2010-07-25

お部屋2078/東京ヘビマップ

今年の3月か4月のことです。知人と新宿でラーメンを食べた時、店主から、新宿2丁目、4丁目、6丁目にヘビがいるという話を聞きます。「そんなバカな」と思って現地で裏取りをしたところ、本当でした。

これに感激して、私は「東京ヘビマップ」を作ろうと思い立ちます。「ちょっとヘビを見たいな」という時に便利かと思いまして。八王子にいるのは当たりまえ、奥多摩にいるのも当たりまえですから、あくまで対象は23区内です。都下に広げるとキリがないってことでもあるわけですが。

この話をなべやかんにしたら、「成城学園にもアオダイショウやヤマカガシが出ましたよ」と言います。なべやかんは、成城学園出身で、キャンパスに出たと言うのです。

もうずいぶん前のことですから、さすがにもういないだろうと思いつつ、ヘビが大嫌いななべやかんと一緒にその現場に行ってみました。「いるかもしれないけれど、そんな都合よく出てきてくれないよな」と話しながら帰ろうとしたその時、見事なタイミングでアオダイショウが出てきてくれました。

その時の写真です。
th_IMG_4620.jpg

これが5月のこと。ここから本格的に「大人のヘビ探し」が始まります。

もうやっている人がいたら私が作る必要はないので、ネットで調べたのですが、タヌキやハクビシンの分布マップはあっても、爬虫類は見当たりません。東京都が動植物の実態を調べてはいるのですが、網羅的なものではありません。

ヘビはペットショップやネットオークションで売れるため、ヘビを捕獲することを趣味なり、金儲けなりにしている人たちもいるのですが、効率が悪いため、あえて東京を舞台にしている人たちはそうはおらず、東京で探すとしても都下が中心です。彼らは23区にあえて限定して探す必要などないわけです。

しかし、私のテーマはあくまで都市のヘビです。いるとは思われていない場所で今もひっそりと生きていることに惹かれます。生態を知るためには飼った方がいいのですが、私のマップはあくまでスネークウォッチングを楽しむためのものです。ヘビに詳しいのが周りにいるので、その人たちに生態は教えてもらえばいいや。つうか、すでに教えてもらってます。面白いっすね、ヘビは。

「東京ヘビマップ」のことは、「マツワル」で散発的に書いていたのですが、データが溜まってきたので、先々週より本格的に「東京ヘビマップ」のシリーズを開始しました。

●東京23区内であること
●公園、河川、神社、寺院、路上、学校など、公的性格のある場所とし、個人宅は除く
●10年以内に目撃者がいて、それ以降、大きな環境の変化がないこと
●種類は問わないが、外来のヘビが逃げたものは除く(外来を嫌うためではなく、年越しが難しいため)

これらを基準に、今も棲息している可能性が高いと判断した場所をヘビスポットに認定。すでに30カ所ほどヘビスポットに認定していまして、私自身、今まで東京でヘビなんて見たことがなかったのに、次々と目撃しております。今年は気候の影響で、ヘビは不作なんですけどね。

証言があっても、環境が以前と同じかどうかわかりませんから、私自身が現場に行くことを課しています。この環境の変化は、ただ「川岸がコンクリートになった」「木が刈り取られた」「池が埋められた」というものだけではなく、見た目が一緒でも管理者が代わって「ヘビはいてはならない」として駆除を始めたというものも含まれるため、聞き取り調査が必須です。

現物を見ればそれまでなのですが、日の出とともに探し歩いても見られるとは限らず、目撃者を見つけるしかない。近隣に住んでいる人、頻繁にそこを行き来している人でも、ヘビは見ようとしないと見えませんので、10人以上に「この辺でヘビを見ませんでしたか」と聞いてやっと見つかることがよくあります。

いたるところで気持ち悪がられている私ですが、子どもたちは大変協力的、かつ面白がってくれていて、最近は幼稚園児や小学生と遊ぶ機会が多いです。

この作業は大変時間と手間がかかり、たった一カ所でも数日潰れることがあります。ついつい興味が拡散して、古くからその地を知る人に土地の変遷を聞き、地下にわき水による川が流れていることが判明して、やっとヘビが多い事情を納得しているせいでもあるんですが。子どもたちと遊んでいる時間が長いってこともありますし、虫食い芸人・佐々木孫悟空と、ヘビだけじゃなくムシ探しをするってこともありまして。

23区内に限定すれば「東京ヘビマップ」が完成できるのは、それだけ23区にはヘビの棲める場所が少ないってことでもあるのですが、それでも23区全体だとヘビスポットは300カ所くらいになると予想していて、完成は数年後でしょう。長期プロジェクトなのであります。その頃にはまた棲めなくなっている場所もありそうです。

その作業を少しでも軽減するため、「マツワル」ツイッターで、皆さんに情報提供を呼びかけてまして、上にある条件でヘビを目撃した方はコメント欄に書き込んでください。詳しい状況や住所(丁目まで)もわかれば幸いです。公園など、広域の場合は、その中のどこかまでわかれば記述してください。場所を公開したくない場合はメールをください。mat@pot.co.jpです。種類も分かる方はそれも書き添えてください。

ただし、代々木公園、新宿御苑、神宮外苑、林試の森公園、石神井公園、戸山公園、善福寺公園、和田堀公園、飛鳥山公園、江戸川公園、駒沢公園などの大きな公園はすでに情報があって、この半分以上は現地調査を終了してヘビスポットに認定済みです。残りもまず間違いなくいるでしょう。それよりも小さな公園や神社などの情報の方がありがたいですし、魅力的です。また、神田川、多摩川、目黒川、隅田川、荒川、仙川、玉川上水などの河川にもいることは間違いなく、すでに認定済みの箇所もあるのですが、何ぶんにも川は長いため、具体的な場所を伴った目撃証言が多数欲しいところです。

この話をすると、「タヌキがいます」「ハクビシンを見ました」と教えてくれる方がいるのですが、それは私の担当ではないので、こちらのサイトにご連絡してください。タヌキやハクビシンも面白くはあるんですけど、他の人がやっているんだったら、もういいや。「ヒキガエルがいる」と教えてくれる人もいますが、それはどこにでもいますので、かわいがってあげてください。

情報を提供してくれたところで、何もお礼はできませんし、「マツワル」購読者以外マップも見られません。マップを公開してもいいし、その方が情報が集まると思うのですが、捕獲派、転売派の人たちに荒らされたり、駆除派の人たちに惨殺される可能性があるので、ためらうところです。捕獲したり、殺したりしたところで、社会的な非難はされにくく、それどころか感謝されるのがヘビであります。ほとんどのヘビは区部においては絶滅の危機に瀕していると東京都も発表していて、この人たちはヘビマップの敵です。アオダイショウはまあいいとしても。

私はあくまで保護派であり、ヘビの味方なものですから、「前はいたが、今はいないと思われる場所」のマップだったら出してもいいですけど、スネークウォッチングがブームとなり、「ヘビのいる街」を大切にする風潮が定着するまででは「東京ヘビマップ」は一般公開できないです。私がこれを公表して以降、東京でのヘビ探しを面白がっている人たちが着実に増えていて、いつか公開できる日が来るでしょう。

来春、「50歳からの東京散歩」(交通新聞社)の連載で第一弾のまとめをやるつもりなので、秋までには全区でヘビスポット認定をしたいものです。冬は調査を休んで、群馬のジャパンスネークセンターに行く予定です。

このエントリへの反応

  1. 名古屋のベットダウン在住なんで全然関係ないですが、今年巣をつくっていたツバメの親子が蛇に丸呑みにされるという事件が我が家で起こりました。
    朝、親が発見してたいへん悲しんでおりました。

  2. それが苛酷な現実であります。もし一匹で親子を食ったんだったら、相当の大物ですね。家のヌシかもしれない。家を守ってくれますので大切にしましょう。

  3. 一方でヘビは、ネコに殺され、カラスに殺され、人間に殺されてまして、それを悲しむ人はほとんどいないので、せめて私が悲しんでやろうと思ってます。

  4. 港区オーストラリア大使館には沢山いますよ!

    はいれませんが

    暑いと下の古川に泳ぎにおりてきます。

    アオダイショウで結構大きいです。

  5. koさま

    ありがとうございます。港区は情報が不足してました。暑いうちに行ってきます。

  6. 確認済みかもしれませんが都立図書館に行くとき有栖川宮公園で見ました。気をつけて見ていなかったせいもあるんでしょうが、東京生活20年、23区内でヘビに出くわしたのははじめてだったものでかなりたまげました。

  7. m.mさま

    いましたか。まだ調べてませんでした。環境的にはいそうなのですが、けっこう人が多いですから、「いないかも」とも思ってました。調べに行ってきます。ありがとうございました。

  8. 世田谷区の給田というところで、去年の夏、道端に蛇が出ましたよ~~~

  9. [...] 込んだため、これではヘビは動けないでしょう。ということで、今年のヘビ探しは終了です。2078「東京ヘビマップ」でいただいた情報で処理しきれなかった分は、来年に持ち越します。 [...]