2008-06-18
お部屋1543/コミュニティFMの闇 7
2006年、JASRACが練馬区のバーを刑事告訴した事件が話題になりました。メディアは店側に同情的で、JASRACを非難する意見がネットにも溢れてましたが、私はJASRACの告訴は当然とする内容の記事を何度か「マツワル」で配信しています。積極的に支持はしなくても、非難できる要素が見当たりませんので。
いくらマスターが年寄りだからって、人の曲をタダで使っていいということはない。しかも、儲かっていなかったわけではなく、ピアノを弾く音大の学生に時給1万円も支払っていたと言います。それだけの金があって、なお月に2万円かそこらの音楽使用料を払っておらず、15年間も踏み倒してきたのですから、大変悪質な店です。
これが税金だったら、とっくに差し押さえです。ある意味では税金の滞納よりずっと悪質とも言えます。
生ピアノの演奏ができるのですから、クラシックの曲に限定する、オリジナルに限定するなどの方法で、使用料を発生させないことも可能だったにもかかわらず、ビートルズなどを演奏していたのですから、どことをどうして弁護できるのか不明です。そうすることで客が集まる、つまりはゼニが儲けられるというのであれば、使用料を支払うのは当然じゃないですか。
私だって、バイトに時給1万円も払っている出版社が印税を払ってくれず、請求しても15年間逃げ回り、なおも私の本を出し続けるのであれば、社長がジジイであっても訴えることはあるでしょう。15年間も私の本は売れませんけど、あくまで仮の話です。
ジジイであるがゆえに早くしないと死んじゃいますし、ジジイになるまで払わないのが悪い。
この事件において、JASRACが叩かれたのは、JASRACに対する反感、不信感が背後にあるのでしょうが、それとこれとは話が別で、批判すべき点は批判すればいいとして、未払いについてはそれとは別に論じるべきです。印税を払わない出版社に「おまえの生活態度はなっていないから払わない」と言われてもさ。
JASRACが徴収した金の分配についての不透明さを指摘している人たちもいますから、この例とはちょっと違いますが、ここに問題があるのだとしても、払わないことは正当化されないと思います。民間の飲み屋ですから、市議が選挙ポスターの印刷代を踏み倒したり、団地の管理費を払わないことに比べれば数段マシではありますけどね。
これに対してJASRACは、「公平性の観点から刑事告訴するしかなかった」旨を語っています。
なんで「刑事か」という疑問もありはしますが、刑事告訴してはいけない理由は見当たりませんので、この意見に原則賛成できます。踏み倒しが許されるのであれば、誰も金を払わなくなって、作詞家、作曲家は干上がりますし、規定通りに払っている店がバカを見る。
同じく一般のFM局が使用料を払っている以上、コミュニティFMも払うのは当然であり、NPO法人が運営する局を含めた多くのコミュニティFMが音楽使用料を払っている以上、NPOコミュニティ放送全国協議会加盟各局も払うのは当然です。
特にこの場合は公益性を求められる放送局です。JASRACは飲み屋以上に厳しい態度をとるべきであって、契約を拒否し続けるのであれば、刑事告訴もやむなしでしょう。つうか、そうしないと、ピアノバーを刑事告訴したこととの整合性がとれません。まともに使用料を払っている飲み屋はバカを見てはいけない、しかし、まともに使用料を払っているコミュニティFMはバカを見ていいのでは、公平性に欠けます。
もしかすると、事情を正しく理解できずに、ピアノバーの一件でJASRACを叩いた愚かな人々のせいで、強く出ることができないでいるかもしれません。
しかし、このまま放置すると、また叩かれることになります。「老人が経営するピアノーバーは告訴して、四半世紀も払っていないらとき放送局は放置かよ」と。こちらは正しい批判です。しかも、相手はNPO法人を悪用しているとしか思えない集団ですよ。さすがに今回は支持されると思いますけどね。悪徳ピアノバーを支持するような「気分の正義」の人たちは、何を言い出すか、私も予想できないですが。
すみやかにJASRACは契約をさせるべきであり、なおもゴネ続けるのであれば告訴してもやむを得ない。この判決が出た段階で、理事たちはなんらかの責任をとるべきでしょうし、社会的な制裁を受けるべきです。
さらに深くこの問題を抉る人たちが出てくることを期待して、「コミュニティFMの闇」はひとまずここまでとします。