2011-01-12
お部屋2162/あるパクリ事例
初めての方は以下を先にお読みください。
「東京狂気事件簿」のゲストである尾谷こうじさんとは昨年ロフトプラスワンで行われた毒蟲presents「SM解体新書」で知合ったのですが、彼が創案した「SMマトリックス」は素晴らしい内容です。
SMにおける人間関係からインスパイアされたもののため、SMという言葉が入ってますが、よく飲み屋でやっている「SかMか」という会話とはまったく次元の違うもので、あらゆる局面に適用できる人間の行動原理を数値化し、分類したものです。
これを知ってしばらく「SMマトリックス」が頭から離れなくなりました。
「SMマトリックス」には難点があって、理解するのに時間がかかります。SMの用語が使用されているため、その言葉に引っ張られて、混乱が生じやすいのです。
それがために、私なりに解釈し直す作業に熱中してしまったわけです。
さて、このイベントのあとのこと。2132「ひさびさにメタ視力」にも書いたように、尾谷さんとその仲間、そして毒蟲主宰の月花さんらと打ち上げをし、そこで話題になったテーマがいくつかあって、そのひとつが「メタ視力」であり、そこから発展して、「無意識のパクリ」の話にもなりました。
いったいどういうタイプの人がパクリをしやすいのか。どういう心理でパクリが生ずるのか。
その時でてきたのは、「自他の区別がつかず、依存傾向の強い人たちが、他人の作り出したものを他人のものとして峻別せず、自分のものと錯覚してしまう」といった話でした。
「ごっこ右翼」の特徴として、盗用としてのパクリだけじゃなく、手柄の横取りとしてのパクリがありますが、客観的に自分の力量を見極められず、肥大した自己評価によって、本気で自分が何事かを為せたと考えているのかもしれない。
ここまで歪んだ人たちはそうはいないにしても、他者の考えと自分の考えを区別できない人はよく見られます。
客観的に見れば、盗用、盗作であり、時には違法な領域にも踏み込むわけですが、本人に悪意はない。同意できればそれだけで自分のものになったと錯覚できる。
さまざまなパクリの事例を見ていると、その多くがこの「悪意なきパクリ」であることが見てとれます。だからこそやっかいと言えます。パクリであることを意識できている「悪意あるパクリ」であれば、「もうやりません」で済む。しかし、「悪意なきパクリ」は意識できていないため、その解消は難しく、こういうタイプの人はしばしばパクリを繰り返します。
本人がこれを意識できるようにするしかないわけですが、よっぽど努力をしないとまたやらかしますので、「この人はそういうことをする人」として扱って注意をするしかないでしょう。
そんな話をしていたほんの2ヶ月あとのこと、尾谷さん自身が、この「悪意なきパクリ」の被害に遭います。「SMマトリックス」はまだ本にまとめられていないのに、早くもパクられたのです。
パクったのは同業のカウンセラーで、盗用したことを全面的に認め、発表したものを撤回した上で、謝罪文を出してほぼ解決を見ました。
その経緯については、尾谷さんの仲間が記述していますので、こちらを参照してください。
http://blog.livedoor.jp/necokick/archives/52418883.html
これを読んでいただければおわかりのように、これも「悪意なきパクリ」だったようです。たしかにパクる意思をもってパクったにしては杜撰すぎるんですよね。なにしろタイトが「SNマトリックス」ですよ。すでに「SMマトリックス」のことを知っている人が見ればすぐにパクリだと断定できる。
このカウンセラーは他者のカウンセリングをする前に、自分の人格形成の問題点を直視した方がいいと思う。
よりによって、あんな話をしていてから間もない時期に、その格好の素材が提供されたのですから、尾谷さんらにとっては、苦々しくも、今後に活かせるいい体験かもしれない。
「SMマトリックス」を早く本にまとめて、尾谷さんが創案したものであることを広く知らしめた方がいいと思う。じゃないと、もっと悪意をもった人がもっと巧妙にパクるでしょう。