしょうが、何度も言いますが、私はあなたが言っているような意味でそんなことは言っていません。そもそも私は売買春の問題を「取り上げる価値のないもの」と思ったことは一度もありません。むしろあなたの連載で一番やってほしかったのが風俗嬢の組合結成へ向けた動きといった事柄でした。これは一貫して変わっていません。あなたとゴタゴタした時期に、にもかかわらず青山での集会に参加したいとわざわざ問い合わせたのもそのためだし、連載終了について連絡した際のFAXに、そのことを書いたのもそのためです。これらはむしろ、私が「売買春はもういいよ」などとあなたが言うような発言をしていないことの証明なのですが、あなたは「今になってこのネタをやりたがっている」などと全くねじまげて書いているわけです。「このネタがおいしいと思い始めて手のひらを返した」という言い方にいたっては、よくそんなとんでもない発想ができるものだと、あきれるばかりです。 ★最初の電話とその後もFAXで説明したのは、当時、フェミニストなどを理論的に各個撃破していくというスタイルが連載で続いたことに対して、1回4ページの読み切りのコラムには話がちょっと難しくなりすぎていないだろうか、通して読んでいる人でないとわかりにくいのではないか、と感想を申し上げたのです。あなたの論戦の仕方が敢えて挑発的だったり逆説的なことを押し出してみたりという手法なので、その回だけ読むと誤解する人もいるのではないか、とそんなことを申しあげたのです。これは売買春の問題を「取り上げる価値がない」とか、売買春のテーマを否定したということとは全く違います。そもそも、それまであなたと一緒にロフトで売買春について議論したり、それを大きく誌面化してきたりしたのにある日突然、売買春についてのテーマそのものを否定するということがあり得ると思うのですか。一時あなたのFAXでは背後に何か言えないような事情があったのか、と書いてましたが、そんなことあるはずもなく、私があなたに言ったことが誤解されたと理解するのが一番自然なのではありませんか。 ★それからしきりに「介入」と言われますが、感想なり提案をするのは介入とは違います(もしあなたの思い込んでいるように、連載のテーマ自体を否定したとしたらそれは介入かもしれませんが)。そもそも最初の電話の時、あなたからの「次回はインタビューにする」というメッセージが私に届いていれば全く言う必要もなかったことですが、私が提案したのは連載でのテーマの押し出し方や題材など目先をちょっと変えてみてはどうですか、ということでした。たぶんあなたは、次回の予定を伝えてあるのにわざわざ変更を口にするのは、基本的なテーマそのものを変えろということなのか、と疑念を抱いたのでしょうが、これは行き違いによるものです。基本的なテーマの変更をついでの電話で言うのか、とも書いてましたが、別にテーマ変更を指示したわけではないのです。 こんなふうに話がこじれた原因は、当初の社内的な確認の不備も含めて当方の至らなさだと思っていますし、書き手との間でディスコミュニケーションを招いてしまったのは編集者のありようとして反省するばかりです。ただ、そのことを含めて、当方が説明していることをどうしてあなたがさらに悪意にとろうとするのか理解に苦しむばかりです。 ★その後あなたが連載を「波風立たないほのぼの路線に」変えるとか書いていたので、どうも私の言ったことがいまだに誤解されているなと思ったのですが、その時期になると正直申し上げて、私の言うことが全てあなたの方で誤解されてしまうし、直接顔をあわせて話をしようとすると「懐柔」と悪くとられるといった具合なので、もう話がこじれぬように感想なり意見なりも言わずお任せしようという気になってしまったのです。途中からは編集部としても、あなたのFAXに答えるのにわざわざ会議を開いて皆で意見交換をして、といった具合でした。あなたは連載終了の連絡も含めて、対応の仕方が遅いと言われていますが、当方としては胃の痛くなる思いであれこれ協議し、それゆえ結論を出すのが遅れてしまうという状況だったのです。連載終了を伝えた時もあなたから「じゃあ2回で」という話があった際、もう少し話しあいをすべきだと思ったのですが、これ以上何か言うとややこしくなるので、という思いが先になってしまいました。 ただ、こちらの至らなさから新シリーズが始まったとたんに連載終了という形になったのは申し訳ないと思っていましたから、最後に意を決して、2回ででなく新シリーズを何回か続けてから終了という形にしていただけないかと変更をお願いすることにしたわけです。校了時はもう真夜中でしたからとりあえず原稿での「今号次号で」という通告を「近々」に変えて、それも含めて事後の申し出をしたわけです。どんな事情であれ一字一句勝手な変更は許されないというのはあなたの言う通りだし、連載終了を告げられたあなたの気持ちを斟酌すると、最後にああいうお願いをしたこと自体反省するばかりです。ただ、そうなってしまったのは、あなたが考えているほど当方に悪意があってのことではないのです。 売買春について考えるというテーマを私が否定したと、あなたが思い込んでいるとしたら、「創』5月号の連載の最後に書いた、あなたの仕事を評価しているという私の文章はどう思っているのでしょうか。心にもないことを儀礼的に書いたと受け取ったのでしょうか。少なくとも私は自分の言論については常に責任をとるつもりでおり、外交辞令でそんなことを書いたりしません。風俗嬢への偏見や、売買春について常識と思われている通念をひっくり返してみせた、あなたの仕事には実際、今でも敬意を表しています。そういう仕事の場を保証することが、編集部の至らなさでできなかったことを反省しているというのも正直な気持ちです。以上の経緯やあなたの仕事へのそういう思いも何度も申し上げている通りで変わっていません。それなのに、どうして「売買春のテーマを否定された」と思い込み、それにそぐわない事柄については「今になって手のひらを返した」とか、さらにとんでもない思い込みを重ねようとするのか理解できません。 ★しばらく前にHPに竹子さんのことに関連して、彼女に出したような丁寧な手紙をあなたにも出していれば溝も深まらなかったはずだ、と書いてましたが、これについては「申し訳ありません」というしかありません。ただ私としては、竹子さんとあなたへの対応を区別したつもりはありません。あなたに紹介いただいた人としては「とまとさん」もそうですが、その後何度か編集部を訪れていますし、彼の申し出については、できるだけ企画を実現しようと骨を折りました。もしあなたへの対応が、連絡の遅れやら説明の不備やらと失礼なものだったとしたら、それは意図的にあなたに対してのみそうしたわけではないのです(確かに至らない点が多いことは率直に認めますが)。 ましてや、竹子さんへの対応は、彼女が女性だとかいったこととは全く関係がありません。あなたは彼女が女性だから対応を特別にしたかのように書いていま したが、これもとんでもない話です。「前から噂を聞いていた」というのは、例えば岡留さんらが言っていたのを含むのかもしれませんが、彼が言っているのは『創』での追及のスタンスが女性に対しては甘いんじゃないかという批判で(これ自体反論すべき点はありますが)、あなたが匂わせているような意味あいとは違います。誰の発言を想定して書いているのかわかりませんが、「こんな噂がある」という書き方で相手を誹謗するのはどう考えてもアンフェアで無責任だし、問題をそんなふうに矮小化しておいて「無防備です」も何もないと思うのですが。 2000・5・4 月刊「創」編集部・篠田博之 創出版 |
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