2008-06-13
お部屋1538/コミュニティFMの闇 2
朝までミーティングをやっていました。燃えないゴミと本日更新分を出して寝るざんす。
まどろっこしいでしょうが、京都三条ラジオカフェについて書く前に、コミュニティFM一般の説明です。長いですけど、一回で終わらせます。
なべやかんが番組をもっていて、私も時々お呼ばれしているFM茶笛(チャッピー)は入間市にあるコミュニティFMです。トップページの写真を見てください。本当にお茶畑の中にあるんですよ。
でも、ここはとても頑張っていて感心します。周辺地域での公開録音、入間市で開かれるコンサートの中継、地元の細やかな渋滞情報の提供など、地元に密着した番組作りをやりながら、なべやかんの番組のように、全国に配信できる番組も製作しています。
「名のある人の番組をやって、全国に配信して配信料を得られればいい」というだけだったら、何も入間で生放送をやらなくてもいいわけですけど、毎回なべやかんと構成作家のベン村さ来は入間まで行って、ゲストも入間まで行ってます。そこがどういう場所であるのかを出演者が理解し、そういった番組に関連したイベントも地元で開催しています。
経営状況までは知らないですが、コミュニティFMの理想を実現している局のひとつと言えるのではないでしょうか。
コミュニティFMとはなんなのか、多くの方がご存知かと思いますが、ご存知ない方は、ウィキペディアでも読んでおいてください。よくまとめられてます。
さらに詳しく知りたい方は、「コミュニティFM最新開局情報」を参照してください。情報が古くなっているところがありますが、関係サイトに多数リンクされていますので、だいたいのことはわかるでしょう。
大多数の局はFM茶笛のように地道な活動をしていると思うのですが、コミュニティFM局の中には、とんでもない局があります。歴史が浅い分、まだ淘汰がなされていないのかもしれません。経営の失敗以外、淘汰されるきっかけさえないと言いますか。
昨年、日本の放送史上、初の事件がありました。滋賀県のコミュニティ放送局であるB-WAVEことBIWA-WAVEが電波法違反により、運用停止処分を受けたのです。
以下、ウィキペディアより。
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2007年8月1日から同年9月5日までの36日間にわたり、総務大臣の許可を受けずに八幡山ロープウェイ山頂駅付近にある送信用の八木アンテナ1段2面のうち1面の指向方向を変更、最大実効輻射電力を14Wから200W以上に増力して運用したことに対し、2008年1月9日、総務省近畿総合通信局は電波法第18条第1項の規定に違反するとして同法第76条第1項に基づく11日間の運用停止の行政処分を行うと発表した。
これにより2008年1月18日から1月28日までの11日間の運用停止処分が下され、2008年1月17日の午後8時から1月29日の午前7時まで放送を休止(停波)した。放送局が運用停止処分を下されるのは、1950年に電波法が施行されてから初めてとなる。
また、BIWA WAVEが加盟する日本コミュニティ放送協会(JCBA)では、理事会においてこの電波法違反について定款第13条並びに第14条に基づき、定款に違反し当法人の品位を傷つける行為が起こったと判断し、JCBAの資格停止処分(2008年1月17日?3月31日)にすることを審議可決した。
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運用停止さえも、電波法施行以降、ひとつとしてなかったのですね。ひとたび免許を与えてしまえば、よっぽどのことじゃなければ免許取消なんてことはないわけです。
コミュニティFMの世界で、「問題のある局」としてよく名前を知られるのが札幌のラヂオノスタルジアこと札幌ラヂオ放送です。以下もウィキペディアより。
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2003年、局内にて泥酔した安濃豊が生放送中のスタッフと暴力騒動を引き起こした事が明るみとなって大手スポンサーが撤退した(『財界さっぽろ』2003年10月号)のを契機に経営状態が極度に悪化した。(略)その後も賃金未払いや出資金の強要、不祥事の続発等でパーソナリティーの脱退や解雇が相次ぎ、また社長自身の健康上の理由もあって止むを得ず終日音楽を掛け流すといった貧弱な番組構成となり、新たなスポンサーの獲得も困難な状況が続いた。2006年頃よりテナント料の長期滞納(月額推定80万円)、不透明な経理状況等が匿名掲示板等で噂されており、それらに対して安濃豊自身が実名で反論を試みている。2008年3月下旬、リスナーの要望も受けて大半のパーソナリティを解雇し、社長独りによる「ワンマンラジオ」へ転換することを表明したが、局の存続自体が危ぶまれている状況に変わりはない。
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この局は音楽著作権使用料も滞納しています。しかし、音楽使用料の滞納、賃金の滞納、家賃の滞納では免許取消にならない。いくらだらしのない経営をやっていても免許取消にはならず、放送中に暴力行為があってさえも免許取消にはならないわけです(後者は放送法に抵触するのではないかとは思いますけど)。この局の場合、放送内容にも問題があったようですが、それでも放置。
放送法はまさかこれほどまでに杜撰な放送局が出てくることを想定してませんから、既存の法律では十分対応できないのに加え、公権力の介入は、自立した放送を侵害しかねず、簡単に免許取消をすべきではないのも理解はできます。
それをいいことに、やりたい放題ができるコミュニティFMを作りたがる人や団体が次々と出てくるのもまた当然です。
ラジオ聴取者の絶対数が減って、既存のラジオ局も経営危機に陥っている時代に、コミュニティFMで利益を出すことは容易ではありません。事実、負債を抱えてすでに潰れた局もあります。しかし、政治利用等、邪な目的を持っている人がこれを狙う可能性は十分あります。金を持ち出しても利用価値がある。
札幌ラヂオ放送が設立されたのは1999年7月。この局の代表取締役である安濃豊という人物は、この3ヶ月前に行われた北海道議員選挙に立候補しています。札幌市中央区から立候補して、最下位で落選したことによって、自分の名前を売るために、コミュニティFM局を設立することを思いついたとするのはうがち過ぎでしょうか。結果としては悪名を浸透させただけだったようですが。
選挙民さえ聞いてくれればいいのですから、限定された範囲で行われる選挙において、コミュニティFMほど利用価値があるものはない。一自治体で一局の原則からすると、また、他の候補者が、全国放送に出ることは容易ではない現実からすると、その地のコミュニティFMを押さえてしまえば、他の候補者を完全排除することが可能です。
であるがために地方選挙においてこそ、電波を悪用する人たちが出てくることが想像でき、多摩レイクサイドFMのような局が現に出てきているわけです。
外から移転してきた人たちは、市議の名前に馴染みがないですから、その主張や活動を時間をかけて検討した上で投票するのでなく、「名前を知っている」というだけで投票しがちです。あるいは「市川房枝」「アムネスティ」「自由人権協会」といった名前で簡単に判断してしまう。
その際に、ラジオで名前を聞いたことがある、ラジオでパーソナリティをやっているというプロフィールだけでも一定の効果を持つ。だから、ここにすり寄る浅ましい市議も出てくる。
小銭をもっている地元の名士が新たな金儲けのために、あるいは「放送局社長」の肩書欲しさに、放送のなんたるか、表現のなんたるかを考えないままに安直に放送を始める例が多数ありそうですが、それならまだ害はない。多摩レイクサイドFMのように、政治利用を狙い、かつ実践している局が存在していることを見た時に、コミュニティFMの悪用を防止するなんらかの方策をとるしかないと強く実感します。
これからまだまだコミュニティFMが増えていくことを考えると、また、監督官庁やメディアの目が届きにくいことを考えても、コミュニティFMを聴取者が監視し、批判していく必要があります。
それをやらない限り、コミュニティFMは選挙に悪用するための道具と化し、最終的には公権力の介入を許し、すべてのコミュニティFMへの管理が強まりますから、コミュニティFM業界内部からの浄化も必須です。
放送の自立を守るためには、議員側を縛る必要があるかもしれません。各自治体の議員規則などで、市議、市長は放送局の運営に一切関与しない、放送局の運営に関与している者が立候補する場合は辞任をするという明確な基準を設けるべきではなかろうか。さもなければ悪意に満ちた市議たち、それにすりよる浅ましい市議を防ぐことはできない。
どうやっても間違いは生じますし、名誉毀損に類することも起きてはしまいます。これは、すみやかに訂正をする、あるいはその対象者に場を提供するといった方法で放送局自身が解決するのが好ましい。放送法にもこういった救済が規定されているのは、まさに公権力の介入を防ぐためでしょう。
しかし、電波を悪用して繰り返し名誉毀損をやって訂正もせず、謝罪もせず、反論の場も提供せず、さらには自分の利益になるように、代表を詐称する市議が新聞記事を捏造するなど、放送法に抵触するような局は論外であって、この場合は自浄があり得ないのですから、免許取消も検討されてしかるべきです(法的な手続きで言えば、名誉毀損があった場合、訂正放送を求め、これをやらなかったことをもって告訴すると免許取消につながりそうです)。いかに表現を守るべきだと言っている私も、これには反対しません。公権力の介入を防ぐために、一市議に支配された放送局を放置するのは本末転倒です。
それにつけても、札幌の選挙民たちは賢明です。対して、東村山市では、こういう人たちに投票してしまう困った人たちがいっぱいいます。その上、ジャーナリストや週刊誌がこれをサポートするのですから、この国のメディアはいったいどうなっているのかと。
細かなことはともかくとして、今回は「コミュニティFMの中に、一部邪な局が混じっている」ということを押さえておいてください。
続く。