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[第12章●パーソナル“なんでも”データベースのすすめ] 7… オトナの学習法って何だ |
[2005.05.16登録] |
石田豊 |
なんだか最近センデンめいたことばかり書いているようで、若干忸怩たるトコあるんだけど、今日もセンデン、ちょっとだけ入ってます。 拙著「MySQL入門以前」が増刷になりました。発売が3月末なので、実質2ヶ月を待たずしての増刷。おかげさまで好調と言ってよろしかろう、と。買っていただいた皆様、まことにありがとうございます。 この本の「方法論」は前著「Mac OS X v10.3“Panther”UNIXアプリケーション簡単活用ガイド」と同じ考え方になっている。つまり、最近のぼくはこのやり方がいいと思っているわけだ。 どちらの本も、いわゆるところの「入門書」である。前者はMySQL+PHP、もうひとつはMacでUNIXを学ぶということがテーマだ。 何か、新しい分野に踏み込んでいく時、取るべき方法論はいくつもあるだろう。どういう方法をとるのが、もっとも学習効果があがるのか。これはこの手の情報を発信する立場としても、また、自分自身が新規な分野にチャレンジしていく上でも、長年気になっているテーマだ。 この2著でとった方法は、 1)実際に使える「教材」にする 2)とにかく逐一やりかたを書いてとりあえずその通り実行してもらう 3)途中でいきなり記述がジャンプしたり、難解になったりすることのないよう、注意を払う である。前者でいえば、環境をWindows XPとMac OS X10.2,10.3に限定している(増刷版では10.4に対応)。MySQLとPHP環境は、XPでなくても実現することができる。しかし、そうすると、環境がこの場合はこう、あの場合はこうと、煩雑になる。もしくは抽象的になる。それを避けるためにXPに限定する。XPに限定したことで、このファイルは「ココ」にコピーと特定のディレクトリを指定できる。 前者でも後者でも、インストールするソフト類はすべてCD-ROMに準備する。両方の本で扱っているのは基本的にオープンソースなので、CD収録自体は問題がないんだが、書籍というのは読者の手に届くまでに時間がかかるものなので、それまでにソフトそのものがバージョンアップしている可能性がある。スジ論から言えば、最新のものを使うのがいいのだが、ぼくの本ではCD収録のを使ってもらうようにしている。これもバージョンの違いによる操作の違いなどで悩まないようにしてほしいからだ。ボタンの位置が違うだけでも、最初に取り組む人は迷うものだ(ぼく自身がそうだし)。 両方とも、おかげさまで売れ行き好調なので、この方法論はいちおう成功しているといっていいだろう。 しかし、ほんとにこれでいいんかいな、とぼくは悩んでいるわけですね。 ぼくの経験でいえば、なにか新しい分野を習得するために、最善の方法は「いきなり本番」でしかなかった。コンピュータ言語でいえば、いきなり自分で必要としているなにかを書いてしまうというやりかた。表計算みたいなのだと、シゴト上必要な(そしていささか複雑な)表を書いてしまうというやり方。 振り返ってみると、ぼくはいつもこういうやり方でやってきた。たとえばMySQL+PHPを学びたいという場合は、なんかそれでもって実現したいデータベースシステムを作ってみる。 いや、違うな。先にニーズがある。たとえば会社の経理システムがうまく行かない。伝票を書くのを忘れたりするし、集計に時間もかかる。じゃあ、メンバー全員で書き込んだり集計できたりするWebアプリケーションにしてしまえばいいんじゃないか。うーんと、何があるのかなあ。最近、MSQLつーのが人気みたいやん。ほなそれで試してみよか。って感じで取り組み始めるのである。 もちろん、職業上、ここらでやっといたほうが芸域広がるしなあ、というスケベ心もある。しかし、そうしたスケベ心だけだと、決してドライブにはなりえない。やっぱりどうしても目前の具体的な目標が必要になる。従って、習得の範囲に含まれるのはその目的を達成する部分だけになって、当面関係ない要素は、まったくの無視となる。 これはぼくだけの特殊事情ではないと思う。たとえば本多勝一さんが英語を習得したのは「ヒマラヤへ行こう」と思ったからで、ヒマラヤへ行きたい→情報収集が必須である→情報は英語でしか存在しない→英語を学ぼう、という発想だったという。これはよくわかる。 学習にとって、もっとも重要なのはモチベーションである。「越えなきゃいけない具体的なハードル」は格好のモチベーションとなる。そういう点では、本多−石田方式は効果的かもしれない。しかし、モチベーションだけでは「メソッド」がない。 ぼく自身、メソッド不在無手勝流のチャレンジでどれくらい遠回りしてきたことか。それを思うと、なんだか、自分のロスタイムがもったいなくも感じる。 大人にとっての学習はコドモのそれとは本質的に異なる。オトナはそんじょそこらの理由で勉強なんぞ、しないのである。 オトナの勉強法はどのような方法論が、もっとも効果的なのか。 それがずっと気になっている。 |
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