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沢辺の気文 [1999年02月15日]

『本とコンピュータ』
Vol.8 1999春号
コラム原稿・ボツ版

コラム原稿を書かせてもった。
電子メールで原稿依頼文をもらっていたにもかかわらず、「2000字」を勝手に「4000字」と思いこんでしまって、書きすぎ。後に、2000字に減らすのですが、これは、最初に書いたバージョン。
『季刊 本とコンピュータ』発売●トランスアート
定価●1300円+税(Vol.8の定価)
オンラインジャーナル『本とコンピュータ』●
http://www.honco.net/

『スレイヴ――パソコン音痴のカメイ課長が電脳作家になる物語』(畑仲哲雄・著/四六判二二四ページ並製/定価●一六〇〇円+税/ISBN4-939015-14-9C0004/初版二千部)という小説を、去年の八月に出版しました。私はそのポット出版の社長なんです。この本が『本とコンピュータ』編集部の目に止まって、原稿を依頼してもらえたんでしょう。
『スレイヴ』が、それなりに話題にしてもらえたのは、(一)紙の本として書店で販売する直前から、著者=畑仲哲雄さんの手で、ネットワーク上(http://ing.alacarte.co.jp/~press/)にテキスト・HTML・エキスパンドブックの形式で無料で公開されたこと(青空文庫でまで公開されたし、ポット出版のウェッブサイト=http://www.pot.co.jpでもテキストをダウンロードできる)、(二)著者が著作権フリーにして、書き換え自由・印税放棄(ドネイションウェアとして直接郵便振替してもらう)したこと、(三)本の制作費を公開したうえに、増刷の際は百円以上値下げして書店で売ると、その本に書いたこと、だったんでしょう。ちなみに、二月九日現在の著者への郵便振り込み総額は四万四三九四円です。目標三三万六千円(一六八〇円=税込みの本の値段×〇・一=印税一〇%として×二千部=発行部数、つまり印税放棄しなければポット出版が払うであろう金額)の一三・二%となってます。あっ、目標というのは私が話しを面白くしようとして、勝手につくりました。著者=畑仲哲雄さんは、郵便振替の送金に感謝して、もったいなくって使えないといっています。
皆さん、これをきっかけにぜひ『スレイヴ』を買って読んでみましょう。メールか電話かファックスで注文してくれれば、送料無料でお送りしますよ。
ということで、「本コ倶楽部」です。
私は、天の邪鬼なんです。『本とコンピュータ』に書くとなったら、『本とコンピュータ』に論争を挑みたくなってしまう。それなりに共感するし、とりあえずほとんど毎号本屋の店先で買っているし、津野編集長が書いた、「本とコンピュータ」シリーズ(?)本はすべて買って読んでいるにもかかわらず。
さて、『本とコンピュータ』の津野編集長は(一)オン・デマンド出版、(二)データベースとオンライン書店、(三)電子図書館で、本の生命を長びかせようではないか、といわれる。天の邪鬼としては、あえて重箱の隅をつつかせてもらいます。
オン・デマンド出版には、もちろん興味を持っているんです。やってみたい。でも、私の見積では、まだ高い。オン・デマンド出版でやるとしても、見本をせめて百部・二百部、書店の店頭においてもらいたい。でも、そのぐらい刷ると逆に印刷費(単価ベースで)がよけいにかかってしまう。最初から数十部の本にしかオン・デマンドは生かせない。それから、トナーで刷られたオン・デマンド出版本を見ると、ちょっと金だして買う気が失せる。でもそんなことは、時間がたてば、解決してしまうことでしょう。津野編集長の三つのしくみで、ちょっと違和感を持つのは、[データベースの充実したオンライン書店]についてなんです。
データベースの上では、百部発行のマイナーな本もミリオンセラーも同じ一冊として、スペースを気にせずに並べられるので平等に扱われ、検索されるという。
違和感の一つは、データベースで「平等」に並べられるっていう点なんです。
やっぱり有名な人に「この本はいいぞ」ってすすめて欲しい気持ちが、いろんな人にあると思う。すると、オンライン書店に「今月のオススメ」とか「売れてます」とか「○○さんのこの一冊」みたいなコーナーができちゃうでしょう。まあ少しずつそうした権威で本を買う人は少なくなっているのかもしれないから、[平等に]には期待できるかもしれません。たまに、零細出版社経営の先輩から「昔、朝日新聞の書評に載ったら、軽く増刷決められたんだけど、いまはダメだね」っていう、朝日の力も落ちたもんだ的な話を聞くことがあるぐらいですから、自分で選ぶ人、増えてるかもしれないし。
オンライン書店に「オススメ」のコーナーができたって、少部数の本がデータベースに入っていれば、検索できる。少部数の本を探す人にとって「オススメ」コーナーは意味がなっくって、データベースに意味があることだというのかもしれません。
二つめは、オンライン書店を待望するまえに、出版する側ができることがあるんじゃないか、ということ。
オンライン書店では、欲しい本が、ネットワークの上で、簡単に注文できて、すぐ届くらしいから、きっとこれから伸びるんだろうし、私も便利に使い出すんだろうな、と共感しながらも、イマイチ乗り切れないのは、その書店がどうも巨大な物になりそうだからなんです。一つの会社がすべての本のデータを集めて整備する、おまけにその本の書評なんかも集めてきてくっつける、考えてみただけで膨大な作業量でしょう。それをやりきるのはでっかい組織・会社じゃないとできそうにありませんよね。
せっかくネットワークができて来つつあるんだから、なるべく巨大なサイト、巨大な会社のシステムが増えてほしくないんです。とすると、ネットワーク上の本のデータは、なるべく各出版社でせっせと整備して、検索エンジンなんかで見つけてもらうっていう汎用性のある仕組みにとどめておきたいなって思うんです。
その手始めは、自社の発行した本の情報をネットワークに公開して、そこへのアクセスの道をいっぱいつくること何じゃないかと思うんです。そのアタリが、オン・デマンド出版(少部数の印刷?方法)から、オンライン書店という流通の話しへ一足飛びにいく前に、出版する側でやれることなんじゃないんでしょうか(もちろん、出版する側が流通の事を考えたり、口を出したりするのが悪いことであるはずはないんだけれど)。
日本書籍出版協会=書協という、大手・中堅出版社が多く集まっている業界団体が「books」という本の検索ページつくってますよね。この『本とコンピュータ』にも紹介されてました。
 日本で発行されたすべての本の基礎情報(内容までの情報は入れてませんが)を網羅しようという志に私はとっても共感しました。だから、新刊のデータを、発行二週間前に、電子メールなどのデジタル情報で送って欲しいという書協の担当者の要請に、積極的にばんばん応えてきています。でも、去年三月の書協の説明会で「booksの検索結果からのリンクを、書協加盟社以外の出版社にもやらせて欲しい」って要望意見をだしたら、前に並んでるおじさん達から「加盟してからにしろ」みたいなことを言われちゃったんです。出版社がウェッブサイトを持っていて、そこに目次とか立ち読みのページなんかがあるんであれば、リンクで飛びたいって思うでしょ。そうなれば、ますます「books」に行く人も増えると思うんです。
今年の二月から、六万円ぐらい払えばリンクしてもらえることになったので、結果はめでたしですけども。それから、「books」の現場を担当してる人たちは、加盟・非加盟を問わずに、網羅的に本の発行データを集めることが重要だ、リンクだってはらせた方がいいという考えを持ってたようですから、遠からずリンクできるようにはなってたのかもしれません。要望なんかしなくても。オンライン書店とその平等なデータベースの出現を願うよりも、出版界自身がつくる網羅的なデータベースに、すべての出版社の本の細かな情報をリンクさせるほうが、出版する側がやることとして優先順位が高いんじゃないでしょうか。
どうも、零細出版社っていうのはいい加減なものらしくて、自社で発行した本の情報をきちっと約束のスケジュール通りに送らないってとこが多いようです。だから、自分とこの新刊の情報をスグにウェッブに載せないところも多いかもしれません。そういうところの情報は、いくら検索しても出てきませんね。自業自得ですからしょうがありません。あっ、そもそもウェッブサイトを持とうなんて考えてないところがあるかもしれません。その本をスグに手に入れたいっていう要望には、各出版社で直接送ればいいんです。それも、送料は無料にして。
うちの取次への出し正味(卸売り価格)は六七%(歩戻しってヤツ五%を新刊委託部数分支払ってるから実質六二%以下)。七〇%ぐらいのところが多いのかな。
かりに七〇%と考えると、取次・書店のマージンが三〇%ぐらい。この三〇%で送料と発送作業の手間賃をまかなえれば、送料無料でトントン。ポット出版では佐川急便に三一〇円(沖縄とその他の島は除く)で全国に送ってもらってるんで、一二〇〇円ぐらいの本なら取次・書店のマージン分で送れるんです。だから、送料無料にしています。
「欲しい本がなかなか手に入らない」ってさんざん言われているんだから、出版社はみんな送料無料にしてすぐ送ればいい。
ポット出版に回ってくる短冊(書店からの本の注文書)には、一カ月前の注文日付が入っているのもあるんです。それから出荷するんだから、恐ろしいほどの日数がかかってますよね。
二月一三日、ついに意を決してiMAC(ストロベリー)を買いにいったら「最短で三月六日のお届けです」っていわれてがっかり。まだ、いつ届くのかわかったし、iMACほどの人気商品で、組み立てるだけでも結構かかりそうなものなんだからいいけど、本で一カ月(以上!)はないですよね。うちの倉庫にある物ですから。
欲を言えば、代金支払いもネットワークの上でできればいいですね。確実に回収できるから。でも、あの「通販生活」は代金後払いで品物をすぐ送ってくれるよね(送料はどうだったっけ?)。

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