2007-01-22

お部屋1220/今日のマツワル18

新システム移行を見据えて、今後は毎週の更新を心懸けようと思ってます。

先週は富ヶ谷のバラバラ殺人に関する画期的な解釈を提示するシリーズを配信してました。その後の報道を見ると、今回のケースにきれいには当てはまらないかもしれないですが、「一見、強者と弱者に見える関係においては、強者の側に債務が発生していることがあって、その債務の存在を意識できていないと殺されかねない」という話であります。多くの人が「だったら別れればよかったのに」と思うところですが、債務不履行状態での離婚話は大変危険でありまして、DV法の存在が、夫婦関係をこじれさせてしまっていると見ることも可能です。

この話を5日にわたって配信していたのですが、この間に配信したのがこの「おしゃべり弁護士」です。

※追記:読者から私の誤解を指摘されました。判決文を読み直したところ、その人物の指摘通りだったように読めます。その部分で、私は原告が悪いかのように書いてましたが、まったく逆だったようです。ただし、判決文を読んだだけではその確証までは得られなかったので、該当部分を削除するに留めました。2007年9月29日

< <<<<<<<<<マッツ・ザ・ワールド 第1233号>>>>>>>>>>

< おしゃべり弁護士>

メーリングリストで、APP研の主要メンバーである弁護士が、守秘義務違反による慰謝料請求裁判で負けていたことを知りました。

APP研究会は、ポルノ・買売春研究会のことで、論理もへったくれもない宗教じみたポルノ・売買春反対論者の巣窟でありまして、私も今まで何度か批判してます。あまりに幼稚で批判するに足らないんですけどね。

この裁判の被告は、あの女性弁護士であろうと想像がつくのですが、間違っているといけないので、名前は伏せます。
判決を読むのが面倒な人のために、ざっと説明しておきます。

原告は職場におけるセクハラについて2人の弁護士に処理を依頼。しかし、弁護士の対応に不信感を抱き、この件をAPP研のサイトを通して、面識のない被告弁護士に相談。

サイトには【寄せられた情報に関しては、守秘義務を固く守ります】という一文があったにもかかわらず、被告弁護士は、これを原告が依頼していた弁護士に連絡。

これによって、原告と弁護士の関係がまずくなり、弁護士は原告の依頼を辞退。

これについて「慰謝料150万円を払え」と原告は要求して訴訟を起こし、これに対して大阪地方裁判所は、20万円の支払いを命じた。

ざっとそういう内容で、たったの20万円ですから、たいした不利益ではないと裁判所は見たとも言えますが、被告弁護士の守秘義務違反を認定したことは間違いない。

実際、ダメでしょ、これ。弁護士じゃなくても、非常識と言われて信頼を失います。

例えば私が「ライター相談所」を開設して、そこに見知らぬライターが「××出版で仕事をしているのですが、担当編集者がボケで、不信感を抱いてます」という相談を送ってきたとして、その編集者が知り合いだからと言って、相談者の名前を添えて相談があったことを編集者に伝えたら、非難されて当然。「秘密を守る」という一文があろうとなかろうと関係がなく、非常識なのは私であり、信用を失うのは当然です。

まして、このために、編集者との関係が悪化して、そのライターが仕事を失ったとなれば、私はなんらかの責任をとるべきでしょう。公開での謝罪はもちろん、相談所を閉鎖するとか。

そんな難しい話ではありませんね。この裁判もそんなに難しい内容ではなく、やってはいけないことをやったのは明白。

ただ、裁判に至るまでがこじれてまして、

(以下削除)

判決文を読むと、被告は原告が実在か否か(そのような人物が依頼をしているのかどうかという意味でしょう)を尋ねただけではないのですから、これは嘘です。また、APP研のサイトに【寄せられた情報に関しては、守秘義務を固く守ります】と書いてあるのも嘘だったことになります。「弁護士に対する正式の依頼があって初めて守秘義務を守りますが、そうじゃない限り、あなたの相談内容はベラベラと話します」というのがAPP研の姿勢だったわけです。そういう方針もあっていいでしょうが、だったら明示すべきです。

となれば、こじれた原因は被告弁護士の側にもありそうです。金を払わないために、口先だけの逃げを打つのではなく、「こちらがやったことはまずかったが、500万円は払えない」と金額交渉をすれば、こうはならなかったのではないでしょうか。

以下は、APP研の送信フォームに添えられた今現在の注です。判決文と照らし合わせると、おそらくこの裁判以降、手が加えられている模様。

————————————————————-

【メールを出される方へのお願い】

◎いたずらメール、嫌がらせメール、挑発メールなどは固くお断りします。

◎ポルノ被害の情報についてのメールをお寄せくださる場合は、こちらから連絡をしてよいかどうか(連絡していい場合には連絡先をお知らせください)、こちらから連絡する場合に女性スタッフがいいか男性スタッフがいいかをお書きください。

◎寄せられたポルノ被害の情報に関しては、守秘義務を固く守ります。

◎それ以外の被害での相談を望まれる方は、直接もよりの弁護士事務所か婦人相談所などにご相談ください。

————————————————————-

これは、「原告の相談がAPP研が求めるポルノ被害ではなかった」という被告側の主張に合わせて訂正したものではなかろうか。誤解が生じないように処理したのはいいとして、APP研のサイトでは、この件については一切触れてません。判決が出たのが昨年の9月14日ですから、すでに4か月が経過してます。遅筆にもほどがあります。

APP研のサイトは9月9日から更新されてません。もともと頻繁な更新はされていませんが、裁判で負けた件について触れないのに、他のことを更新するわけにもいかない状態だと推測できます。

でも、説明すればいいだけですし、説明すべきです。メーリングリストでも、タイトルが「APP研の守秘義務違反事件」となっていて、誰がどう見ても、一個人の問題ではなく、APP研総体の問題です。

紀藤正樹弁護士もこの判決を紹介して、自身のブログにこう書いてます。

—————————————————————

この件に関する経過をきちんと説明し、素直に謝罪すべきだと思います。

—————————————————————

個人への謝罪は金を払うことで済んだと言えるかもしれませんが、それ以外の人たちにも、説明さえせず、このままなかったことにする気なんでしょう。

説明がない以上、今もこの団体は、サイトに【守秘義務を固く守ります】と書いていようと、弁護士に正式依頼する前の相談には守秘義務はないと考えていると判断していいでしょう。金を払わない人の情報など守るほどの価値はないってことです。なにがあろうと、ここには相談なんてしないことです。

この団体の姑息さはメンバー紹介をクリックしても表示されないことでもわかります。もともとここには数名の名前しか出ておらず、その1人が当該の弁護士だったと記憶してます。あとはここに参加していることさえ公開するのが恥ずかしい人たちです。このページのリンクを外したのは、裁判で負けたのが誰かさえもわかられたくないのでしょう。

そりゃ弁護士が裁判に負けたとあっては信用がた落ち、商売上がったりでしょうし、APP研の実態もバレバレってことでしょうが、こんな作業をしている暇があるなら、説明をしたらどうなのか。

「これこれこういう事情で、これこれこういう判決が出ました。申しわけありませんでした。今後は二度とこのようなことのないよう、細心の注意を払います」とか、「このようなことがないように、相談の受付を中止します」となぜ説明できない。言うまでもなく、自分の間違いを認めたくない人たちだからです。

実際問題、弁護士だって、こういうことはあるんだと思いますよ。なんて言ってしまうのは他の弁護士に迷惑かもしれませんが、弁護士だって、うっかりがあるのは当然です。だからやっていいのではなくて、やってしまったら、その間違いを認めるしかない。

この団体の体質を知るために、資料ライブラリーをクリックしてみてください。お仲間の本ばっかり。この団体の参加者に金銭的な利益がある出版物だろうと推測でき、つまりは自分らの商売のための宣伝コーナーってことでしょう。以前、これを見た時に、この団体らしいと納得しましたよ。

「資料ライブラリー」と銘打つ限りは、私だったら、立場の違う人たちが書いた資料も紹介します、間違いなく。批判を添えることはあるにせよ、「どっちの意見も読んでみて、それで判断してください」という意味を込めます。実際、そうして欲しいですから。こっちの意見だけ読んで理解したつもりになっているだけの支持者なんていらないです。

相手の意見を検討しないから、こいつらの意見は独りよがりで、トンチンカン。だから、議論もしたがらない。すぐ負けるので。相手の意見とすり合わせて検証することを経てない論は弱いものです。

こいつらが大好きなドウォーキンも敵前逃亡したり、シンポジウムで対立する人たちを排除するなどの前科が多数あり、議論を好まない人物です。ただもうひたすら自分の意見をごり押しする。同じ体質ってことです。

なお、ドウォーキンがどういう人物かについては『ディフェンディング・ポルノグラフィ』に、これでもかというほど出てますので、参考にしてくださいな。この人物をフェミニストの代表とすることは大きな間違いで、アメリカ本国においてドウォーキンを支持するフェミニストはすでに少数派であり、それを支持するAPP研がどういう団体かもさらによくわかるでしょう。

この裁判によって、APP研の独善体質、隠蔽体質が見事に露呈したと言えそうです。なんの意外性もなし。

< <<<<<<<<<マッツ・ザ・ワールド 第1233号>>>>>>>>>>