2009-08-25

お部屋1943/「24時間テレビ」と日本ユニセフ協会

「東京国際ブックフェア」でのトークをまとめた「『エロスの原風景』ができるまで/松沢呉一インタビュー」の3回目が更新されました。

このインタビューの効果はまったくなくて、ここ1週間ほど、アマゾンの数字はほとんど動かず。

昨日と今日は計4冊動いてますが、これは昨日の「日刊ゲンダイ」に取り上げられたためだと思われます。たった4冊でも、1冊動くかどうかの雑誌の書評よりずっと効果があります。「日刊ゲンダイ」の読者層が『エロスの原風景』と合致しているということもあるんでしょうし、週刊誌や一般の新聞より、夕刊紙は隅々まで読む人が多いってことも関係していそうです。読んでいないので何とも言えないですが、購買意欲を刺激する内容だったのかもしれません。

これで予定していた書評も出揃って、あとは何の予定もなし。

『エロスの原風景』が動かなくなっても、不思議と旧著が動き続けていて、「風俗ゼミナール」シリーズや『風俗お作法』はしばしば4桁に入っています。古い著書が次々と品切れになっており、数日前には『恐怖の大玉』が「一時在庫切れ」になりました。たぶんもう返本はないでしょうから、このまま品切れになると思います。あとは中古でどうぞ。

ついでにさっき見つけたことを書いておきます。

締切を超えている原稿をやっと昨日終えて、今日は「マツワル」用に、日テレの「24時間テレビ」のことを書いてました。

「サイゾー」「外国人も呆れる”エセチャリティ”『24時間テレビ』最大の過ちとは」という記事を出して、またまた「24時間テレビ」に対する批判が高まってます。

この記事は、かつて「噂の真相」が掲載して以降、いくつかの雑誌が取りあげた「24時間テレビ」批判を超えるものでないのですが、出演タレントがギャラをもらっている事実を知らなかった人たちも多いようです。

私は安っぽい感動が大好きなので、あの番組も毎年楽しみにしていると語って、日テレの人たちに失笑されたことがあります。日テレが言わないので、私は「出演者がギャラをもらっていて何が悪いのか」と番組やタレントを弁護していているのですが、問題がないと言っているのではなくて、批判するポイントがズレていると思ってます。

「マツワル」では、潔癖性の「偽善批判」とは距離を起きつつ、問題点を書き出していて、その中で日本ユニセフ協会を比較に出そうと思って同会のサイトを久々に見たら、「当協会に対するインターネット上の誹謗中傷的書き込み等について」という文書が出ていました。

ここ数年日本ユニセフ協会が批判されているのは、児童ポルノの所持や漫画等の創作表現までを規制する主張をしているためであり、また、その活動資金は、寄付された金から捻出されているためです。

後者については、運営、宣伝などにかかる費用、職員の給料などを寄付金の中から出すこと自体、寄付する人に理解させている限り、問題はないでしょう。サイトにも説明はあるのですが、わかりにくいです。

寄付する人たちは、医薬品が買えずに病気で苦しむ子どもたち、文具も買えず、学校にも行けない子どもたち、飢餓に直面する子どもたち、災害で家族や家を失った子どもたちに使われると信じているのですから、「みなさんが寄付した金の一部は表現規制に使われます」と明示すべきでしょう。

なお、日本ユニセフ協会のサイトにリンクするには事前の許可が必要だそうです。

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# リンクのはり方やコンテンツによっては、後日訂正やリンクの削除をお願いすることもございますので、あらかじめご了承ください。
# 以下のような場合、リンクをお断りすることがあります。

* 貴ホームページ等の内容が、ユニセフおよび当協会の理念に反する場合

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へえ。自分らの気に入らないようなことを書く人間にはリンクさえさせない。批判されたら「誹謗中傷」で済ませるこの団体の体質がよくわかります。もちろん、こんな思い上がった要求に応じる気はないです。

日本ユニセフ協会と違い、「24時間テレビ」の出演者のギャラや運営費は、寄付金から出ているのではありません。通常の番組同様、スポンサーが出す放送料から出されています。ギャラを払っているのは事実なんだから、うやむやにしないで、日テレはちゃんと説明すればいいのに。

日本ユニセフ協会「当協会に対するインターネット上の誹謗中傷的書き込み等について」にはユニセフ東京事務所代表の文書が出ています。「日本ユニセフ協会はパチもんであり、ユニセフ東京事務所とは別」と言われがちであることに対抗するためでしょう。

その中に、こんな一文が出ています。

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児童ポルノの根絶など、子どもの保護や権利を訴える活動の面でも、日本ユニセフ協会は高く評価されています。児童ポルノは国境を超えて氾濫する国際問題です。日本ユニセフ協会に対する誹謗中傷を内容とする書き込みの中には、児童ポルノ問題に対する日本ユニセフ協会の取り組みについて、またその取り組みの理由について、誤解されているものがあるようです。児童ポルノは、近年深刻化している明らかな子どもの権利の侵害行為であり、ユニセフが世界的に取り組む課題の一つです。日本は、国際社会から、本問題に対する対策が不十分であると、しばしば非難されています。これが故に、日本ユニセフ協会は、本問題に取り組んでいると伺っています。

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高く評価されているんだってさ。ここ数年、多くの人が主張してきた日本ユニセフ協会への批判の数々は完全に無視です。

私も大いに誤解してました。ユニセフ東京事務所は、この点につき日本ユニセフ協会と距離を置いていると思ってましたが、同類でした。

「24時間テレビ」にも批判されるべき点はありますが、それより日本ユニセフ協会およびユニセフ東京事務所の方が批判されるべきかと思います。
 
 
追記:「日刊ゲンダイ」の書評は、昨日、出ていなかったようです。おかしいな、だったら、あの4冊はなんで売れたんだろ。このところ、ゼロが続いていたので、たまたまとは思いにくいし。

追記2:『恐怖の大玉』はまだ在庫があったようで、その後、販売が再開されました。すいません。

このエントリへの反応

  1. [...] ※「東京国際ブックフェア」でのトークをまとめた「『エロスの原風景』ができるまで/松沢呉一インタビュー」の4回目が更新になりました。     「1943/24時間テレビと日本ユニセフ協会」に間違いがありました。すでに原文は修正していますが、こちらでも触れておきます。 [...]