2008-06-16

お部屋1541/コミュニティFMの闇 5

NPOコミュニティ放送全国協議会に加盟していないコミュニティFM局は、どのような条件でJASRACに音楽著作権使用料を支払っているのでしょうか。それを京都三条ラジオカフェに聞きたかったのですが、相手を間違っていたわけです。

JCBAは、発足時からJASRACと支払い条件を締結し、以降、定期的に条件の見直しをしており、現在の条件は平成18年11月に見直されたもので、以下のようになっています。

当年度の放送収入×1.2%+消費税(上記の計算結果が12万円以下の場合の最低使用料は12万円)


放送局の場合、通常はこのような包括契約(実際に使用した曲をひとつひとつ計算するのではなく、いくら使おうとも、同じ金額)です。消費税は抜きにして、仮に放送収入が2千万円あったとすると、年間24万円です。月に2万円。1千万円で12万円。これ以下の場合でも、最低使用料は12万円。月1万円です。カラオケスナックなみ。

JASRACの料金規程(PDF:483KB)を見ると、放送局では、放送収入の1.5%になっていますから、コミュニティFM局は0.3%安い。これは聴取地域が狭いという特性や、地元への貢献といったコミュニティFMの趣旨を踏まえたものでしょう。

コミュニティFMでは、ほとんど収入のない局もあって、音楽をふんだんに使用して、使用料が月に数千円ということもあり得ます。そこで、年間12万円の最低料金が設定されています。24時間音楽を垂れ流している放送局が、カウンターしかないカラオケスナックより安いのは不公平感を拭えませんから、当然の設定かと思います。

これらの条件はJCBAが業界を代表して交渉したものであり、非加盟局にもこの条件が適用されます。

ただし、JCBAに加盟している団体については、「当年度の放送収入×80%×1.2%+消費税」という計算になっています。つまり、放送収入から20%が控除されるわけです。

JASRACにしてみれば、JCBAが加盟局に対して指導をすることを期待でき、個別の局との交渉を省くための優遇措置みたいなものでしょう(JCBAが直接徴収するわけではないのですが)。事実、JCBAは音楽使用料を滞納している局に指導をし、中にはすでに除名になった局があります。この処分を期待するがゆえの優遇措置であり、指導を有効にするための優遇措置です。

しかし、JCBAの加盟料は年間18万円です。放送収入の少ない局にとっては、これ自体、負担になりますし、音楽使用料においてJCBAに加盟するメリットがなくなります。

すでに出てきたラヂオノスタルジアが除名になっているように、問題のある局はこの団体に加盟できず、加盟したところで除名させられます。

すべてがそうだとは言えないまでも、JCBAに加盟していない局より、加盟している局の方が安心できるという程度のことは言えますから、JCBA加盟の看板はスポンサーを求める際には有利です。その点での金銭的なメリットはあり得るとしても、音楽使用料と加盟料を単純比較した時にはメリットはないわけです。

年間の放送収入が2千万円だとすると、20%控除されて、その1.2%は19万2千円。これに加盟料を加えて37万2千円。金銭面だけを考えれば、加盟せずに24万円を払った方がいいという判断もあって、JCBAに加盟していない局の中には、その選択をした局もあるようです。

すでに書いたように、JCBAは定款を変更して、NPO法人でも加盟が可能であり、事実、JCBAに加盟しているNPO法人もあります。強制力はありませんので、加盟せず、JASRACに規則通りの使用料を払うもよし、加盟して控除を受けるもよしです。

NPOコミュニティ放送全国協議会に加盟している局がそれをやらないのは「音楽使用料を踏み倒す」、少なくとも「マケさせる」という目的があるからだと思われます。

そのために、NPOコミュニティ放送全国協議会は呆れた主張をしているらしい。どうやら「JCBAと同様の控除を受けさせろ」と主張し、その際にNPO法人であることを楯にしているらしいのですよ。

NPOであろうが、なんであろうが、関係なかろうに。商業音楽を使用して、売上げを立てていて、職員たちはそれでメシを食っているんだから(食えてない局もあるわけですが)。

ロイヤリティですから、収入の少ない局は支払いも少なくなるわけで、収入が少ないことを口実にはできない。しかも、一般の放送よりもロイヤリティは安い。最低金額だって、カラオケスナックなみなのですよ。

「商業放送ではない」と主張するのであれば、商業音楽など使用しなければいいだけでしょうに。NPOであろうがなんであろうが、現実に既存のFM局、あるいはAM局からリスナーを奪うわけですから、ここに大きな格差をつけるのはかえって不平等です。

また、自分らがJCBAと同じ扱いを求めるとは図々しいにもほどがあります。JCBAはコミュニティFMの約9割の団体が加盟しています。この業界を代表するのは当然であり、JASRACと交渉して、一般の放送局より低いロイヤリティを獲得したのもこの団体です。この団体に加盟しなくても、コミュニティFM局はすでに恩恵を受けているわけです。

JASRACとしても、JCBA加盟局を優遇するのは当然であって、もし別団体にも同様の措置をしたのでは、どこもかしこも独自の団体を組織して窓口が増えてしまい、コントロールができません。

JASRACとしては、JCBAとの取り決めをなしにして、NPOコミュニティ放送全国協議会と、一般の放送局と同じ放送収入の1.5%から交渉を始めてもよく、結果、今の条件より高いロイヤリティになったとしても、不当とは言えないでしょう。なにしろ地元に貢献する気などまったくない多摩レイクサイドFMが代表ですから、どうして安くする必要があるのでしょうか。1.5%でいいと思いますよ。

「安くしろ」というのなら、放送法を遵守し、名誉毀損に対して謝罪をし、相手に弁明の時間を与え、市議が代表と詐称することをやめ、少しは地元に貢献する放送をしてから言ってはどうなのか。NPOコミュニティ放送全国協議会に加盟する各局も、代表世話人である多摩レイクサイドFMの不当な放送をやめさせるように意見してはどうなのか。同類のお仲間じゃ言うだけ無駄ですが。

続く。

*2008年6月16日、B-WAVEについての間違いを指摘されましたので、その部分を削除しました。