2007-07-04
お部屋1277/今日のマツワル37
素晴らしいですね、「おはら汁」。
最新の更新分は、ちょうど私が今回書いていることとも重なっています。議員辞職問題→万引き事件→書類送検→転落死。となれば普通は自殺と考えるところですが、彼らは今に至るまで「殺された」と強弁。その集大成が『東村山の闇』なのです。
これを徹底批判しているのが「おはら汁」に紹介されていた宇留嶋瑞郎著 『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画)です。私もこの本については聞き及んでいて、たぶん今日あたりに届く手はずになっています。
これ以外に学会系の出版社も何冊か出しているのですが、これらは未入手です。信濃町に行ってくるかな。
以下は本日1本目の配信です。
< <<<<<<<<<マッツ・ザ・ワールド 第1531号>>>>>>>>>>
< 東村山セクハラ捏造事件7>
矢野穂積・朝木直子著『東村山の闇』のサブタイトルは「女性市議転落死事件」8年目の真実」となっていて、もっぱら朝木明代の死について書いたものです。
事件の概要です。
朝木直子の母である朝木明代は、1987年、東村山市議に初当選。この時は最下位当選だったが、4年後、トップで再選。1995年にもトップ当選。
1995年6月19日、東村山駅前の洋品店「スティル」で万引きをした女がいて、店を出たところで店主に咎められて逃走。店主は犯人が朝木明代であるとして警察に被害届を提出。
東村山署は書類送検。9月5日に地検で取り調べが予定されていたが、9月1日の午後10時頃、朝木明代は東村山駅近くのビルから転落死。警察はこれを自殺と断定。
対して、朝木明代の「協力者」であった矢野穂積と、明代の娘である直子は、当初から万引きは冤罪であり、自殺ではなく、殺害されたと主張。
『東村山の闇』P1より
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現職の市議会議員・朝木明代は、暴力によって殺害された。
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本の始まりでこう断定し、その犯人は創価学会であると繰り返しほのめかしています。その根拠はなにかというと、「なし」です。
いかに朝木明代が学会と闘っていたのか、そのためにいかにいやがらせをされてきたのかといった事実は縷々書かれてますが、犯人が特定されるような情報はどこにもなく、どのように殺害に至ったのかも不明です。学会が犯人であることはもちろんのこと、殺害されたとの決定的な証拠はありません。
学会を批判し続けていた朝木明代ですから、学会からのいやがらせがあったとしてもおかしくはない。組織的にやったものじゃなくとも、学会員の中には、そういうことをするのがいそうです。どんな宗教団体にもおかしなのはいます。議員の中にもおかしなのがいるわけで。
しかし、いかにそれが事実であろうとも、このことと学会が犯人であることとはつながらない。さもなければ学会と敵対している人が亡くなったら、すべてが虐殺になってしまいましょう。
『東村山の闇』に出ている事実関係をそのまま受け取っても、常識的に考えて、学会が朝木明代を殺すことはありそうにない。もし学会が組織的に朝木明代を殺したのであれば、他にも敵対する人物は次々と殺されていていいはずです。殺すべき存在は他にいくらでもいるでしょう。
また、学会がわざわざ多大なリスクを負って人を殺さなければならない理由がさっぱりわかりません。万引き犯としてのダメージを受け、議員生命を絶たれることになる可能性が大である、このタイミングで殺す意味がどこにありましょうか。
敵対する勢力にとっては、そのままほっとくのが賢明であり、有罪判決が出れば、それをもって大騒ぎして辞任に追い込めばいいだけです。
譲れないように思いますが、仮に百歩譲って、万引きが学会による工作だったとしましょう。万引きの目撃者も警察も検察もすべてがグルになっていた壮大な陰謀です。警察や検察の中で、その一味が事件を担当するように人員を配置するためには、人事課もグルじゃなきゃならず、少なくとも数十という単位の人員が関わってます。
その緻密な計画通り、見事書類送検になっていますから、計画は大成功です。計画が成功しているのに、なんで殺すかな。
殺人の陰謀はさらに規模が大きい。午後10時のことです。いくら東村山とは言え、駅から数十メートルの路上で、女が何人もの屈強な男たちに無理矢理引きずられていたら目撃者というものが出てきてしまいます。その前に、そんな状況にあったら、朝木明代は「助けて」くらい言うでしょう。あるいは両手両足を縛られ、猿轡をされて抵抗できず、声も出さなかったのでしょうか。目立つぞ。
そこで、この組織は、駅の周辺に組織の人間ばかりが住んでいたり、働いていたりするように、何年もかけて準備をしていたんですね。その上、この時間は駅周辺の交通整理をして車が通らないようにし、駅から人が降りてこないように線路に石を置いて電車をストップさせました。たぶんこの陰謀には3千人くらいが協力しているのでしょう。
万引きのデッチ上げで十分目的は果たしているのに、さらに輪を掛けて壮大な陰謀を組み立てて実行し、これも成功したのでした。
そんなワケのわからない組織のワケのわからない犯罪を想定するよりも、こんな話はあり得ないと考えるべきです。
そんなバカバカしい妄想につきあう暇があるなら、この時期、朝木明代は、どのような状況に置かれていたのかをしっかり見ておくことが必要です。
彼女が抱えていたトラブルは万引き疑惑だけではありません。彼らは今も「草の根」という市民グループを自称しているのですが、この頃、「草の根」は窮地に立たされていました。
1995年4月の選挙はで、朝木明代だけでなく、朝木直子も矢野穂積も市議会選に立候補し、朝木明代と直子は当選、矢野は次点で落選。ところが、直子は議席を放棄して、矢野に議席を譲ります。これが違法とされ、1997年、最高裁で彼らは負けて、矢野は失職しています。
このことが選挙直後から問題になっています。彼らを批判したのは全党に及んでおり、とても公明党だけの問題ではない。
http://ranhou.hp.infoseek.co.jp/jyouto.htm
『東村山の闇』では、議席譲渡問題について、彼らにはなんの瑕疵もなかったかのように書いてまして、しかも、時系列で自殺に至るまでの事情を説明しておらず、後ろの方でこれについて触れています。自殺した同じ年の出来事であることを察知されないようにしているようです。
しかし、自殺した時にこの問題が生じていたのですから、無視することはできないはずです。これで「草の根」は議会で完全に孤立。今までは攻める側でいられた朝木明代は、一転して皆から批判される側に立ち、大きなストレスを抱える状態にあって、その上、万引き疑惑です。万引きが冤罪であろうとなかろうと、自殺する十分な動機があったように私には思えます。
にもかかわらず、矢野穂積は、葬儀の時から、これを「殺された」「暗殺された」「虐殺された」と繰り返してます。「にもかかわらず」ではなく、「だからこそ」か。このままでは、万引きで朝木明代は辞職に追い込まれ、矢野も失職。「草の根」は崩壊必至です。
その時に、朝木明代が自殺してくれた。これを「殺された」と騒ぎ立てることで逆転を狙い、一定それが成功した。そういうことだったのだと私には思えます。少なくとも、彼らの主張よりずっと説得力がありましょう。
朝木明代が万引きをしたと断定することも、自殺したと断定することも私にはできないのですが、この本で展開されている「万引きは仕組まれたものであり、朝木明代は殺され、犯人は創価学会である」という物語は、この本に記載されている事実関係を見る限り、とても信じられるものではありません。
でも、信じちゃったメディアもたくさんあるんですよね、「週刊新潮」とか「週刊現代」とか(続く)。
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